37.ショッピングモール1
土曜日。
6月中旬。
晴れた日の駅前は、日差しを浴びるだけで暑さを感じる。
そんな中、俺はショッピングモール近くの駅で1人、みんなを待っている。
結局、連絡を取り合った結果、学校から少し離れたショッピングモールで遊ぶことになった。
カフェ、服屋、雑貨屋。
見て回るだけでも1日が潰れる。
中学までほとんど男子としか遊んでいなかったが、高校に入り女子とショッピングモールへ出かける日が来るとは。
ちなみに、芦屋も誘ったが、
「行きたいところは山々なんだけどなー。部活あるわ」
とのことだった。仕方ない。
というわけで、今日の構図は――
男1人、女3人。
完全に荷物持ちだ。
俺は駅のガラスに映った自分を見て、服装をもう一度確認する。
無難なシャツ。
無難なズボン。
どこからどう見ても、
「一般人です」
という格好だ。
俺はポケットを確認する。
財布。
スマホ。
ハンカチ。
「よし!」
そんな確認をしていると、
「うぇーい!」
聞き慣れた声がしたので振り向くと、柳だった。
「おう、おはよ」
「おはよ!相馬。ごめんね?待った?」
やけにわざとらしい。
しかも、妙にあざとい。
「めっちゃ待ったよ」
「違うでしょーー!」
即座にツッコまれた。
「普通そこは『今来たところだよ』でしょ!」
「今来たところだよ」
「最初からそれ言ってよ!」
ぷんすかしている。
朝から元気だな…。
そんな柳の服装を見る。
俺は勝手に、もう少しかっこいい感じの服で来るのかと思っていた。
けれど今日は、思ったより可愛い系だった。
普段学校で見る姿とは少し違う。
「柳って結構、可愛い系の服着るんだな」
「え?」
柳が俺を見る。
そして――
「似合ってる?」
「ん?」
「可愛い?」
「……」
「可愛い? 可愛い?」
少しだけ身を乗り出して聞いてくる。
すごい圧を感じる…。
「はいはい。可愛いです」
「ありがと!」
満足そうに頷いた。
……なんなんだ。
そんなやり取りをしていると、駅の向こうから二人が歩いてきた。
「お待たせー!」
天沢と楠木だ。
「おう」
まず天沢を見る。
落ち着いた服装だった。
しっとりした雰囲気というか。
なんというか――
大学生みたいで、大人びてる。
思わずそんなことを考える。
そして隣の楠木。
ボーイッシュというほどではない。
けれど、どちらかといえば可愛いよりも、かっこいい。爽やかな雰囲気の服装だった。
なんだろう。
今日は3人とも、いつもと少し違って見える。
学校では制服だから気づかなかっただけなのかもしれない。
「ごめんねー!」
天沢が近づいてくる。
「全然」
「私たちも今来たとこ!」
と柳が言う。
「それじゃ、行こっか!」
天沢が言って、4人で歩き始める。
ショッピングモールまでは、駅からそれほど遠くない。
俺の左右を女子3人が歩いている。
改めて考えると、すごい状況だ。
男1人。
女3人。
男女比率、1:3。
俺は今日1日、この環境でやっていけるのだろうか。
そして――
俺は荷物持ちになるのだろうか。
妹と出かけるので慣れてるからな…。
そんなことを考えながら、俺たちはショッピングモールへ向かった。




