第10話 無料十連のルール
翌朝。
小鳥のさえずりが窓の外から聞こえてくる。
レオンは目を覚ますと、布団から勢いよく起き上がった。
「まずは確認だ。」
昨夜は、あえて無料十連を引かなかった。
運命ポイントは本当に残るのか。
無料十連は翌日に持ち越されるのか。
ゲーム好きとして、一度気になった仕様は確かめずにはいられない。
レオンは右手を軽く掲げ、意識を集中させる。
すると、見慣れた半透明の画面が静かに現れた。
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無料10連
READY
運命ポイント 16Pt
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「よし……!」
思わず拳を握る。
運命ポイントは昨日のままだ。
消えていない。
まず一つ目の検証は成功だった。
「じゃあ、無料十連は……。」
昨日は回さなかった。
ということは、二日分になっていてもおかしくない。
少し期待しながら画面を見回す。
だが、表示は変わらない。
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無料10連
READY
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それだけだった。
「二回分にはなってないか。」
レオンは苦笑する。
一日分しか表示されていない。
昨日の無料十連は消えてしまったらしい。
「なるほど。」
画面を見つめながら、小さく頷く。
「無料十連は一日一回。」
「引かなかった分は持ち越せない。」
「でも、運命ポイントは残る。」
ゲームなら、毎日ログインして受け取るデイリーボーナスのようなものだ。
仕組みが分かれば難しくない。
「これからは無料十連は毎日引く。」
「運命ポイントは、本当に必要な時まで貯めよう。」
方針は決まった。
レオンは満足そうに笑うと、『START』へ指を伸ばした。
「今日も頼むぞ。」
指先が触れた瞬間、世界が光に包まれる。
視界が白く染まり、次の瞬間には無数の星が輝く夜空へ立っていた。
「やっぱり、この景色は何度見てもすごいな。」
目の前には、一冊の巨大な本。
黒い表紙には金色の星が刻まれ、静かな存在感を放っている。
本がゆっくりと開いた。
パラッ……。
パラパラパラッ……。
ページがひとりでにめくられ、最後のページで静かに止まる。
すると、本の中央から十本の光が夜空へ打ち上がった。
白。
白。
青。
白。
白。
青。
白。
白。
青。
そして、最後の一本だけが金色に輝いている。
「また金がある!」
前回と同じだ。
いや、前回以上に胸が高鳴る。
幸運の羅針盤を引き当てた時の興奮がよみがえる。
「まずは一枚目!」
最初の白い光がゆっくりと本の上へ降り立つ。
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獲得
No.001
木の棒
★☆☆☆☆
登録済み
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「また木の棒か。」
思わず苦笑する。
「でも、こういうこともあるよな。」
ゲームのガチャだって同じだ。
欲しいものばかり出るわけじゃない。
二枚目。
白い光が降り注ぐ。
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獲得
No.008
丈夫なロープ
★☆☆☆☆
登録済み
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「ロープか。」
「予備はいくらあっても困らないな。」
三枚目。
青い光がゆっくりと本の上へ降りる。
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獲得
No.019
魔石(小)
★★☆☆☆
登録済み
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「魔石!」
これは素直に嬉しい。
売ってもいいし、魔道具にも使える。
ダブっても十分当たりだ。
四枚目。
白い光が静かに形を変えていく。
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獲得
No.005
保存食 三日分
★☆☆☆☆
登録済み
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「また保存食か。」
思わず笑ってしまう。
「これじゃ旅に出ろって言われてるみたいだ。」
五枚目。
白い光がゆっくりと収束し、一つの道具が姿を現した。
レオンは身を乗り出す。
「今度は何だ?」
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獲得
No.023
革の水袋
★☆☆☆☆
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<図鑑>
丈夫な革で作られた水袋。
水だけでなく、酒や薬草液などを持ち運ぶこともできる。
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「新しい図鑑だ。」
レオンの表情が明るくなる。
派手なアイテムではない。
それでも、図鑑が埋まっていくのは素直に嬉しかった。
「旅には役立ちそうだな。」
六枚目。
青い光がゆっくりと降り注ぐ。
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獲得
No.018
解毒薬
★★☆☆☆
登録済み
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「解毒薬か。」
前に引いたことがある。
毒を使う魔物もいる以上、何本あっても困らない。
七枚目。
白い光がふわりと舞い降りる。
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獲得
No.024
