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俺だけ毎日無料10連!~ハズレ職《ガチャ師》は、世界で唯一ガチャが終わらない~  作者: 春野ケイ


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13/61

第13話 初めての街道

 朝日がベルン村を優しく照らしていた。


 村の門の前には、レオンとリリアの姿がある。


 二人は昨夜のうちに旅支度を済ませ、予定通り朝早く村を出発することにした。


「じゃあ、行ってきます。」


 レオンが頭を下げると、父は力強く頷いた。


「ああ。無事に帰ってこい。」


 母は少し寂しそうに笑いながら、小さな布袋を差し出した。


「お弁当、作っておいたから。」


「ありがとう、母さん。」


「リリアちゃんの分も入ってるからね。」


「ありがとうございます。」


 リリアも笑顔で頭を下げる。


 父はレオンの肩を軽く叩いた。


「世界は広い。」


「迷うことも、失敗することもあるだろう。」


「だが、お前が選んだ道だ。」


「最後まで自分の足で歩いてこい。」


「うん。」


 レオンは力強く頷いた。


 二人は最後にもう一度手を振ると、ベルン村をあとにした。


◇ ◇ ◇


 村を出てしばらく歩く。


 見渡す限りの草原。


 朝露に濡れた草が風に揺れ、鳥たちのさえずりが静かに響いていた。


「本当に旅が始まったんだね。」


 リリアが空を見上げる。


「ああ。」


 レオンも大きく息を吸い込んだ。


 村では感じたことのない空気。


 それだけで胸が高鳴る。


 その時。


━━━━━━━━━━━━━━


図鑑更新


エリア図鑑


No.003


ベルン平原


登録


━━━━━━━━━━━━━━


<図鑑>


ベルン村の周囲に広がる穏やかな草原。


初心者冒険者が最初に旅へ出る場所として知られ、小型魔物や薬草が多く見られる。


━━━━━━━━━━━━━━


「また図鑑だ。」


 レオンは自然と笑みを浮かべる。


「新しい場所へ来るだけで登録されるんだ。」


「便利な図鑑だね。」


「全部埋めたくなるよ。」


 レオンは嬉しそうに画面を見つめた。


 すると、ふと何かを思い出したように足を止める。


「あ。」


「どうしたの?」


「今日の無料十連。」


「まだ引いてなかった。」


 リリアは思わず吹き出した。


「旅に出ても最初はガチャなんだ。」


「毎日一回だけだからな。」


「これだけは忘れられない。」


 レオンは右手を前へかざす。


 意識を集中すると、見慣れた半透明の画面が静かに現れた。


━━━━━━━━━━━━━━


無料10連


READY


運命ポイント 16Pt


━━━━━━━━━━━━━━


「よし。」


 レオンは『START』へ指を伸ばした。


 景色が白い光に包まれていく。


 リリアは思わず目を見開く。


「えっ……!?」


 次の瞬間。


 二人は満天の星空の下へ立っていた。


「すごい……。」


 リリアは周囲を見回し、息を呑む。


「ここが……ガチャの世界?」


「ああ。」


 レオンは慣れた様子で頷く。


「毎日一回だけ、この場所で無料十連が引けるんだ。」


 二人の前に、一冊の大きな本が静かに現れる。


 黒い表紙には金色の星。


 パラリ。


 ページがひとりでにめくられ始める。


 最後のページへたどり着くと、本全体が淡く輝いた。


 その中央から十本の光が夜空へ打ち上がる。


「始まる……。」


 レオンは小さく息を吐く。


 隣では、リリアも目を輝かせながら夜空を見上げていた。


夜空へ伸びた十本の光が、ゆっくりと色づいていく。


「今回は……。」


 レオンは静かに見上げる。


 一本目。


 白。


 二本目。


 白。


 三本目。


 青。


「Rが一つ。」


 四本目。


 白。


 五本目。


 白。


 六本目。


 白。


 七本目。


 青。


「二つ目。」


 八本目。


 白。


 九本目。


 白。


 そして、十本目。


 青い光が静かに夜空へ昇っていく。


「最後もRか。」


 金色ではなかった。


 だが、街へ向かう旅の初日としては悪くない。


 十本の光はゆっくりと本の中へ吸い込まれ、一枚目のページが開く。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.022


虫除け香


★☆☆☆☆


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<図鑑>


薬草を乾燥させて作られた香。


火をつけることで虫や小型の害獣を遠ざける効果がある。


━━━━━━━━━━━━━━


「旅では助かりそうだな。」


「夜に使えそう。」


 リリアも嬉しそうに頷く。


 二枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.023


小型テント


★★☆☆☆


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<図鑑>


二人までなら快適に眠れる軽量テント。


組み立ても簡単で、初心者冒険者にも人気。


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「ちょうど欲しかったやつ!」


 レオンが思わず笑顔になる。


「野宿でも安心だね。」


 三枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.005


保存食 三日分


登録済み


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「また保存食だ。」


「旅なんだから、あって困らないでしょ。」


「まあ、それはそうだけど。」


 苦笑するレオン。


 四枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.009


火打石


登録済み


━━━━━━━━━━━━━━


「今日は野営できそうだな。」


「便利な職業だね。」


 リリアが感心したように呟く。


 五枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.024


携帯地図


★☆☆☆☆


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<図鑑>


主要街道と近隣の街が記された携帯用の地図。


細かな地形までは分からないが、旅の道しるべとして役立つ。


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「これも当たりだ。」


「道に迷う心配が減るね。」


 六枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.010


木の盾


登録済み


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 七枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.025


