↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
1章 一学期編
PR
35/107

35.副会長と密談?

その日は、体育祭とは別の仕事をしていた。


学校全体の運営に関わる予定。


これからの行事や活動の日程を整理して、その段取りを考える。


なぜか副会長から指名された。


「月城、これをやってくれ」


「…俺ですか?」


「佐藤には許可を取ってある。頼めるか?」


「それなら大丈夫です」


「よし」


副会長は小脇に過去の資料を抱え込んでおり、隣の会議室で作業するため移動した。


資料を広げ、今年度の予定を確認する。


「月城も、副会長になるなら作り方は覚えておけ」


「いや、俺、副会長とかそういう役職はごめんですよ?」


思わず即答する。


「む……そうなのか?」


「はい。できれば平社員のままがいいです」


「橘は、ああ言っていたが……やはり嫌か?」


「嫌ですね……」


「そうか……」


それだけ。


……なんなんだよ、この人。


話の要点がどこにあるのか、たまに分からない。

俺に要職についてほしい気持ちなのか、ただ落胆しているのか…。


でも、仕事の説明は分かりやすい。

人との会話だけ、ちょっと独特なのだ。


俺たちは今年度の大まかな予定を確認し、期間を決めていく。


最終的には教師に提出する。


そこで修正されることもある為、そこまで重い仕事ではない。


そうやって黙々と作業していると。


「そういえば」


副会長が口を開いた。


「最近、生徒会で佐藤がよく笑うようになったな」


「……そうですか?」


思い当たる節がない。


俺の中では、佐藤先輩はいつも通りだ。


そもそも、


あっはっはっは!


なんて笑っているところを見たことがない。


せいぜい、少し口元が緩むくらいだ。


「佐藤は1年の時も生徒会だった」


「そうなんですか」


「ああ。俺が会計で、その時の補佐が佐藤だった」


「へえ……」


意外だった。


「その頃は、全然笑わなかった」


「今もそんなに笑ってないですよ?」


「仕事を全うする。それだけという感じだった」


副会長は淡々と話す。


「佐藤は今の方が楽しそうだ」


「……生徒会の仕事に慣れてきたんじゃないですか?」


俺がそう答えると。


「いや」


副会長は少し考えてから言った。


「それもあるだろうが……楽しいんだろう。お前とが」


「……」


その言葉を聞いて、なんとなく嬉しくなった。


佐藤先輩が楽しいと思ってくれているなら。

それは、俺としても嬉しい。


「月城みたいなやつが補佐していると、仕事もしやすいだろうし」


「いやいやそんなことは」


「喋りやすいと思う」


「俺だけのおかげってことはないですよ」


少し笑いながら返す。


「第一、俺と喋ってる時、全然笑わないですし」


すると、副会長が怪訝そうな顔をした。


「……何を言ってるんだ」


「え?」


「お前と話してる時が1番笑ってるじゃないか」


「……」


俺は固まった。


「……笑ってます?」


「笑ってる」


「……そうですか?」


全く分からなかった。


副会長は少し呆れたように俺を見る。


俺は考えてから言葉を続けた。


「まぁ…副会長が1年の時に佐藤先輩に教えてたみたいに、佐藤先輩も俺に教えたいんじゃないですかね」


「……」


「それなら、そういう環境を作ってくれたのは副会長のおかげだと思いますよ」


副会長が、ほんの少しだけ目を細めた。


「……嬉しいこと言ってくれるね」


「本当のことですから」


それで話は終わった。


俺たちは残りの仕事を片付け、その日の生徒会活動を終えた。



会議室から出る。


すると、ちょうど同じタイミングで佐藤先輩も生徒会室から出てきた。


「あ」


「……月城くん」


「すいません。今日は体育祭のこと、できなくて」


「別に、大丈夫」


「そうですか」


「うん」


それだけ。


たったそれだけの会話だった。


でも。


「……」


なんとなく。

最初の頃より、柔らかくなった気がする。

表情も、声も。

ほんの少しだけ。


「多分だけど……」


俺はそう呟いて、生徒会室を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。