↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけ毎日無料10連!~ハズレ職《ガチャ師》は、世界で唯一ガチャが終わらない~  作者: 春野ケイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/60

第39話 王都までの道

 ベルン村を出て三日目。


 街道は少しずつ様相を変えていた。


 アルト周辺のなだらかな丘陵地帯とは違い、周囲には背の高い針葉樹が立ち並び、空気もひんやりと澄んでいる。


「王都に近づくと、気候まで変わるんだな。」


 レオンは物珍しそうに周囲を見回した。


「地図で見ると、結構な距離を北上してるからね。」


 リリアが懐から地図を取り出す。


 簡易地図には、これまで歩いてきた道のりが薄く記録されていた。


「わふっ!」


 フェンが先を歩きながら、時折立ち止まっては周囲の匂いを確かめている。


 成体への予兆を見せてから、その仕草にも少しずつ落ち着きが出てきたように感じられた。


 道中、すれ違う旅人や商人の数も、アルト周辺よりずっと多い。


「王都に近いから、人通りも増えてるのかな。」


「それもあるだろうけど……。」


 レオンは何気なく口にしかけて、言葉を止めた。


 すれ違った商人の荷馬車が、やけに武装した護衛を連れていたのが気になっていた。


 以前なら、これほど厳重な護衛は見なかった気がする。


◇◆◇


 その日の夕方、二人と一匹は街道沿いの宿場町に到着した。


 小さな村よりは大きく、王都よりはずっと小さい、旅人相手の商売で成り立っている町だった。


 宿の食堂で夕食をとっていると、隣の席の商人らしき男たちの会話が耳に入ってくる。


「最近、この辺りも物騒になってきたよなぁ。」


「ああ。北の方じゃ、集落が丸ごと避難したって話も聞くぜ。」


「魔物が増えてるのか?」


「増えてるなんてもんじゃないらしい。まとまった数で動いてる、なんて噂もある。」


「まとまった数、ねぇ。魔物ってのは基本ばらばらに動くもんだろう。」


「だから気味悪いんだよ。誰かが率いてるみたいだ、って言う奴もいる。」


 男たちはそこで一度、声を潜めた。


「……まさか、な。」


「ああ、まさかだ。そんなもん、おとぎ話の中だけだろ。」


 二人は苦笑いを浮かべて、その話題を切り上げた。


 レオンは思わず耳をそばだてた。


 リリアも同じように、会話の方へ視線を向けている。


「まとまった数……。」


 レオンは小声で呟いた。


 アルト周辺の異変とは、また違う規模の話に聞こえる。


「もしかして、あれと関係あるのかな。」


 リリアが小声で尋ねる。


「星の紋章の方か?」


「ううん。もっと別の……何か大きいものの気配、みたいな。」


 レオンは片眼鏡にそっと触れた。


 まだ確証はない。


 だが、村や地方都市レベルでは収まらない、何か大きな流れが動き始めている予感があった。


 夕食を終えて部屋に戻る間も、その言葉が頭の片隅に残り続けていた。


◇◆◇


 食事を終え、部屋に戻ると、レオンはいつものように画面を開いた。


────────────────


無料10連


READY


────────────────


 白い空間に、黒い本が浮かぶ。


 夜空に十本の光の柱が立ち上る。


 白、白、青、白、白、白、青、白、金、白。


「今日は金か……!」


 思わず声が漏れる。


 光が収まり、カードが姿を現していく。


────────────────


【NEW】


《旅の指南書》(R)


各地の地理・気候・簡単な文化を記した書物。


────────────────


────────────────


【NEW】


《防寒のマント》(R)


寒冷地でも体温を保つ効果を持つ。


────────────────


────────────────


【NEW】


《遠見の水晶》(SR)


