↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけ毎日無料10連!~ハズレ職《ガチャ師》は、世界で唯一ガチャが終わらない~  作者: 春野ケイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/60

第31話 石の番人

 旧採掘場から戻ったレオンたちは、その足で冒険者ギルドへ向かった。


 カウンターの向こうで報告を聞いた受付嬢は、途中で何度も手を止めた。


「シャドウラットの群れに、危険度★★★の《ロックホーン》……。旧採掘場に、そんな大物が潜んでいたんですね。」


「あそこは長年、放置されていた場所のはずなんですが……。」


 受付嬢は困惑した様子でペンを走らせる。


「奥に、まだ何かありそうな雰囲気だった。」


 レオンが正直に伝えると、受付嬢は少し考えてから、カウンターの奥へ引っ込んだ。


 戻ってきた手には、色あせた台帳が一冊。


「旧採掘場について、古い記録を確認してみました。閉鎖されたのは、今から三十年ほど前のようです。」


「三十年……。」


 リリアが呟く。


「表向きの理由は『採算が合わなくなったため』となっていますが……。」


 受付嬢はページをめくりながら、眉をひそめた。


「その割には、閉鎖の決定がずいぶん急だったみたいで。当時の記録も、途中からほとんど残っていないんです。」


「何かを隠してる、みたいな感じですね。」


 ガレスが横から台帳を覗き込み、腕を組む。


「そう見えなくもないな。」


 レオンは片眼鏡の縁にそっと触れた。


 忘れられた洞窟。星の紋章。そして、記録の消えた採掘場。


 それぞれがばらばらの出来事だとは、もう思えなくなっていた。


「明日、もう一度行ってみます。」


「気を付けてくださいね。念のため、ガレスさんにも同行をお願いしておきます。」


「もとよりそのつもりだ。」


 ガレスが軽く肩をすくめる。


「ありがとうございます。」


 三人はギルドを後にした。


◇◆◇


 宿に戻る頃には、日はすっかり暮れていた。


 フェンは夕食を食べ終えると、部屋の隅で丸くなり、あっという間に寝息を立て始めた。


「今日もよく動いたもんな、お前。」


 レオンは苦笑しながら、その頭を軽く撫でる。


 寝台に腰かけ、静かに目の前へ画面を開いた。


 毎日この瞬間だけは、前世の癖が抜けない。


 どんなに疲れていても、この十連だけは絶対に見逃したくない。


────────────────


無料10連


READY


運命ポイント 7Pt


────────────────


 白い空間に、見慣れた黒い本が浮かぶ。


 夜空に十本の光の柱が立ち上る。


 白、白、白、青、白、白、白、青、白、白。


「今日はRが二つ、か。」


 光が収まり、カードが姿を現す。


────────────────


【NEW】


《採掘用ランタン》(R)


魔石を灯りに変換する携帯用ランプ。


坑道内でも安定した明るさを保つ。


────────────────


────────────────


【NEW】


《耐震のブーツ》(R)


わずかな振動や落石の予兆を足裏に伝える。


崩落地帯での探索に適する。


────────────────


「……これ、絶対明日使えって言われてる気がする。」


 レオンは思わず笑ってしまった。


 残りはNランクの食料や薬草類、それに火口用の火打ち石。地味だが、旅を支える大切な補充品だ。


────────────────


【運命ポイント】


7Pt(変動なし)


