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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
3章 2学期編
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107/108

107.少しの変化

文化祭が終わり、日常へと戻る。


文化祭を通して、クラスの人たちとの距離は少し縮まった。


一方で、生徒会では3年生の先輩たちと一緒に仕事をする機会が、もうほとんど残っていない。

先輩たちは大学進学に向けて勉強に集中するだろう。


俺も将来に向けて、どの方向に行くかくらいは考えておいてもいいかもしれないな。


「…っくしょん!!」


俺は絶賛風邪を引いた。

熱はないが鼻水と喉の痛みがあるので、マスクをつけている。


「大丈夫?相馬くん」


ホームルームが始まる前、憂華が俺を心配してくれている。


「…大丈夫、熱ないし」


「それならいいけど、保健室行く?」


保健室で授業をサボるのも悪くない。

なんか不良になった感じするし。


でも本当に体調が悪い場合、なんか負けた気がするんだよな。


「いや、問題ない」


「…それならいいけど」


憂華は前を向き、近づいてきていた友達と話を始めた。


ホームルーム開始後、先生の話を聞きながら、ぼーっとする意識を留めるようにペンを握っていた。


「ーーーくん」


「ーー相馬くん!」


「ー起きて、相馬くん!」


「ん、…すいません」


俺は寝ていたみたいだ。

気づけば顔が少し熱い。

青山先生に起こされたが、体調が悪いことはわかってもらえた。


「やばいかもです」


「保健室行く?」


「そうします」


他の人に移したら悪いし、俺は保健室へ向かうことにした。


「保健委員の子、付き添ってあげて」


「いえ、大丈夫です。1人で行けます」


俺は先生の話を制止して、1人で保健室に向かうことにした。

教室を出て廊下を歩いていると、水野さんが後ろから近づいてきた。


「保健委員だから私」


水野さんは俺から聞かれる前に先に言ってきた。


「1人で行けるけどな。男子の保健委員は?」


「藤堂くんだけど、隣の席のよしみで来てあげたわけ」


「なんだそれ」


俺はゴホゴホと咳をしながら、マスクの位置を直す。


「朝から体調悪いなら休めばいいじゃん」


「朝は熱もなくて大丈夫だったんだよ」


俺は保健室の前に来て、水野さんを追い払う。


「ありがとう、助かったよ」


「いや、私も入るけど?」


まじかよ…。まぁいいや。

俺は保健室の扉を開き、中に入る。


保健室の先生は青山先生から連絡をもらっていたみたいで、すでに待機していた。

体温を測り、症状を診てベッドで休むことになった。


「ありがとうございます」


「少し休んでも良くならなかったら帰りましょうね。親御さんに連絡入れる?」


「いえ、大丈夫です」


仕事を抜けて来てもらうのは申し訳ない。

俺はそのまま休むことにした。


「水野さんも教室に戻っていいわよ」


「わかりました、失礼します」


「ありがとうな、水野さん」


水野さんは俺に手を振り、教室へと戻っていった。

水野さんが俺に手を振る…?

俺は幻覚を見たのかもしれないと思いながら、目を閉じた。



昼休みのチャイムが鳴り、俺は目を覚ました。


「ん…」


俺は起きて、カーテンを開けると保健室の先生が椅子に座っていた。


「あら、起きたの」


「今昼ですか?」


「ちょうどお昼休みだね。体調はどう?」


俺は体温を測り、喉の調子などを確かめた。

微熱が残っていて、まだ回復していない感じだった。


「今日は帰ります」


「わかったよ、お迎え呼ぶ?」


「いえ、大丈夫です。帰れます」


「ん、わかった。気をつけて帰るんだよ」


俺は頷き、ベッドから立ち上がる。

少しふらつく感覚があるが、家に帰るまでくらいなら問題なさそうだ。

俺は教室に荷物を取りに行くことにした。



「相馬くん大丈夫?」


俺が教室に入ると、全員から注目されていた。

そりゃ朝からいない俺が来たら見られるよな…。


「大丈夫だ憂華」


憂華は夕や彩葉とご飯を食べており、みんなが心配してくれた。


「微熱があるから、今日はもう帰る」


「1人で大丈夫なの?」


「問題ない」


俺は机の鞄を取るために、少し前屈みになるとふらついて机に手をついた。


「いや、全然ダメそうじゃん!ついていくわ私」


彩葉が席を立ち上がろうとする。


「ありがとう…気持ちだけ受け取っておくよ」


俺は彩葉が立つのを手で制止して鞄を持つ。

俺は「また明日な」とだけ伝え、教室を出た。


廊下が曲がってるような感覚になるが、歩けないほどじゃない。

俺はそのまま歩き、校舎を出た。


俺はほてった体を外の空気で冷やす。

季節は冬になろうかというところ。


「色々柄にもなく動きすぎたのかもな…」


俺はポツリとつぶやく。



電車に揺られ、家についた。

家には当然誰もおらず、1人だ。


俺は自分の部屋で寝ることにした。

ブレザーを脱ぎ、そのままベッドに横たわる。



ガチャという玄関の音で目が覚めた。

妹が階段を登ってくる音が聞こえる。


コンコンとノックの音が自室のドアから聞こえた。


「お兄起きてる?」


「…今起きたよ」


ドアが開くとまだ制服姿の妹が鞄を持ったまま立っていた。


「柳姉から聞いたんだけど、体調悪いの?」


「寝たらある程度良くなってきたよ」


「そっか、欲しいものあったら言いなね」


よくできた妹だ。葵は俺が無事なのを確認し、階段を降りていった。

俺はスマホを確認すると、通知が何件か来ていた。

憂華、夕、彩葉。

そして、水野さん。


「珍しいな」


水野さんから連絡が来ること自体珍しいし、内容も気になるので真っ先に確認する。


『元気ですか?』


「ふっ…なんだそれ」


俺は思わず吹き出し、すぐさま返信した。


『大丈夫だよ。心配してくれてありがと』


すぐに既読がついた。


『大丈夫ならいい』


あまりにも簡素な返答だが水野さんらしい。

俺は体を起こして、体温を測る。


「下がってるな」


まだ微熱があるものの、ご飯を食べてまた休めば良くなるだろう。

全快とはいえないが、明日は学校に行けるかな。



俺は今日を思い返す。

たくさんの人が心配してくれたが、俺はそういうのに慣れていない。


「明日、ちゃんとお礼を言おう」

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