遠方の景色を鮮明に映し出す水晶。


使用者の魔力量に応じて、より遠くまで見渡せる。


────────────────


「SRだ……!」


 レオンは目を輝かせた。


「何が出たの?」


 隣の部屋から顔を出したリリアが覗き込む。


「遠見の水晶。遠くを見られる道具らしい。」


「便利そうだね。」


「ああ。これがあれば、遠くの様子も探れる。」


 レオンは早速、水晶を懐にしまった。


 試しに窓の外へ向けて水晶を構えてみると、遠くの山並みまでくっきりと映し出される。


「おお……。」


 思わず声が漏れた。


「魔力を込めるほど、もっと遠くまで見えそうだ。」


「王都までの道中、色々役に立ちそうだね。」


「ああ。何より、これで先の様子を確認してから動ける。」


 レオンは水晶をしまいながら、頭の中で図鑑の項目を思い浮かべた。


 今日の一日だけでも、SRが一つ、Rが二つ。


 図鑑がまた少しずつ埋まっていく感覚は、何度体験しても心地よかった。


 王都までの道中、何か役に立つ場面がありそうだと直感していた。


◇◆◇


 翌朝、宿場町を出発してしばらく歩くと、街道の先に人だかりができていた。


 荷馬車が数台止まり、御者たちが困惑した様子で何かを話している。


「どうしたんだろう。」


 リリアが眉をひそめる。


 近づいてみると、荷馬車の一台が道の脇に倒れ込むように停まっていた。


 周囲には、爪で引き裂かれたような傷跡が残っている。


 積み荷の木箱がいくつか転がり、中身が街道に散らばっていた。


「何かに襲われたみたいだな。」


 レオンは片眼鏡を構えた。


────────────────


【解析】


大型の獣型魔物による襲撃痕


危険度★★★


複数個体の可能性あり


────────────────


「複数……。」


 リリアが緊張した面持ちで杖を握る。


 御者の一人が、レオンたちに気付いて駆け寄ってきた。


「冒険者の方ですか! 助かった、実は……。」


 話を聞くと、街道の少し先で、狼に似た魔物の群れに襲われたのだという。


 幸い、荷馬車の主人たちに怪我はなかったが、積み荷の一部が壊され、先へ進むこともできずに困っていたらしい。


「先へ進んだ仲間が、まだ戻ってきていないんです。様子を見に行ってもらえないでしょうか。」


 御者の声には、隠しきれない不安が滲んでいた。


「分かりました。皆さんはここで待っていてください。」


「本当にありがとうございます……!」


「俺たちが見てきます。」


 レオンはそう言うと、リリアとフェンを連れて街道の先へと進んだ。


 遠見の水晶を取り出し、先の様子を確認する。


────────────────


【解析】


灰色狼型魔物 群れ 推定五体


────────────────


「五体か。」


「前に見た、あの灰色の狼と同じ種類かな。」


 リリアが以前遭遇した未確認種のことを思い出しながら言った。


「たぶんな。あの時は深追いしなかったが……。」


 レオンは水晶をしまい、周囲の地形を確認する。


 街道の脇には、切り立った岩場と、狭い獣道が続いていた。


「あそこに誘い込めば、数の利を消せる。」


「フェン、力を貸してくれる?」


「わふっ!」


 フェンが自信ありげに前へ出た。


 成長した今なら、以前よりずっと頼りになる。


 三人は互いに頷き合い、街道の先へと歩を進めた。


 しばらく歩くと、木々の合間から低い唸り声が聞こえてきた。


「来た。」


 レオンは静かに身構えた。


 灌木の陰から、灰色の毛並みをした狼型の魔物が、次々と姿を現す。


 一体、二体、三体……数えるうちに、五体すべてが揃った。


 その目は、獲物を見定めるように三人へ向けられている。


「予定通り、あそこまで引きつけるぞ。」


「うん。」


 リリアが小さく頷き、杖を構え直した。


 フェンが低く姿勢を落とし、いつでも動けるように意識を集中させる。


 狼たちが一斉に地を蹴った。


(第40話へ続く)


【あとがき】


第39話を読んでいただき、ありがとうございました!


王都への道中、宿場町で耳にした「魔物がまとまった数で動いている」という不穏な噂。そして無料10連ではSR《遠見の水晶》を獲得しました。


さらに、街道で襲撃を受けた荷馬車と遭遇。灰色狼型の魔物の群れとの戦いが、次回始まります。


次回、第40話もお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。