3話
第3話を開いていただき、ありがとうございます!きなこもちです。
結局、床ではなく同じベッドで寝ることになってしまった二人……!
無事に(?)朝を迎えることができるのか、そして甘すぎる「行ってきます」の破壊力をお楽しみください!
「お、おい、凛! 起きろ……!」
俺の声に、凛がうっすらと目を開けた。
まだ覚醒していない、とろんとした瞳が至近距離で俺を映す。
「ふぇ……? はると、おはよぉ……」
朝一番の、無防備すぎる幼馴染の笑顔と抱擁。
……これ、毎日続いたら俺の寿命が縮むんじゃないだろうか。
俺は真っ赤になりながら、なんとか凛の腕を解いてベッドから跳ね起きた。
凛もようやく事態を飲み込めたのか、布団を頭から被って「ひゃうっ!?」と変な声を上げている。
「お、俺は先にリビングで朝飯作ってるから! 着替えて降りてこいよ!」
俺は逃げるように部屋を飛び出した。
洗面所で冷たい水で顔をバシャバシャと洗う。鏡に映った自分の顔が、自分でも引くほど真っ赤だった。
◇◇◇
リビングに漂うトーストの焼ける香りと、コーヒーの匂い。
食卓には簡単なスクランブルエッグとサラダを並べた。
しばらくして、制服に着替えた凛が、恥ずかしそうにリビングへやってくる。
「……おはよう、ハルト」
「お、おう。おはよう」
さっきのベッドでの出来事が頭から離れなくて、顔を合わせるのが妙に気まずい。
凛も同じなのか、いつもより大人しく、大人びた仕草で椅子に座る。
「……ハルトの作った朝ごはん、美味しい」
「ただ焼いただけだけどな」
「ううん。お母さん以外の人が作った朝ごはん食べるの、新鮮。……なんだか、本当に一緒に暮らしてるんだなって」
凛は少しだけ照れくさそうに微笑んだ。
学校での『完璧な生徒会長』の凛しか知らない奴らが今の顔を見たら、全員ショックで気絶するんじゃないだろうか。
だが、楽しい時間もここまでだ。
そろそろ学校へ行く準備をしなければならない。
「凛、学校はどうする? 一緒に行くと流石に怪しまれるよな」
「そうだね……。私の家、この近くだってことになってるし、学校の近くでハルトと一緒にいるところを見られたら、すぐに噂になっちゃう」
学校では、俺たちは「ただの幼馴染」。
それも、最近は周りを気にしてあまり話さなくなっていた。
同居しているなんてことがバレたら、一発で大騒ぎだ。
「じゃあ、俺が先に出るよ。凛は10分後くらいに出てくれ」
「うん。わかった」
制服に着替え、通学鞄を肩にかける。
玄関に向かう俺の後ろを、凛がパタパタとついてきた。
「じゃあ、行ってくる」
靴を履いてドアノブに手をかけた時、不意に後ろから、凛に学ランの袖をキュッと引かれた。
振り返ると、凛が少し寂しそうな、でも決意を秘めたような瞳で俺を見上げていた。
「ハルト」
「ん?」
「……学校では、あんまり話せない、けど」
「ああ」
「……早く帰ってきてね。家で、待ってるから」
一瞬、思考がフリーズした。
家で、待ってる。
これってつまり、帰ってきたらまた凛が俺の家にいるということ。
「……おう。すぐ帰る」
「うん!……いってらっしゃい、ハルト」
はにかむような凛の笑顔と、「いってらっしゃい」の言葉。
俺は小さく手を振ってドアを閉めた。
外の冷たい空気が、火照った顔に心地いい。
だけど、胸の奥はまだじんわりと温かいままだった。
(やばい……。家帰るのが、もう今から楽しみすぎる……)
早く放課後にならないかと、俺はまだ始まってもいない1時間目の授業のチャイムを待ち望んでいた。
第3話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
朝起きたら胸の中ですやすや眠る幼馴染……ハルトの理性が限界突破寸前でしたね(笑)。
そして何より、新婚さんのような「いってらっしゃい」!家で待っててくれる幼馴染がいる生活、羨ましすぎます。
「凛ちゃん可愛すぎる!」「朝から甘々で最高!」と思ってくださった方は、作品ページ下の**【☆☆☆☆☆】の評価やブックマーク**をポチッと押していただけると、執筆の大きなパワーになります!
次はいよいよ、学校での二人の様子を描いた第4話です!




