↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけ毎日無料10連!~ハズレ職《ガチャ師》は、世界で唯一ガチャが終わらない~  作者: 春野ケイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/59

第23話 冒険者としての一歩

 アルトの街が見えてきた頃には、すっかり日が傾いていた。


 レオンは歩きながら、何度目か分からないため息をつく。


「疲れた……。」


「顔に出てるよ。」


 隣を歩くリリアが笑った。


「リリアだって疲れてるだろ。」


「私はまだ大丈夫。」


「本当か?」


「……ちょっとだけ疲れた。」


 そう言って、リリアは小さく笑う。


 レオンもつられて笑った。


 昨日は薬草を採るだけのつもりだった。


 それがブラッドファングウルフに襲われ、黒い結晶を見つけて。


 今日はその先にあった洞窟へ入り、訳の分からない魔物と戦った。


 冒険者になってから、まだたいして日が経っていない。


 なのに、妙に濃い毎日を送っている気がする。


「ほら、ぼーっとしてないで行くぞ。」


 前を歩いていたガレスが振り返る。


「ギルドへの報告が残っている。」


「はい!」


 三人はそのまま冒険者ギルドへ向かった。


◇◇◇


 ギルドの扉を開ける。


 夕方の時間帯ということもあり、中には帰還した冒険者たちが多かった。


 受付へ向かうと、昨日の受付嬢がすぐに気付いた。


「お帰りなさい!」


 笑顔で声を掛けたものの、三人の姿を見るなり表情が変わる。


「……その様子、何かありました?」


「かなりあった。」


 ガレスが答えた。


「詳しく話す。」


 受付嬢がすぐに姿勢を正す。


「はい。お願いします。」


 ガレスは昨日発見した裂け目のことから話し始めた。


 黒い魔力。


 洞窟。


 内部で発見した魔物。


 そして、最奥にあった《侵食核》。


「侵食核を破壊したあと、洞窟そのものが崩れた。」


「……。」


 受付嬢は黙ったまま話を聞いている。


「外へ出た時には、裂け目は完全に塞がっていた。黒い魔力も確認できない。」


「分かりました。」


 受付嬢は急いで帳簿へ書き込んでいく。


「それで……討伐した魔物というのが?」


 レオンは魔導収納鞄から素材を取り出した。


「これです。」


 カウンターへ置かれた黒い毛。


 そして牙。


 受付嬢が目を見開く。


「これは……。」


「《侵食獣》です。」


 レオンが答える。


「星詠みの片眼鏡では、そう表示されました。」


 受付嬢は素材を見つめたまま固まっている。


「……星四つ。」


「はい。」


「少々お待ちください!」


 受付嬢は素材を抱えて奥へ走っていった。


「忙しいな。」


 ガレスが苦笑する。


「そりゃ驚きますよ。」


 レオンも苦笑した。


 しばらくすると、受付嬢が別の職員を連れて戻ってきた。


 二人は素材を確認し、何度か顔を見合わせる。


「間違いありません。」


 受付嬢が言った。


「《侵食獣》の討伐、正式に確認します。」


 その言葉と同時に、レオンの目の前に見慣れた表示が浮かんだ。


────────────────


【運命ポイント】


99Pt


↓


100Pt


【今回の獲得】


+1Pt


獲得理由


・異変に関する情報提供

・人々への貢献


────────────────


「……100。」


 レオンは思わず呟いた。


「どうしたの?」


 リリアが覗き込む。


「運命ポイントが100になった。」


「本当だ!」


 リリアが嬉しそうに笑う。


 レオンも表示を眺める。


 運命ポイントが増えるほど、ガチャの結果が良くなる。


 それはもう分かっている。


 100Ptという数字に、特別な意味があるとは知らない。


 ただ。


「これで、次のガチャも少し期待できるかな。」


「きっといいの出るよ。」


 リリアが笑う。


 レオンも頷いた。


