第65話 見出した力
多少の火傷を負っていたようだが、ミラの聖魔法によって一瞬で怪我が癒える。相変わらずミラの聖魔法も見事なものであるな。
「……すげえ、これが聖剣の力か。あの硬そうなドラゴンの鱗が余裕で斬れたぜ!」
「いや、どちらかというとアルテリアの腕に驚いた。それにいくら聖剣だからといって、手にすることによりあのように光り輝くものなのか……?」
「ああ、俺の祝福は『聖騎士』だから、もしかするとそれと相性がいいのかもしれねえな」
「せ、聖騎士!?」
「すごい、めちゃくちゃ珍しい祝福だ!」
ルーカスの問いにアルテリアが自身の祝福を明かすと、他の騎士団員たちがざわめき立つ。
やはり人族の中では祝福がとても大事らしい。我も闇魔法という祝福を得ただけで殺されそうになったしな。それにしても、そんな有用な祝福を持ったアルテリアを勇者の子孫だからと迫害していたアデレア国はやはり使えない国のようだ。
「なあ、これで俺は騎士団に入れるのか?」
「あ、ああ、もちろんだ。聖剣の力があったとはいえ、あのクリムゾンドラゴンをたった一人で倒せる実力を持つ者ならば資格は十分ある。というよりも、普通は聖騎士という祝福がある時点で今後に期待し、とりあえず入団させるもののだがな……」
「よっしゃあ! まあ、向こうの国のやつには俺の祝福は教えなかったんだ。本当にロクでもねえやつしかいなかったからな」
確かに自分たちを迫害してくる者に対して自身の祝福を伝えるわけはないか。それを我だけでなくルーカスたちに伝えたということは多少なりとも騎士団の者を信用しているということになる。ルーカスはアルテリアのことを心配して助言をしていたし、性格的な相性も悪くなさそうだ。
とりあえず、実力的にもアルテリアが騎士団に入ることは問題なさそうてあるな。
「ゼノン様、おかげで騎士団に入ることができた。本当にありがとう!」
「別に我は何もしていない。アルテリアの実力のおかげであろう。もしかすると有事の際はまた力を貸してもらうかもしれぬ」
「ああ、いつでも言ってくれ!」
アルテリアがクリムゾンドラゴンの血をぬぐった聖剣を我に返してきたので、それを受け取る。
聖剣とアルテリアの力もわかったことだし、やはり聖騎士という祝福と聖剣の相性はかなりいいようだ。またアルテリアの力を借りる際は聖剣をこの者へ任せるとしよう。
「……仕方がないですね。治療はしてやりますから、しっかりとゼノン様のお役に立つのですよ」
「へっ、言われるまでもねえぜ!」
ミラもアルテリアの実力を自身の目で見て、多少はその力を認めたらしい。聖剣の力もあったとはいえ、援護もなしにあの力ならば人族の中ではかなり優秀である。
「それにしてもさすがゼノン様ですね! まさか聖騎士の祝福を持った者を他国からこの国の騎士団へスカウトしていただけるとは本当に驚きましたよ!」
「いや、そういうわけではないのだがな。それに騎士団へ入りたいというのはアルテリアの意思だ」
ルーカスはそう言うが、そこまで考えてアルテリアを誘ったわけではない。それに我の領地へ来ることを決めたのはこの者自身が考えた結果である。
「ふっふっふ、ご謙遜なさらずとも結構ですよ」
「ええ、ゼノン様ならば当然のことです!」
「………………」
ルーカスとミラが勝手に納得したように頷く。
そもそもアルテリアの祝福を知ったのはこの国へ来てからである。ミラもそのことは知っているはずなのだがな。
「よし、これくらいあればよいか」
「これがドラゴンの肉か。どんな味がするのか楽しみだぜ!」
アルテリアがクリムゾンドラゴンを倒した後は騎士団の者たちがドラゴンを解体していく。グリフォンにすべて乗せて持って帰ることはできないので、主要な肉の部位だけを先に持ってかえる。
ドラゴンはアルテリアが一人で倒したが、その素材は我と騎士団にもわけてもらう。特にクリムゾンドラゴンの肉は人族が料理をするとどのような味がするのか楽しみである。アルテリアと共にこの国へ来た孤児院の者や修道女にはよい土産となるだろう。
そしてドラゴンの爪や鱗などの素材はアルテリアの武器や防具を作るために使う。今回の討伐でまともな装備を持っていないことがわかったことだし、クリムゾンドラゴンはよい素材となる。アルテリアも本当によいのかと聞いてきたが、むしろよく今まであれで戦っていたものだ。
他の素材などは騎士団の者へ任せ、一部の素材を持ってグリフォンに乗り、先に屋敷へと帰還する。
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周りがチート持ち転移者と転生者だらけの異世界で、俺の固有スキルが【日本帰還】だった。~日本に未練のある祝福者達を助けていたら、ヤバい集団ができてしまった件~
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