止血布
★★☆☆☆
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<図鑑>
薬草を織り込んで作られた止血用の布。
傷口へ巻くことで出血を抑え、応急処置ができる。
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「応急手当セットとは別物なんだ。」
戦いを経験した今なら分かる。
こういう実用品ほど、本当に命を救ってくれる。
八枚目。
白い光が静かに形を変える。
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獲得
No.009
火打石
★☆☆☆☆
登録済み
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「また火打石か。」
レオンは苦笑する。
「少しずつダブりも増えてきたな。」
それだけ図鑑が埋まってきた証拠でもある。
九枚目。
青い光がゆっくりと降りてくる。
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獲得
No.025
携帯ランタン
★★☆☆☆
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<図鑑>
魔石の光で周囲を照らす携帯用ランタン。
風の影響を受けず、洞窟探索でも安定した明かりを確保できる。
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「これは当たりだ!」
洞窟での探索を思い出しながら、レオンは笑みを浮かべた。
松明より扱いやすく、両手も空く。
間違いなく役に立つ。
「そして……。」
レオンはゆっくりと最後の一本へ視線を向けた。
夜空で輝き続ける、ただ一本の金色の光。
他の光とは違う。
まるで意思を持つかのように、ゆっくりと本の上へ降り始める。
「来い……!」
レオンは拳を握り締めた。
金色の光が本へ触れた、その瞬間――。
パタン。
開かれていた本が、ひとりでに閉じた。
「え……?」
今までにない演出に、レオンは息をのむ。
黒い表紙に刻まれた星の紋章が黄金色に輝き、本全体が鼓動するように明滅し始めた。
ゴォォ……。
静かな音とともに、本全体が黄金色の光に包まれていく。
レオンは息をのんだまま、その光景を見つめていた。
「やっぱり……。」
「SRは演出まで違うんだ。」
鼓動が自然と速くなる。
次の瞬間。
カッ――!
閉じていた本が勢いよく開いた。
無数のページが一気にめくれ、その中の一枚だけが黄金色に輝きながら宙へ浮かび上がる。
黄金のページ。
その中央に、一つのシルエットが映し出された。
細い銀色の縁。
丸いレンズ。
青く輝く小さな魔石。
星を思わせる繊細な装飾。
光が少しずつ集まり、その姿がはっきりとしていく。
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NEW!
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獲得
No.022
星詠みの片眼鏡
★★★☆☆
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<図鑑>
古代の星詠みが愛用した魔道具。
魔力を流して覗くことで、
隠された情報や真実の一端を映し出す。
知識や経験が深いほど、
見える情報は増えていく。
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「星詠みの片眼鏡……。」
レオンは思わずその名を口にした。
武器でも、防具でもない。
それでも、このアイテムには今までとは違う特別な雰囲気があった。
黄金のページはゆっくりと閉じ、本も静かに元の姿へ戻っていく。
すると、目の前に十枚のカードが整列した。
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本日の無料10連結果
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登録済み 木の棒
登録済み 丈夫なロープ
登録済み 魔石(小)
登録済み 保存食 三日分
NEW 革の水袋
登録済み 解毒薬
NEW 止血布
登録済み 火打石
NEW 携帯ランタン
NEW 星詠みの片眼鏡
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「新規四つか。」
レオンは満足そうに頷く。
毎日無料とは思えない内容だった。
最後に、画面の表示が静かに切り替わる。
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無料10連
COMPLETE
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「今日は、もう終わりか。」
レオンがそう呟くと、夜空も巨大な本もゆっくりと光へ溶け始めた。
眩しい光が視界を包み込み――。
次の瞬間、レオンは自分の部屋へ戻っていた。
手には、先ほど引き当てたばかりの『星詠みの片眼鏡』が握られている。
青いレンズを朝日にかざすと、その奥に小さな星空が一瞬だけ揺らめいた。
「やっぱり……普通の片眼鏡じゃない。」
レオンの脳裏に、ある物が浮かぶ。
昨日、『忘れられた洞窟』の最深部で手に入れた古代の石板。
「これなら、あの石板の秘密が分かるかもしれない。」
期待に胸を膨らませながら、レオンは机の引き出しへ手を伸ばした。
(第11話へ続く)
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今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
無料十連のルールが判明し、新たなSRアイテム『星詠みの片眼鏡』を手に入れました。
次回は、この片眼鏡が古代の石板に隠された秘密を映し出すのか――。新たな謎と発見を、ぜひお楽しみに!




