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俺だけ毎日無料10連!~ハズレ職《ガチャ師》は、世界で唯一ガチャが終わらない~  作者: 春野ケイ


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第26話 初めての連携

 翌朝。


「……ん」


 レオンは目を覚ました。


 何かが顔に当たっている。


 ふわふわしていて、少しくすぐったい。


「……なんだ?」


 目を開ける。


 目の前に、フェンの顔があった。


「……。」


「……。」


 しばらく見つめ合う。


「わふっ」


「お前か……。」


 フェンは嬉しそうに尻尾を振った。


「朝から元気だな」


 レオンが身体を起こす。


 昨日は一日歩き回ったというのに、フェンは疲れた様子をまるで見せない。


 ベッドから降りると、フェンもすぐに床へ飛び降りた。


「おはよう」


 リリアも起き上がる。


「おはよう」


「フェンに起こされた?」


「うん」


 リリアが笑う。


「私も起こしてくれればよかったのに」


「わふ?」


「そこは分からないか」


 レオンは苦笑した。


 二人とも身支度を整え、昨日準備しておいた荷物を確認する。


 回復薬。


 水。


 保存食。


 そして、昨日の無料十連で手に入れた小型ランタン。


「忘れ物はないな」


「依頼書もあるよ」


 リリアが確認する。


 今日の依頼は、アルト近郊の森での薬草採取。


 難易度は低い。


 報酬も高くない。


 けれど、今日はそれでいい。


 フェンと一緒に受ける、初めての依頼なのだから。


「行くか」


「うん」


「わふっ!」


 三人は宿を出た。


◇◇◇


 街を出てしばらく歩く。


 目的の森は、以前レオンたちが訪れた場所よりも少し手前にある。


 道中、フェンは落ち着かない。


 右へ行ったり、左へ行ったり。


 何かを見つけるたびに立ち止まる。


「フェン、あんまり離れるなよ」


「わふ!」


 返事だけはいい。


 レオンが苦笑する。


「ちゃんと戻ってくるから大丈夫だよ」


 リリアが言う。


「それならいいけどな」


 森へ入る。


 木々の間から差し込む光。


 鳥の声。


 風で揺れる葉。


 昨日までなら気にもしなかった音が、今日は妙に近く感じる。


 フェンが鼻を地面へ近づけた。


 くんくん。


「何か見つけた?」


「わふ」


 フェンが一歩進む。


 レオンも後を追った。


 少し開けた場所に、小さな草が群生している。


「あった」


 依頼書の絵と見比べる。


「これだ。薬草」


 レオンがしゃがみ込む。


「必要なのは十本だったな」


「うん」


 二人で採取を始める。


 フェンはその横で、興味深そうに地面を嗅いでいる。


「フェンも探してくれる?」


「わふっ!」


 フェンが走り出した。


「……本当に分かってるのかな」


「どうだろう」


 リリアが笑う。


 しばらくすると。


「わふっ!」


 フェンが少し離れた場所で鳴いた。


「何か見つけたみたい」


 二人で近づく。


 そこには薬草がまとまって生えていた。


「おお」


 レオンが驚く。


「これだけあれば、すぐ終わりそうだ」


 フェンは誇らしげに胸を張っている。


「偉いぞ」


 レオンが頭を撫でる。


 尻尾が激しく揺れた。


「薬草探しなら、かなり役に立つかもね」


「ああ」


 レオンは頷く。


 採取を続けていると。


 ガサッ。


「……?」


 草むらが揺れた。


 フェンの耳が立つ。


 レオンも立ち上がった。


「何かいる」


 リリアが杖を構える。


 次の瞬間。


 草むらから、小さな魔物が飛び出した。


「ゴブリン!」


 レオンが短剣を抜く。


 ゴブリンは一体。


 こちらに気付くと、粗末な棍棒を振り上げた。


「フェン、下がれ!」


「わふ!」


 フェンが横へ飛ぶ。


 ゴブリンがレオンへ向かってくる。


 レオンは真正面から受けず、半歩だけ横へずれた。


 棍棒が空を切る。


 その隙に短剣を振る。


 ゴブリンがよろめいた。


「今!」


 レオンが叫ぶ。


 フェンが地面を蹴った。


 小さな身体が一気に距離を詰める。


「わふっ!」


 フェンがゴブリンの足へ飛びついた。


「グッ……!」


 ゴブリンの動きが止まる。


 レオンはその隙を逃さなかった。


 短剣を振り抜く。


 ゴブリンが倒れる。


 森が静かになった。


「……。」


 レオンは短剣を下ろす。


 フェンもこちらを見ている。


「フェン」


「わふ?」


「今の、俺に合わせたのか?」


 フェンは首を傾げる。


「わふっ」


 どうやら本人にも分かっていないらしい。


 リリアが笑う。


「でも、ちゃんとタイミング合ってたよ」


