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気まぐれ異世界遊戯  作者: yoshi
第五章 極悪貴族と姉妹の幸せ
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謎の女性レナ

飲み比べ勝負が終わったときにはカルロスはバーで寝ていた。結局、飲み比べ勝負でカルロスは負けたのだ。全くとんでもない女もいたものだ。あんな細い体のどこに入っていくのか不思議でしょうがない。しかも飲んでるのは度数が96を超えるスピリタスだ。


もっともカルロスは飲み比べ勝負が始まる前から、相当な量を飲んでいたので純粋な勝負とは言えない。それでも、見ず知らずの女性に飲み比べで負けるというのは、カルロスにとって屈辱以外の何者でもなかった。だが、同時に女性の飲みっぷりに男気を感じ、惚れ惚れもしていた。


「ほら、そろそろ起きな。そんなとこで寝てると風邪引くよ。」


女はカルロスにそっと囁く。派手な外見や豪快な飲みっぷりとは裏腹に、船員に頼んで、寝ているカルロスに毛布をかけてあげるなど、優しい一面も持っていた。カルロスが目を覚ますと、自分を下した女が自分を見下ろしているのに気づく。


「すげぇな、あんた。まさか俺が飲み比べで負けるとは思わなかったぜ。たいしたもんだ。この毛布もあんたがかけてくれたのか?ありがとよ。確か負けたら、あんたの頼みを聞くって話だったな。いいぜ、何でも言ってみな。・・っていいてぇとこだけどよ、これからちぃっとダチの手伝いでノルヴェ村ってとこにいかなきゃいけねぇんだ。ワリィがその後でもいいか?」


「ノルヴェ村って、まさか、あの貴族ゴクアと領主タイタンが圧政を強いてるって言う、あのノルヴェ村かい?随分、物騒なとこ行くんだねぇ。よっぽどの事情でもあるのかい?」


「そういうわけでもねぇんだけどな。俺は元々、連れと一緒に旅行に来ただけだったんだ。この船にも乗ってるんだけどよ。他にも王都フランに行ってる奴らもいる。簡単に言えば、皆で協力して、ゴクアとタイタンぶっちめて、ノルヴェ村の連中救い出そうって話さ。」


「簡単にって・・全然簡単じゃないじゃない。ぶっちめるって気軽にいうけど、ゴクアやタイタンがどんな連中か知ってるのかい?いや、私も噂でしか聞いた事無いから、そんな詳しいわけじゃないんだけどさ、あの村は相当やばいってのは聞いてる。それにゴクアは貴族の中でも、かなりの実力者らしいじゃないか。あんなのに立ち向かうってんなら、あんたらも相当な人数がいるんだろうけどさ、それでも、危険じゃないのかい?」


「危険は承知の上だけどな。人数については、そんなにいない。ノルヴェ村に向かうのは俺とこの船に一緒に乗ってるダチ二人だけだ。他に、王都フランに向かってるのが三人ぷらす一名。港町ハーバーに残ってるやつも二人いるが、こいつらは守ってやる側の人間だから戦力には入らねぇかな。」


「ちょっ、ちょっと待てよ。そんな人数でゴクア達に立ち向かおうってのかよ?危険とかじゃなくて、単なる無謀だろ。何考えてんだよ?」


「まっ色々事情ってもんがあらぁな。それによ、案外無謀でもねぇんだな、これがよ。俺たちこう見えても、これまでに、けっこう色んなトラブル解決しててよ、まぁほとんど俺様の活躍のおかげなんだけどな。仲間も俺の足を引っ張らねぇ程度には役に立つやつらでよ。ってなわけでよ、あんたの頼みを聞くのは、ワリィがゴクア片付けてからにしてくれや。」


女はあきれかえっていた。酒の飲みっぷりは豪快だが、そんな人数でゴクアに立ち向かうなんて頭の中身も豪快なのだろうか?普通に考えれば間違いなく全員、討ち死に待ちがいなしだ。だがこのカルロスという男は、なんでこんなに平然としていられる?


それなりには強いのかもしれないが、いくら一対一で兵士に勝てたとしても、ゴクアの私兵団は小国の軍勢なみの数がある。加えてタイタンは類い稀なる怪力の持ち主であり、さらに、ほぼ一切の魔法が効かないという。


「本当に何考えてんだよ。それじゃ、私の頼み聞いてもらうのはあきらめるしかないじゃないか。これから死んでゆくやつに何を言っても無駄だよな。」


「いや、約束は守るぜ?俺は必ずあんたの頼みを聞きに戻ってくる。っていうかよ、あんたも俺たちと一緒に来ねぇか?なぁに、一緒にゴクアやタイタンと戦ってくれなんて言うつもりはねぇ。でもよ、さっきいった船に乗ってる俺のダチ二人ってのが、カシワとリアって言うんだが、付き合っててな、俺一人だけ男が余ってて寂しい状態なんだよ。別に戦わなくていいから、俺たちと一緒にノルヴェ村行こうぜ。」


「なんで、あたしがそんな危険な村にいかなきゃならないのさ。いやだよ、どんな目に遭わされるか分かったもんじゃない。」


「・・だよなぁ。ま、そりゃそうだな。女の身とあっちゃ尚更危険だしな。特にあんたみたいな美人ならよ。ワリィな、思いつきで変な誘いかたしちまってよ。」


「ふぅん、あたしのこと美人だって思ってくれてるんだ?一応礼は言っておくよ。そういえば、まだ名乗ってなかったな。あたしはレナ。あんたは?」


「カルロスだ。それから、さっきも言ったが、俺と一緒に船に乗ってるのがカシワとリア。王都フランに言ってるのが、リッチマンとニーナとランシアだ。ってこんな一遍に名前言っても覚えられねぇか。とりあえず、俺の名前だけ覚えてくれればいいぜ。」


