第24話 SSR確定ガチャ
レオンは目の前の表示を見つめていた。
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【SSR確定ガチャ】
ガチャを開始しますか?
▶ はい
いいえ
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昨日はここで引くのをやめた。
疲れていたからというのもある。
何が出るのか分からない以上、頭がすっきりしている時に引きたかった。
そして今は朝。
身体もすっかり回復している。
隣ではリリアが、待ちきれないといった様子で表示を見つめていた。
「……引くよ」
「うん」
レオンは「はい」に触れた。
瞬間。
周囲の景色が消えた。
いつもの白い空間。
けれど、いつもの無料十連とは違った。
目の前に現れたのは、一冊の巨大な本。
ゆっくりと宙へ浮かび上がる。
「これ……いつもの本だよね?」
「たぶん。でも、何か違う」
レオンの言葉に反応するように、本がゆっくりと開いた。
いつものようにページが何枚も現れるわけではない。
一枚だけ。
真っ白なページが、中央で静かに開いている。
レオンは息を呑んだ。
ページの中央に、小さな光が生まれた。
最初は白。
それが青へ。
青から金へ。
そして――。
虹色へ。
「……。」
レオンもリリアも、言葉を失っていた。
光が徐々に強くなる。
やがて、一冊の本そのものが虹色に染まった。
ドンッ!
空間が震える。
レオンが思わず身構えた。
次の瞬間。
ページの中央に、四つの星が浮かび上がった。
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★★★★☆
SSR
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「……本当に、SSRだ」
レオンの声が震える。
今まで引いてきた中で、一番上だったのはSR。
そのさらに上。
それが、今目の前にある。
けれど。
ページには、それ以外のものが何も表示されていない。
「これ……まだ何なのか分からないね」
リリアが呟く。
「ああ」
レオンはページを見つめる。
すると、四つの星がゆっくりと回転し始めた。
光が集まっていく。
一つに。
そして。
ページの中央に、小さな影が現れた。
「……何だ?」
影が少しずつ形を変えていく。
四本の足。
小さな身体。
ふわふわした毛。
大きな耳。
「犬……?」
レオンが目を細める。
影がゆっくりと顔を上げた。
丸い瞳がレオンを見る。
そして。
「わふっ」
「……え?」
小さな鳴き声。
影がページの上から、こちらへ飛び出してきた。
「わっ!」
レオンが思わず手を伸ばす。
腕の中へ飛び込んできたのは、小さな幼狼だった。
身体はまだ幼く、抱き上げられるくらいの大きさしかない。
狼のような耳と尻尾。
それでも、その姿はどこか幼犬を思わせた。
「……。」
レオンは腕の中の幼狼を見る。
幼狼も、レオンを見る。
そして。
「わふっ」
尻尾を振った。
「かわいい……。」
リリアが呟く。
レオンは恐る恐る頭を撫でた。
幼狼は逃げない。
むしろ気持ちよさそうに目を細める。
「……本当に、これがSSR?」
レオンが呟く。
その瞬間、目の前に表示が浮かんだ。
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【SSR】
《召喚獣》
種族:ウルフ系
状態:幼体
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「召喚獣……。」
レオンは表示を読み上げる。
「これが、召喚獣なのか」
幼狼がレオンの顔を見る。
「わふ?」
「お前、分かってるのか?」
「わふっ!」
まるで返事をするように鳴いた。
リリアがしゃがみ込む。
「触ってもいい?」
レオンが幼狼を少し近づける。
リリアがそっと手を伸ばす。
幼狼はその手を舐めた。
「きゃっ」
リリアが驚いたあと、笑う。
「ふふっ。人懐っこいね」
幼狼の尻尾が、また大きく揺れた。
レオンはその姿を見つめる。
もっと凄いものが出てくると思っていた。
伝説の武器。
強力な魔道具。
そんなものを勝手に想像していた。
それなのに。
目の前にいるのは、小さな幼狼だった。
もちろん、SSRなのだから何か特別な力があるのだろう。
でも、それはまだ分からない。
すると。
ページの表示が切り替わった。
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【召喚獣契約】
対象:
《ウルフ系・幼体》
契約しますか?
▶ はい
いいえ
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「契約……。」
レオンは幼狼を見る。
幼狼も、じっとレオンを見ている。
「どうする?」
リリアが聞いた。
レオンは少しだけ笑った。
「決まってるだろ」
幼狼の頭を撫でる。
「せっかく出会ったんだ」
レオンは「はい」に触れた。
その瞬間。
幼狼の身体を淡い光が包んだ。
「わっ……!」
光はすぐに消えた。
すると、レオンの手の甲に小さな紋章が浮かび上がる。
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【契約完了】
《召喚獣》
契約者:レオン・アークライト
状態:幼体
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「契約できた……。」
レオンは手の甲を見る。
幼狼が足元へ降りる。
そして、レオンの周りを一周すると、また足元へ座った。
「お前……名前、どうしようか」
幼狼が首を傾げる。
「わふ?」
「名前か……。」
レオンはしゃがみ込む。
ふわふわした毛を撫でながら考える。
「……フェン」
「フェン?」
リリアが聞き返す。
「ああ。なんとなくだけど、似合ってる気がする」
幼狼は一度だけ瞬きをした。
「わふっ!」
尻尾が大きく揺れる。
リリアが笑った。
「気に入ったみたい」
「そうだな」
レオンも笑う。
「よろしくな、フェン」
「わふっ!」
元気な返事が返ってきた。
その声を聞きながら、レオンは思った。
これから、こいつも一緒に旅をする。
強いのか。
どんな能力を持っているのか。
まだ何も分からない。
それでも。
少し楽しみだった。
◇◇◇
しばらくして、二人は宿の食堂へ降りた。
フェンもレオンの後ろをついてくる。
「……。」
食堂にいた人たちの視線が集まる。
当然だ。
街中で見かける犬とは少し違う。
大きな耳。
ふさふさした尻尾。
そして、どこか野性味のある瞳。
「レオン、それ……?」
リリアがフェンを見る。
「召喚獣らしい」
「まだ実感ないね」
「ああ」
フェンはレオンの足元で丸くなった。
レオンはその姿を見下ろす。
小さい。
本当に小さい。
これがこれから自分と一緒に冒険する。
そう考えると、少し不思議な気分だった。
「まずは、こいつのことを知るところからだな」
「そうだね」
リリアが笑う。
レオンも頷いた。
そして、ふと思い出す。
「……そういえば」
「何?」
「今日の無料十連」
「あっ」
リリアが笑った。
「まだだったね」
「夜に忘れないようにしないとな」
フェンが二人を見上げる。
「わふ?」
「お前にも、そのうち見せてやるよ」
レオンはフェンの頭を撫でた。
新しい仲間。
新しい力。
そして、今日もいつもの無料十連。
冒険者になってから、毎日が少しずつ変わっていく。
レオンはまだ知らない。
この小さな幼狼が、これから先どれほど大きく成長するのかを。
ただ今は。
「よろしくな、フェン」
「わふっ!」
その返事だけで、十分だった。
◇◆◇
【あとがき】
第24話を読んでいただき、ありがとうございました!
ついにSSR確定ガチャを引き、レオンのもとへ新しい仲間がやってきました。
名前はフェン。
まだまだ小さな幼狼ですが、これからレオンたちと一緒に冒険していきます。
そして、毎日の無料十連ももちろん継続です。
ここから始まる新たな冒険を、ぜひお楽しみください!