「そうだといいな。」


 受付嬢が二人を不思議そうに見ている。


「お二人とも、何かありました?」


「いえ、こっちの話です。」


 レオンは表示を消した。


「それより、報酬の話を聞いてもいいですか?」


「はい!」


 受付嬢が帳簿を開く。


「今回の報酬ですが……かなり特殊な案件でしたので、通常の依頼報酬とは別に特別報酬が出ます。」


「特別報酬?」


「はい。」


 銀貨を数える音が、カウンターに響き始めた。


 レオンは並べられていく銀貨を見つめる。


 冒険者になって、まだ間もない。


 それでも。


 自分たちがやったことが、ちゃんと誰かの役に立った。


 その実感が、少しずつ胸に広がっていった。


受付嬢が銀貨を数え終える。


「今回の報酬は、依頼達成分を含めて銀貨三十枚です。それと、素材の買い取りがこちらになります」


 さらに銀貨が追加された。


「素材の買い取りは銀貨十五枚。合計で銀貨四十五枚です」


「四十五枚……。」


 レオンは思わず呟いた。


 初めての依頼でもらった報酬は銀貨八枚だった。


 それが今回は四十五枚。


「こんなにもらっていいんですか?」


「それだけ危険な仕事だったということです」


 受付嬢は苦笑する。


「普通なら、E級冒険者が受けるような仕事ではありませんから」


 レオンは銀貨を魔導収納鞄へしまった。


 重みがある。


 それが妙に嬉しかった。


「ガレスさんも、ありがとうございました」


「礼を言われるようなことはしていない」


 ガレスは首を振る。


「お前たちが自分で戦った結果だ」


「でも、何度も助けてもらいました」


「なら、次は助けられないように強くなれ」


 ガレスはそう言って、レオンの肩を軽く叩いた。


「冒険者を続けるならな」


「……はい!」


 レオンは頷いた。


 ガレスは満足そうに笑うと、ギルドの出口へ向かう。


「俺は別の報告がある。またな」


「ありがとうございました!」


 リリアと二人で頭を下げる。


 ガレスは手を上げただけで、そのままギルドを出ていった。


「行っちゃったね。」


「ああ。」


「でも、いい人だったね。」


 レオンは少し考える。


「怖いけどな。」


「それは分かる。」


 二人は顔を見合わせて笑った。


◇◇◇


 ギルドを出ると、すっかり夕暮れになっていた。


 街を歩きながら、レオンは今日一日のことを思い返していた。


 昨日までは、薬草を採るだけのつもりだった。


 それが今では、ギルドから特別報酬まで受け取っている。


「冒険者になったんだな。」


「今さら?」


「いや……なんとなく。」


 リリアが笑う。


「私は昨日からそう思ってたよ。」


「昨日はブラッドファングウルフに襲われただろ。」


「それも含めて冒険者じゃない?」


「そうかもしれない。」


 二人は宿へ戻った。


 部屋へ入ると、レオンはベッドへ腰を下ろす。


「疲れた……。」


「今日は早く寝た方がいいね。」


「そうする。」


 リリアも荷物を置く。


 その時。


 レオンがふと顔を上げた。


「……あ。」


「どうしたの?」


「まだ引いてない。」


「何を?」


「無料十連。」


「あっ!」


 リリアの顔が明るくなる。


「今日まだだった!」


「危ないところだった。」


 レオンは笑った。


 毎日一回の無料十連。


 冒険で疲れていても、これだけは忘れたくない。


「じゃあ、今日も引こう。」


「うん!」


 レオンはいつものように手をかざす。


「無料十連、開始」


 視界が白く染まった。


 次の瞬間。


 いつもの白い空間。


 目の前に巨大な本が現れる。


 ページがゆっくりと開いていく。


 白。


 白。


 青。


 白。


 青。


 レオンはページをめくっていく。


────────────────


【無料10連】


《登録済》


・保存食

・水袋

・火打石

・薬草

・回復薬

・丈夫なロープ

・携帯食器

・小型ナイフ

・魔石(小)

