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普通の高校生の、特別な日常  作者: しゃー
1章 一学期編
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10.兄姉と妹弟の偶然

柳とは連絡先を交換していた。


図書委員の連絡に使うためだったが、最近では図書委員とは関係ない連絡も来るようになっていた。


その日も夜、スマホが震えた。


柳からだった。


『昨日の数学やばー』


『まだよく分かってないんだけど』


『無理なんだけど』


『ていうか高校のテストってどんな感じなの?』


……内容がありそうで、あまりない。


適当に返事をしていると、またメッセージが届いた。


『そうだ!』


『今日話した弟!』


写真が一枚送られてきた。


「……おお」


昼間話していた弟。


柳と弟が一緒に写っている。


弟は細身ではあるものの、しっかり筋肉がついている。

中学2年生の体つきにしては、なかなか鍛えられている。


野球部でサード。


なるほど。


俺の勝手なイメージでは――


3番、サード。


……なんとなく、そんな感じがする。


そして柳。


写真には加工が入っている。

加工はされている。

されてはいるんだけど……。


「……柳、部屋着すぎないか?」


どう見ても完全に家モードだった。


学校で見るときとは雰囲気が全然違う。

髪も適当にまとめているし、表情も普段より力が抜けている。

俺はしばらく写真を眺めていた。


すると、またメッセージが来る。


『相馬も妹と写真撮って送ってよ!』


「……は?」


なんでそうなるんだよ。


『見たい!』


『どんな妹なの?』


「いや、急だな……」


とは思ったものの、断るほどのことでもないか。


そう思い、俺はリビングへ向かった。



妹はソファに座ってスマホを触っている。


「……」


特に何も説明せず、俺はスマホをインカメラに切り替えた。


妹の横に座る。


そして――


ピース。


ドスッ!!


「痛った!!!!!」


シャッター音ではなく、横腹に蹴りが入った鈍い音がした。


「なに!?」


妹がものすごい顔で睨んでくる。


「勝手に撮らないでよ!」


「いや、待て待て」


俺も横腹を押さえながら言う。


「説明しなかった俺が悪い」


「当たり前でしょ!」


「でも、蹴りはなしだろ…」


改めて経緯を説明する。


「ほら、俺のクラスメイトがさ」


俺はスマホの画面を見せる。


「弟と一緒に写真撮ってて、妹の写真くれって言われたんだよ」


「……?」


妹が画面を覗き込む。


そして――


「あれ?」


「ん?」


「柳じゃん、これ」


「え?」


「柳優貴でしょ?」


俺は写真を見直す。


「……知ってるのか?」


「同じクラスだし」


「まじかよ」


まさかの繋がりだった。


妹も中学2年。

柳の弟も中学2年。


ということは――


同じ中学校だったのか。

まぁ、そうだよな。土地勘が無い分中学がどのくらいあるか掴めていないが、その可能性も充分あった。


「なるほどな」


妙に納得する。


「じゃあ、いいだろ?」


俺はもう一度スマホを構える。


「ほら、写真1枚――」


「絶対嫌!!!」


即答だった。


さっきより拒絶が強い。


「なんで!?」


「勝手に撮ろうとしたから!」


「だから謝ったじゃん」


「そういう問題じゃない!」


……駄目らしい。


俺は諦めてスマホを下ろした。


仕方ない。


俺は柳にメッセージを送る。


『ごめん、妹に蹴られた』


送信した数秒後。


『え!?なにそれ笑』


『写真は!?』


『無理だった』


『なんで!?』


『勝手に撮ろうとして怒られた』


しばらく既読がつかない。


そして――


『相馬、妹にちゃんと説明してから撮りなよ笑』


……まぁ…そうなんだけどな。

説明しても拒否100%だったろうしな。


俺はそう思いながらスマホを閉じた。


まあ、仕方ない。


妹の写真は諦めてもらおう。

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