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魔王、極悪国家の領主令息に転生す。~闇魔法で人族を支配するつもりが、名君扱いされる~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第59話 伯爵領


「……そんなものはその土地の領主に問題があるだけだろう」


「まったくですね。自分の無能さによって人が離れていくからといって、それを他者の責任にしても仕方のないことでしょう」


「みんな強いゼノン様の庇護下につきたいだけです……」


 自らの愚策のせいで人が離れていくのならば、それはその者の責任であろう。


「はい、まさに皆様の仰る通りです。ただ別の子爵領からだけならば問題はないのですが、伯爵家直属の領地からも人が流れている点に問題がございます。カルヴァドス子爵家はジルト伯爵家の配下でありますので、伯爵様からすればあまり良い気はしないでしょう」


「……まったくもって面倒であるな」


 そういえば人族の世は爵位という面倒なものがあるのだった。我のカルヴァドス家は子爵家で伯爵領よりも下だ。魔族のように実力で統治をするというわけではない。


「これがこのまま続くと伯爵領からの処罰があるかもしれません。少なくとも伯爵領から対策としましては税金をある程度上げますか、伯爵領からの移動を禁じることなどが挙げられます」


「ふむ、ちょうど税を上げようかと考えていたところだが……いや待て、あえてこのままでいくとしよう。伯爵領から移ってきた者でも分け隔てなく受け入れろ」


「よ、よろしいのでしょうか? そうなりますと、いずれジルト伯爵様と対立してしまうことになりますが……」


「なるほど、次はジルト伯爵領というわけですね!」


「が、頑張ります!」


 ミラとセレネは我の言いたいことがよくわかっているようだ。アデレア国の時のようにあえて向こうの国から手を出させて、それを利用すればいい。


 ジルト伯爵とやらはダスクレア領を我の領にする際と、アデレア国からの要請を断る際に使者を送ったが、金と保身だけを考えている小者であった。カルヴァドス領の統治もある程度落ち着いてきたことだし、領地をさらに広げて同胞たちの情報を集めるとしよう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 伯爵領から移ろうとしてくる者も受け入れるようユルグに指示を出してからさらに5日が過ぎた。少なくとも伯爵が何かを言ってくるのはもう少し掛かりそうだ。アデレア国からやってきた使者も帰っていったが、正式な回答を改めて持ってくるのにもあと数日は掛かりそうである。


 今日は再びアルテリアたちのいる屋敷へとやってきた。……アルテリアと相性の悪いミラは置いていきセレネと2人で行こうと思っていたのだが、あの者は危険だからとミラも同行している。


「あっ、領主様だ!」


「シスターを呼んでくる!」


 屋敷へ行くと、庭で遊んでいた子供が我らの方へやってきた。アデレア国にいた時にはだいぶやせ細っていたが、カルヴァドス領への移動やこの5日間でまともな食事をとっていたこともあり、普通の子供のように戻っていた。服もこちらで手配したこともあって、ボロボロの服装からまともな服に代わっている。


 屋敷の一室で待っていると、修道女とアルテリアがやってきた。ミラとアルテリアはお互いに睨み合ってはいるが、以前のようにいきなり言い争いをする気まではないようだ。


「さて、とりあえず5日経ったが、ここでの生活は問題ないか?」


「はい、領主様のおかげで子供たちもお腹いっぱいご飯を食べることができております! 本当に感謝しております」


「……街のやつらも俺が勇者の孫だってのに誰も気にしてねえ。それどころか、あんたの客人だといろいろ優遇してもらった」


 街の者たちもちゃんとアルテリアたちを我の客人として扱っているようだな。


 悪事を働く者は我自ら処刑し、我に貢献する者は聖女であるミラが怪我などを治療していることもあって、随分と従順になったものだ。我が直接手を下さずとも問題はなさそうである。


「ふむ、それならば問題はなさそうだな」


 今のところはアデレア国へ帰りたいという気持ちはないらしい。少なくともアデレア国へいたころよりはまともな生活を送れているだろう。


「他になにか必要なことがあればいつでも言うがいい」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 アルテリアたちが問題ないことを確認し、またミラと言い争いが始まらないうちに席を立とうとすると、アルテリアが我を呼び止めた。


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