「カルロスね。OK、それだけなら覚えられる。なぁ、カルロス。もし、あたしがさっきのあんたの話受けるって言ったら、道中あたしを守ってくれるかい?」


「さっきの話って・・ノルヴェ村に一緒に行くって話か?」


「他に何があるのさ?」


「そりゃ、同行するってんなら、俺から誘った事なんだし、守ってやるけどよ。でも、あんたが自分で言った通り、危険だぜ?いや、自分で誘っておいて今更なんだがよ。」


「確かに今更だな。よし、あんたらについていくことにするよ。男一人だけ余ってて寂しいんだろ?」


「まじかよ!?本当にいいのか?」


「ああ、女に二言はないよ。」


カルロスは呆れながらもレナを連れて、カシワとリアの部屋に向かう。ドアを開けると、リアがカルロスを迎え入れてくれた。


「どうしたのよ、カルロス。その人ナンパしてきたの?」


「いや、そういうわけじゃねぇんだけどよ、成り行きでな。俺らと一緒にノルヴェ村に行く事になった。」


リアが話しているとカシワも奥から顔を出す。


「どうしたんだ、リア?なんだ、カルロスじゃん。どうしたんだその女性?」


「わっサキュバスの女性なんて初めて見た。なんか、新鮮〜 あなたたちがカシワとリアね。あ、初めまして、レナです。宜しく。」


「え、ああ、宜しく。どうしたんだよ、カルロス。その女性誰だよ?」


「さっきそこのバーで、俺と飲み比べしててよ。負けちまったから、頼みを聞く事になったんだ。んで、なんつうか、一緒にノルヴェ村に行ってもらう事になった。」


「ちょっと待て、カルロス。よく意味分からんが・・おまえが、飲み比べで負けたのかよ?」


「何度も言わせんなよ。俺だって悔しいんだからよ。」


ふぅん、カルロスが飲み比べでねぇ。世の中には化け物ってけっこういるのかもな。


「へぇ、レナさんでしたっけ?すごいですね。普段からそんなに飲まれるんですか?」


「そんなことはないさ。ただこのカルロスの飲みっぷりに惚れちまってね。つい、あたしも熱くなっちまったのさ。」


リアもレナの飲みっぷりに驚愕したようだ。


「体格は私とそんなに変わらないのになぁ。私もレナさんみたいなカッコいい女性になりたいよ〜」


「あんたは十分可愛いじゃないか。側に彼氏もいるんだし、別に言うことなしなんじゃないのかい?」


「それは、まぁそうなんだけどさ。でもレナさんみないなイケてる女性って、憧れちゃうのよね。レナさん男性よりも女性からもてるタイプでしょ?」


「随分なこと言うじゃないかい。まぁ別にいいけどね。それよか、あんたら本当にノルヴェ村に行くつもりなのかよ?」


ああ、まぁ普通はあんな危険なとこ好き好んでいくやつはいないよな。俺も本当はリニアさん助けた段階で、もういいんじゃないかって正直思ってたし。でも、それで終わりになってくれないんだよなぁ。世の中上手くいかないもんだ。


「まぁね。正確には一旦ノルヴェ村から帰ってきて、もう一回行くところなんですよ。」


「はぁ・・なんていうか、まぁ、何考えてんだよ、あんたたちは。」


「それがその・・成り行きってやつですかね、これも。そもそも本当は只の観光旅行に来ただけなのになぁ。」


「そうだよね。カシワがカジノで変な騒動に巻き込まれるからだよ。」


「でも、そのおかげでライラやリニアに出会えたんだろうが。それにこれはこれで、普通じゃ味わえねぇ旅の醍醐味ってやつが味わえるぜ。」


「カルロス、多分その醍醐味って意味が違うと思う・・でもまっ、ライアンさんやチューギー、レナさんにも会えたんだし、マゼランやディアナにも会えたんだ。これはこれでいいのかもな。」


マゼランの名を聞いて、レナが顔を引きつらせる。


「マゼランってまさか、あの海賊のマゼランじゃないよな?」


「いや・・それが、そのまさかなんだよね。普通の海外旅行じゃ、海賊船なんて乗れないよなぁ。」


「一体なんなんだよ、ありえないだろ、あんたら。」


レナさんは大きくため息をついた。まぁ、そもそもがありえない災難ばっかだもんな。話聞くだけじゃ、信じてもらえないかも。


「ふぅん、中々面白そうじゃんか、あんたたち。ただ一緒についてくだけじゃつまらなそうだな。決めた。あたしもあんたらの戦いに参加させてもらうよ。」


今度は俺たちの方が驚く。一緒に戦うってまじでか。この世界の女性陣って勇ましい人多くないか?


「危険ですよ。いいんですか?っていうかレナさん戦えるんですか?」


俺が聞くと、次の瞬間にはレナは俺の喉元に短刀をつきつけていた。なんだこれ?まさか、俺がまばたきしてる間にやったのか?


「どうだい?足手まといにはならないと思うけどねぇ。」


レナは声高らかに笑い出した。レナさん、あんたが一番ありえないと思うよ・・俺は心の中でそっと呟いた。

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