水袋


★★☆☆☆


━━━━━━━━━━━━━━


<図鑑>


丈夫な革で作られた携帯用の水袋。


長時間の移動でも十分な水を持ち運べる。


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「これも旅向きだな。」


 八枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.018


解毒薬


登録済み


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 九枚目。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.003


木のコップ


登録済み


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 そして最後。


━━━━━━━━━━━━━━


獲得


No.008


丈夫なロープ


登録済み


━━━━━━━━━━━━━━


「今回は旅道具が多かったな。」


 レオンは満足そうに頷いた。


「戦うためだけじゃなくて、旅を助けてくれるものも出るんだね。」


 リリアは感心したように言う。


「ああ。」


「ガチャって、案外こういう物の方が役に立つことも多いんだ。」


 本が静かに閉じる。


 星空がゆっくりと薄れていき、二人の視界は再びベルン平原へ戻った。


「さて。」


 レオンは新しく手に入れた携帯地図を広げる。


「まずは冒険者の街を目指そう。」


 リリアも隣から地図を覗き込む。


「街までは三日くらいかな。」


「途中で何があるか楽しみだ。」


 レオンはそう言って歩き出した。


 まだ知らない景色。


 まだ埋まっていない図鑑。


 そのすべてが、二人を待っている気がした。


新しく手に入れた携帯地図を頼りに、二人はベルン平原を歩き続ける。


 空は高く、雲一つない青空。


 吹き抜ける風が心地よい。


「平和だね。」


 リリアが辺りを見回しながら笑う。


「このまま街まで何もなかったら楽なんだけどな。」


 レオンも笑い返した、その時だった。


 ガサッ。


 背の高い草が揺れた。


 二人は同時に足を止める。


「……何かいる。」


 レオンが腰の短剣へ手を伸ばす。


 もう一度、草むらが揺れた。


 次の瞬間。


 白い影が勢いよく飛び出してくる。


「速い!」


 鋭い一本角を額に生やしたウサギだった。


「右!」


 リリアの声が飛ぶ。


 レオンは反射的に身をひねる。


 角が服をかすめ、そのまま地面へ突き刺さった。


「危なっ!」


 魔物はすぐに角を引き抜き、再び距離を取る。


「これが……。」


「ホーンラビットか。」


 レオンは短剣を構え直す。


 見た目は可愛らしい。


 しかし、その突進速度はゴブリンよりも速い。


「次、来るよ!」


 リリアが杖を構える。


 ホーンラビットは後ろ足で地面を蹴ると、一直線にレオンへ向かって駆け出した。


「今だ!」


 レオンは一歩だけ横へ踏み込み、すれ違いざまに短剣を振る。


 ザシュッ。


 短剣がホーンラビットの脇腹を浅く切り裂く。


「ギィッ!」


 魔物は小さく鳴きながら距離を取った。


「浅い!」


「動きが速すぎる!」


 その瞬間。


 リリアの足元に魔法陣が広がる。


「ライトアロー!」


 白い光の矢が放たれた。


 ホーンラビットは避けようと飛び退く。


「レオン!」


「分かってる!」


 避けた先へ飛び込み、短剣を振り抜く。


 今度は首元を正確に捉えた。


 魔物は二、三歩よろめき、そのまま静かに倒れる。


「ふぅ……。」


 レオンは息を吐いた。


「思ったより強かったな。」


「でも、連携は上手くいったね。」


 リリアが微笑む。


 その時だった。


━━━━━━━━━━━━━━


図鑑更新


魔物図鑑


No.004


ホーンラビット


登録


━━━━━━━━━━━━━━


<図鑑>


ベルン平原などの草原地帯に生息する小型魔物。


額に生えた一本角を使った高速突進が最大の武器。


肉は柔らかく、初心者冒険者の間では食料としても人気が高い。


━━━━━━━━━━━━━━


運命ポイント


+1Pt


━━━━━━━━━━━━━━


「よし。」


 レオンは小さく拳を握る。


「また図鑑が増えた。」


 嬉しそうなその姿を見て、リリアは思わず笑った。


「普通は魔物を倒して喜ぶところなのに。」


「レオンは図鑑なんだね。」


「もちろん。」


 レオンは迷いなく頷く。


「まだ世界には、見たことのない魔物がたくさんいる。」


「全部登録したい。」


「全部?」


「全部。」


 即答だった。


 リリアはくすっと笑う。


「本当にレオンらしい。」


 ホーンラビットを解体しようと近付いた、その時。


 草むらの奥から、再びガサガサッという音が響いた。


「……まだいる。」


 レオンは短剣を構え直す。


 しかし、音は一つではなかった。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 草原のあちこちが揺れ始める。


 リリアが表情を引き締める。


「囲まれた……!」


 姿を現したのは、一匹ではない。


 五匹ものホーンラビットだった。


 額の角をこちらへ向け、ゆっくりと距離を詰めてくる。


 レオンは短剣を握り直し、小さく息を吐いた。


「一匹なら新人向け……じゃなかったのかよ。」


(第14話へ続く)


⸻


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


旅が始まって最初の戦い。


レオンとリリアの連携、そして図鑑がまた一つ埋まりました。


ですが、冒険はそう簡単には進みません。


次回は二人にとって初めての本格的な集団戦です。


ぜひ次回もお楽しみください!

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