────────────────


 今日は討伐がなかったぶん、ポイントの増加はない。


 それでも、装備は着実に整っている。


「明日は、これを試す番か。」


 レオンは新しい装備を魔導収納鞄へしまうと、静かに目を閉じた。


◇◆◇


 翌朝、レオンとリリア、そしてガレスは、フェンを連れて旧採掘場へ向かった。


「例の反応があった場所まで案内してくれ。」


 ガレスの言葉に、レオンは頷いて先を歩き出す。


 昨日と同じ道をたどり、ロックホーンと戦った広間を抜ける。


 その先――昨日は片眼鏡でしか捉えられなかった、奥へと続く道。


 新しいランタンの光が、これまでよりずっと広く坑道を照らし出す。


 耐震のブーツが、かすかな振動を足裏に伝えてきた。


「……この先、少し不安定だ。」


 ガレスが低い声で言う。


「気を付けて進もう。」


 三人と一匹は、慎重に暗闇の奥へと足を進めた。


 道は徐々に狭くなり、天井も低くなっていく。


 やがて、坑道の壁に彫り込まれた模様が、ランタンの光に浮かび上がった。


 星をかたどった紋様。


 忘れられた洞窟で見たものと、まったく同じ形だった。


「これ……。」


 レオンは思わず足を止める。


「知ってる紋様か?」


 ガレスが尋ねた。


「はい。前に見つけた、隠し洞窟にあったものと同じです。」


 リリアも壁に近づき、紋様をなぞるように見つめる。


「まさか、繋がってるの……?」


 誰も、すぐには答えられなかった。


 石壁には他にも、擦り減った文字らしきものが刻まれている。


 片眼鏡を向けても、判読できたのはわずか数文字。


 ――守ル者、番、眠リ。


 その断片だけが、闇の中に浮かび上がった。


 その時だった。


 カツン、と乾いた音が、奥の暗闇から響いた。


 石を打つような、硬質で規則的な音。


 カツン。


 カツン。


 フェンが低く唸り、三人の前へ進み出る。


「わふ……!」


「来るぞ。」


 ガレスが剣を抜いた。


 ランタンの灯りの端に、灰色の輪郭が浮かび上がる。


 高さはレオンの腰ほど。両腕の先は、鋭く尖った石の刃になっている。


 胸の中央には、淡く光る星の紋様。


 それは、忘れられた洞窟で戦った《星の番人》と、どこか似た姿をしていた。


「キィィン……ッ!」


 金属を擦り合わせたような甲高い声が、坑道に響き渡る。


 石の身体が、ぎこちなく――しかし確かな意思を持って動き出す。


「小型版、ってところか。」


 レオンはナイフを構えた。


「油断するな。動きは遅くても、あの腕に当たれば只では済まん。」


 ガレスが前へ出る。


「はい!」


 リリアが杖に魔力を込めた。


 石の番人が、両腕を大きく振り上げる。


 その刃の先が、坑道の天井を掠め、パラパラと小石を降らせた。


「散開だ!」


 ガレスの声と同時に、三人と一匹はそれぞれの方向へ動き出した。


 ガレスの剣が石の腕を受け止める。


 鈍い衝撃音とともに、火花が散った。


「重いな……ッ。見た目より力がある!」


「リリア、右から!」


「うん!」


 レオンの声に応じ、リリアが風魔法を放つ。


「ウィンドカッター!」


 空を切る刃が、石の番人の脇腹に食い込んだ。


 だが、表面が削れただけで、大きなダメージには見えない。


「硬い……ッ。」


 フェンが低い姿勢のまま、石の番人の足元へ回り込む。


「わふっ!」


 鋭い牙が、脚の継ぎ目に噛みついた。


 石の番人の動きが、わずかに乱れる。


「そこか……!」


 レオンは片眼鏡に魔力を込めた。


────────────────


【石の番人(小型)】


古い遺跡を守るために作られた、意思を持つ石像。


急所:胸部の紋章。


────────────────


「胸だ! 紋章のところが弱点だ!」


「了解!」


 ガレスが石の番人の視界を塞ぐように前へ出た瞬間、胸の紋章が一段と強く輝いた。


 まるで、こちらの言葉に反応したかのように。


(第32話へ続く)


【あとがき】


第31話を読んでいただき、ありがとうございました!


旧採掘場の奥で見つかったのは、忘れられた洞窟と同じ星の紋章。そして、そこを守るように現れた小型の石の番人でした。


ギルドの記録にも残っていない、旧採掘場閉鎖の本当の理由。二つの遺跡を繋ぐ紋章の意味。次回、その手がかりに少しずつ近づいていきます。


次回、第32話もお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。