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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
1章 一学期編
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25/107

25.土曜の誘い

オムライスを食べ終えた俺は、2人分の皿を持ってキッチンへ向かった。


皿を洗っていると、リビングから葵の声がした。


「そういえばさ」


「ん?」


「最近、柳先輩とよくLINEするんだけど」


「柳と?」


「うん。マジで面白い人だね」


「そう?」


「うん」


葵はスマホを眺めながら笑っている。


「だって、最初はお兄の話してたんだけど」


「……俺の話?」


「そう。でも途中からもう全然関係ない話になって、それでも面白いのよ」


「いや、聞いてないし」


俺は皿をすすぎながら聞き返す。


「俺の話って何?」


「それは…企業秘密」


「教えてよ」


「嫌」


「頼む」


俺は少し考える。


「俺のここがかっこいい!とか?」


「……」


「柳の恋愛相談で俺の名前が出てきたとか?」


「そうだと思う?」


「絶対違うと思う」


「そうだよね」


「なんだよ、それ」


葵は楽しそうに笑っている。


しかし。


柳は誰とでも仲良くなれるとは思っていたけど、年下からもこうやって好かれるのはすごいな。


そのとき。


「ほら」


葵がスマホを差し出してくる。


「見て。学校でのお兄」


「……」


画面には、俺が1人で昼飯を食べている写真。


「おい!なんだその写真」


「ふふ」


葵は得意げな顔をしている。


「ボッチじゃん!」


「違う」


「お兄、ボッチじゃん!」


「俺はソロが好きなんだよ」


「ふーーーーん」


明らかに納得していない。


「本当に?」


「本当」


「ふーん」


葵はそれ以上追及しなかった。


ただ、またスマホを眺め始める。


どうやら、まだ柳とLINEを続けているらしい。


……まあ。


楽しそうならいいか。


俺はそう思いながら、リビングを後にした。




自分の部屋に戻り、ベッドに腰を下ろした。

一息つくために横になろうとした時、スマホが震えた。


画面を見る。

天沢からだった。


『今電話できる?』


「……?」


珍しい。


俺は、


『できるよ』


と返す。


すると、すぐに着信が来た。


「もしもし」


『もしもし。ごめんね、夜遅くに』


「全然いいよ。どうした?」


『えっとね……明日のことなんだけど』


明日。


土曜日。


天沢の話によると、生徒会から頼まれている仕事があるらしい。

クラス委員の天沢と、もう1人の男子――山本が参加する予定だった。


しかし。


『山本くん、急に熱が出ちゃったみたいで』


「マジか」


『うん。それで休むことになって』


「なるほど」


『それで……相馬くんにお願いできないかなって』


「俺?」


思わず聞き返す。


『うん』


「いいけど、俺でいいのか?」


『全然大丈夫だから』


天沢は即答した。


『むしろ助かる』


「そういうことなら」


『ありがとう!』


天沢がほっとしたような声を出す。


「で、何するの?」


『地域の清掃ボランティア』


「清掃?」


『うん。生徒会から頼まれてて、地域の人たちと一緒にやるんだって』


なるほど。


『集合は10時。生徒会室ね』


「了解」


『服装は制服』


「分かった」


『本当にありがとう、相馬くん』


「いや、別にいいよ」


『助かったよ』


そこまで言われると、断る理由もない。


「じゃあ、明日10時に生徒会室で」


『うん!よろしくね』


「よろしく」


通話を切る。


スマホを机に置いた。


明日は土曜日。


本来なら、ゆっくり寝てゲームでもしている予定だった。


それが急遽、地域清掃のボランティア。


しかも生徒会… たしか1年のメンバーは未定だったはずだ。天沢は選ばれているのか?そう思い俺は目覚ましをセットする。


「……今日は早めに寝るか」


そう呟いて、布団に入った。

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