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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第66話 クリムゾンドラゴンの肉


「それではあとは任せたぞ」


「はい、領主様。この度は領主様自らお出向いていただきまして、誠にありがとうございました」


「「「ありがとうございました!」」」


 クリムゾンドラゴンの残りの解体と運搬はルーカスと騎士団の者へ任せて、我らはグリフォンに乗って先に屋敷へ帰る。


「頼むぞ、エリオン」


「キィ!」


 エリオンが大きく翼を広げ、空へと飛びあがる。ミラの乗るガルオンもしっかりとあとをついてきた。


 帰りは優先して解体したクリムゾンドラゴンの肉をエリオンとガルオンの背に載せているため、行きよりも速度が遅く、乗る場所も狭く窮屈になってしまったが、無事に屋敷まで戻ってきた。




「あっ、お姉ちゃんだ!」


「シスター、アルテリアお姉ちゃんが帰ってきたよ!」


「領主様、かっけ~!」


 街の屋敷へ戻ると、屋敷の外で遊んでいた子供たちが騒いですぐにグリフォンの周りへ集まってきた。屋敷の中から修道女も外へとやってくる。


「みんな無事で本当に良かったわ! あら、アルテリア。顔が赤いけれど大丈夫?」


「……あ、ああ、大丈夫だぜ!」


「ふむ。怪我はないはずだが、もしかすると疲れが出たのかもしれぬな。ゆっくりと休むといい」


「お、おう」


「ぐぬぬぬ……」


 グリフォンから降りたアルテリアの顔は確かに少し赤かった。クリムゾンドラゴンとの戦いで負った傷はすでにミラが治したはずだ。聖剣を使った戦いや慣れぬグリフォンの移動で疲れが出てきたのかもしれない。


 ……ミラの方はなぜかアルテリアの方を睨んでいる。相変わらず2人の仲はあまりよくないようだ。


「アルテリアの狩ってきたクリムゾンドラゴンの肉だ。みなで分けて食べるがよい」


「わ、私たちのような者まで、いただいてもよろしいのでしょうか!?」


「うむ、アルテリアがひとりで狩ってきたのだから当然であろう」


 このクリムゾンドラゴンを狩ったのはアルテリアだ。輸送や解体、アルテリアの武器や防具の制作などをするとはいえ、我らや騎士団の者は何もしていない。


「いや、ゼノン様が力を貸してくれなきゃ、俺ひとりじゃ絶対に無理だった! 騎士団に入ることもできたし、本当に感謝しているぜ!」


「それも含めてアルテリアの力であるぞ」


 我がというよりも聖剣の力であるな。それを扱う技量と聖騎士という祝福。十分に騎士団へ入る素質はあったようだ。


「まあ、おめでとう、アルテリア!」


「やったね、お姉ちゃん!」


「ああ、サンキューな」


 修道女や子供たちがアルテリアを囲む。人族の中では騎士団に所属するというのは栄誉あることなのだろう。


 さて、用はすんだことだし、我の屋敷へ帰るとしよう。




「ほう、これは美味であるな! これまで食した肉の中でも一番かもしれぬ」


「ええ、これは見事ですね」


「とってもおいしいです!」


 屋敷へ戻り、早速クリムゾンドラゴンの肉を使った料理を屋敷の者へ作らせた。


 ミラとセレネもこの肉の味には満足しているようだ。我ら魔族も肉を焼いて食べるが、この肉のように火加減を細かく調整したり、塩以外に様々な香辛料を組み合わせたりはしない。こういった料理に関しては人族の方が遥かに上である。


 クリムゾンドラゴンの肉はまだかなりの量があるゆえ、明日にでも魔族の里の者へ届けるとしよう。


「ゼノン様に褒められ、料理人の者も喜んでいるでしょう。……本当に我々までいただいてもよろしいのでしょうか?」


「うむ、屋敷の者は日頃よく我に仕えてくれているからな。こういった時くらいは労ってやらねばな」


「……なんたる誉れ。ゼノン様、感謝いたします」


 そう言いながら頭を下げるユルグ。余ったクリムゾンドラゴンの肉は屋敷の者にも与える。


 ……というか、クリムゾンドラゴンの肉は確かに美味であるのだが、我らでは食べられる量に限界がある。魔王であったころの身体であればいざ知らず、この幼き身体では余らせてしまう。ミラも同様だし、この屋敷で一番食べるのはセレネであるが、それでもそこまでの量は食えぬ。


 普通の人族の貴族であれば周囲の貴族の者に振る舞うらしいが、無能な貴族の者どもに分け与えるくらいなら我によく仕えている者に振る舞った方がいい。特にユルグはよくやってくれているからな。


 配下に褒美を与えるのも王たる務めである。


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