「ああ」


 レオンも笑った。


「初めてにしては上出来だ」


 フェンが嬉しそうに尻尾を振る。


 その時。


 レオンの目の前に表示が浮かんだ。


────────────────


【運命ポイント】


0Pt → 1Pt


【今回の獲得】


+1Pt


獲得理由

・初めての依頼達成

・人々の役に立つ薬草を採取


────────────────


「……1Pt」


 レオンは表示を見つめた。


 昨日、SSR確定ガチャを引いたことで、運命ポイントは一度すべて使い切った。


 だから、ここからまた積み上げていくことになる。


「増えたね」


「ああ」


 レオンはフェンを見る。


「フェンと一緒に初めて依頼を達成したからかな」


 フェンが首を傾げる。


「わふ?」


「お前のおかげでもあるぞ」


 レオンは頭を撫でる。


 フェンは嬉しそうに目を細めた。


 たった1Pt。


 でも。


 また一から始められる。


 レオンには、それが妙に楽しみだった。


◇◇◇


 その後、二人は薬草を予定数まで集めた。


 ゴブリンの魔石も回収する。


「これで依頼は終わりだね」


「ああ」


 レオンは依頼書と採取した薬草を確認した。


 初めての依頼。


 そして、初めてフェンと一緒に戦った。


 ほんの小さな戦いだった。


 それでも。


「悪くないな」


「何が?」


「三人で冒険するの」


 リリアが笑った。


「私もそう思う」


 フェンが二人の間を歩く。


 時々、レオンの足へ身体をぶつけながら。


「わふっ」


「はいはい」


 レオンは笑いながら頭を撫でた。


 三人はアルトへ戻った。


◇◇◇


 冒険者ギルドで依頼を報告すると、受付嬢が薬草を確認した。


「問題ありません。依頼達成です」


 報酬を受け取る。


 銀貨数枚。


 昨日ほどではない。


 でも、レオンは満足していた。


「ありがとうございました」


 ギルドを出る。


 空を見上げると、まだ昼を少し過ぎた頃だった。


「今日は早く終わったね」


「ああ」


 レオンはフェンを見る。


「まだ元気そうだし、街を少し歩いてみるか」


「わふ!」


「決まりだね」


 三人は街へ向かって歩き出した。


 新しい仲間と。


 初めての連携を終えて。


 レオンの冒険は、少しずつ形を変え始めていた。


◇◇◇


 その日の夜。


 宿の部屋。


 レオンはベッドへ座る。


「……そういえば」


 リリアが笑った。


「今日も忘れてない?」


「もちろん」


 レオンは手をかざす。


「無料十連、開始」


 視界が白く染まる。


 いつもの白い空間。


 巨大な本が現れた。


 ページが開く。


 白。


 青。


 白。


 白。


 青。


 白。


 青。


 白。


 白。


 そして最後の一枚。


 金色の光が広がった。


 レオンが目を見開く。


「……金?」


 ページがゆっくりと開く。


────────────────


【無料10連】


《登録済》


・保存食

・火打石

・薬草

・回復薬

・魔石(小)

・丈夫なロープ

・水袋

・革の手袋

・携帯食器


────────────────


 最後の一枚。


 金色の光が消える。


────────────────


★★★☆☆


【NEW】


《獣除けの鈴》


一定範囲内の小型魔物や野生動物を遠ざけやすくする道具。


────────────────


「獣除けの鈴か」


 レオンが手に取る。


 フェンが興味深そうに鼻を近づけた。


「お前には効かないのかな」


「わふ?」


 リリアが笑う。


「明日試してみれば?」


「そうだな」


 レオンは鈴をしまった。


 今日も無料十連は終わった。


 そして。


 フェンとの初めての依頼も、無事に終わった。


 運命ポイントも、1Ptからまた積み上げが始まった。


 レオンは眠そうなフェンの頭を撫でる。


「お疲れ、フェン」


「わふ……。」


 小さな尻尾が、一度だけ揺れた。


◇◆◇


【あとがき】


第26話を読んでいただき、ありがとうございました!


今回は、レオン、リリア、そしてフェンの三人で初めての依頼へ。


薬草採取という小さな依頼でしたが、フェンとの初めての連携も経験しました。


まだまだ幼いフェンですが、少しずつレオンとの息も合ってきています。


そして今回の無料10連では《獣除けの鈴》を獲得。


冒険で役立ちそうな道具がまた一つ増えました。


そして、運命ポイントはSSR確定ガチャで100Ptをすべて使用したため、0Ptから再スタート。


今回の依頼で+1Ptとなり、現在は1Ptです。


ここからまた、レオンの新しい運命ポイント集めが始まります。


次回もお楽しみください!

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