────────────────


 最後の一枚。


 青い光が広がった。


────────────────


★★☆☆☆


《防水布》


雨や水をある程度防ぐことができる布。


【NEW】


────────────────


「今日はこれか。」


「便利そうじゃん。」


「うん。冒険には使えそうだ。」


 レオンは防水布を手に取る。


 ガチャの結果を確認し終えると、いつものように本が閉じる。


 これで終わり。


 そう思った。


 だが。


 白い空間が消えない。


「……?」


 レオンが顔を上げる。


「どうしたの?」


「いや……。」


 巨大な本が、閉じたはずのページを再び開いた。


 今までとは違う。


 ページが一枚。


 また一枚。


 勝手にめくられていく。


「何これ……?」


 リリアの声が小さくなる。


 レオンも答えられない。


 やがて本の動きが止まった。


 目の前に、見たことのない文字が浮かび上がる。


────────────────


【条件達成】


運命ポイント


100Pt


────────────────


「条件……?」


 レオンが呟く。


 その下に、さらに文字が現れる。


────────────────


【新機能解放】


────────────────


 ページがゆっくりと開く。


 その先から、今までとは比べものにならないほど強い光が溢れ出した。


 白い光。


 金色の光。


 そして、その中心に四つの星が浮かび上がる。


────────────────


★★★★☆


【SSR確定ガチャ】


解放


────────────────


「……SSR?」


 レオンは目を見開いた。


 リリアも言葉を失っている。


 これまで何度もガチャを引いてきた。


 その中で、一番上だったのはSR。


 だが。


 今、目の前にあるのは、そのさらに上だった。


「SSR確定……。」


 レオンがゆっくり呟く。


 すると最後に、一つの表示が現れた。


 レオンは表示を見つめた。


────────────────


【SSR確定ガチャ】


ガチャを開始しますか?


▶ はい


 いいえ


────────────────


「SSR……確定。」


 その言葉を、もう一度口にする。


 今まで引いてきたガチャで、一番上だったのはSRだった。


 それより上。


 しかも、確定。


 見たことのない文字が、目の前に浮かんでいる。


「レオン。」


 リリアも画面を覗き込んでいる。


「これ……すごいんじゃない?」


「たぶん。」


 レオンは頷いた。


 運命ポイントが増えるほど、ガチャの結果が良くなる。


 それは今までの経験で分かっている。


 でも、こんな機能が隠されていたなんて知らなかった。


「何が出るんだろうね。」


「分からない。」


 レオンは表示を見つめた。


 武器かもしれない。


 道具かもしれない。


 もしかしたら、今まで見たこともない何かが出てくるのかもしれない。


 考えているだけで、少し胸が高鳴る。


 レオンは表示へ手を伸ばした。


 指先が「はい」の文字へ近づいていく。


 あと少し。


 その時。


「待って。」


 リリアがレオンの手を止めた。


「どうした?」


「せっかくだから、ちゃんと休んでからにしようよ。」


「……。」


 レオンは少し考えた。


 確かに今日は朝から洞窟へ入り、強敵と戦い、街まで戻ってきた。


 さすがに疲れている。


「それもそうだな。」


 手を引っ込める。


 巨大な本は静かに閉じていく。


 白い空間も、少しずつ薄れていった。


「明日、引こう。」


「うん。」


 最後にもう一度だけ、表示を見る。


────────────────


【SSR確定ガチャ】


解放済み


────────────────


 レオンは笑った。


「明日が楽しみだ。」


 次の瞬間、視界が白く染まった。


◇◇◇


 気が付くと、宿の部屋へ戻っていた。


 窓の外はすっかり暗い。


 レオンはベッドへ腰を下ろした。


「今日は本当に色々あったな。」


「うん。」


 リリアも椅子へ腰掛ける。


 冒険者になった。


 初めて依頼を受けた。


 異常な魔物と戦った。


 黒い洞窟へ入り、侵食核を破壊した。


 そして今まで知らなかったガチャの新機能まで見つかった。


「明日、どうなるんだろうね。」


「さあ。」


 レオンは笑う。


「でも、楽しみだ。」


 リリアも頷いた。


「私も。」


 窓の外では、アルトの街に明かりが灯っている。


 レオンはベッドへ横になった。


 明日になれば、あのガチャを引ける。


 今まで見たことのない、SSR確定ガチャを。


 その先に何が待っているのか。


 まだ、誰にも分からない。


 ただ一つ。


 レオンの冒険は、これからも続いていく。


◇◆◇


【あとがき】


第23話を読んでいただき、ありがとうございました!


今回、ついに運命ポイントが100Ptに到達し、新機能《SSR確定ガチャ》が解放されました!


ですが、今回はまだガチャを引きません。


いったい何が出てくるのか。


次回から新たな章が始まります。


これまでとは違うガチャの結果を、ぜひお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。