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癒しの女神様?降臨。

『運牙、ごめんね。お母さんたち、また人助けに行ってくるわ。』

『花火ちゃんと仲良くしているんだぞ。また今度一緒に遊んでやるからな。』

『こんどって、、、いつ?』

『人を助けてきたら、またすぐに帰って来るから。その時だ。』

『、、、、わかった。』

『良い子ね、運牙。愛してるわ、大事な可愛い可愛い私の息子、、、』

『それじゃ、行ってくる。花火ちゃんたちと大人しく待っているんだぞ。』

『うん、、、いってらっしゃい、、、』








【本日14時頃特対組の隊員2人が暴走すると言う事件が発生しました。突如近くの商業施設に押し入った後に銃を乱射し、その当時施設内にいた計30名の一般客の命を奪いました。隊員の名前は無杉命、無杉明霞、いずれも当時市内の見回りを行っていた隊員であったとの事です。

現場で生き残った方の証言によると、両隊員は店内に入ると同時に銃を乱射し始め、最後にはお互いの眉間に銃口を押し付け同時に頭を撃ち抜いたそうです。

両隊員の死亡は既に確認されており、特対組が現在事件の調査を進めております。】



『、、、、、へ?』

『う、運牙、、これって、、、』


ウソ、、、ウソだ、、、

パパ、、、ママ、、、どうして!!!



「はっっ!?!?」

目を開けると、天井が見えた。

あれ、、、ボク、グラウンドにいたはずじゃ、、、


「あ、目が覚めた?」

「、、、陽、、さん?」

「びっくりしたよー。急に意識失っちゃうんだもん。ヒメちゃんも私も大慌てだったんだから。」

ボクは医務室のベッドに寝かされているようだ。そして陽さんがずっと様子を見てくれていたらしい。


「、、、すみません。ご迷惑を、お掛けしました。」

ベッドから起きあがろうとすると。

「良いの良いの、まだ寝てなさい。元々こんなになるまで身体を追い込んでた私たちの責任だから。ごめんなさい。ヒメちゃんからも改めて謝罪が来ると思うわ。」

「いや、、そんな、、、」

「ねぇ、うなされてたみたいだけど、大丈夫?嫌な夢でも見てた?」

「いえ、、、まぁ、、ちょっと昔の事を、、」

酷く、鬱な気分になる夢だ。


「、、、少しだけ聞いてるの、運牙君のお父さんとお母さんの事。、、、大変、、だったんだね。」

「、、、知ってますか?ボクの父と母が起こした大事件。」

「ホームセンターの、、だよね。覚えてるよ、凄いニュースになったし。」


ボクの父と母は街の中を巡回している最中、突如ルートから外れた道を行き、そして近隣の住民がよく利用するホームセンターを訪れた。

入った瞬間、父と母は住民に向け発砲。30人が死亡、5名が重症を負う銃乱射事件を起こした。父と母はお互いの頭部を撃ち抜き絶命。

この凄惨な事件は一大ニュースとなり、国民の安全の象徴だった特対組の権威も著しく下がってしまった。


「あの事件から、ボクは『悪魔たちの子ども』だと色んな人からバッシングを受け、学校では安全な場所なんて無いんじゃないかって思うくらいイジメられました。」


その後、とある事実が発覚しボクへの批判は一旦落ち着く事にはなるけど。


「中学2年の時、色々と耐えられなくなって学校の屋上から飛び降りようとして、でもギリギリで幼馴染の子に止められて。」


花火はイジメられているボクを助けようとしてくれたけど、ボクを助けたら花火にもイジメの矛先が向かってしまう。だから、学校ではあまり近付かないようにしていた。

でも、やっぱり1人と言うのは、想像以上に辛かった。


「その子が、とても悲しんでくれたんです。ボクが死んだら、自分も生きていられないって。」


「人を助けたいと願っていた父と母は結局その助けたい人たちから罵声を浴びせられる事になった。自分の存在はこの世界にとって不要だと思って捨てようとしたら、全力で止めて悲しんでくれる人がいた。だから思ったんです。」


「自分の命を捨ててまで人助けをしても、得られるのは自己満足だけだって。そんな事をするくらいなら、ボクは大切な人とずっと一緒にいたいです。」

「運牙君、、、」


「、、、パパとママにも、、ずっと一緒にいて欲しかった、、、あ、、」

言うつもりじゃ無かったのに、口から勝手に漏れてしまっていた。


「運牙君!」

「わぷっ!」

陽さんが唐突にボクに抱きついて来た。頭が柔らかい物に包まれる、、、コレって、、、


「んっ、、んーー!!?」

離れてもらうように肩や背中を叩いたりするが、離してもらえそうになかった。


「今まで、よく頑張ってきたね、、凄いよ、運牙君。」

花火が今まで何回か抱きついて来た事はあったけど、陽さんに抱き締められていると自然と身体の力が抜けていく。髪もヨシヨシと撫でられている。


こんな感覚は初めてだ、、、


「運牙君の事ばっかり教えてもらって不公平だから、今度はこっちの事も話すね。」

頭から温もりが離れていく。少し名残惜しいと思ったのは内緒だ。


「私個人としては、運牙君に味方してあげたいとは思ってる。私も能力者だからさ、強制的に入隊させられたから。でも私と運牙君の違うところは、私の持った能力と私のやりたい事が合致している事。」

「陽さんのやりたい事、ですか。」

「うん。私の夢は看護師だったの。お母さんが看護師で人を助けてるところを見て、お母さんみたいになりたいって思ってた。」


だったら、陽さんの能力は。


「特対組の現場って危険な場所ばかりだからさ、私が夢で思い描いていたような場所では無かったけど、人を助けられる事に変わりはないから。だから、私は今ココで働いている事に誇りを持ってるの。」


、、、そうだよね。この特対組に入っている人は少なからず自分の仕事に誇りを持っている。


やっぱり、あの失言はダメだ。


「すみませんでした。」

「えっ!?きゅ、急にどうしたの?」

「『自分の命を捨ててまで人を助けるなんて馬鹿がやる事』、、、ボクの考えが足りませんでした。謝罪します。水蓮さんにも、ボクから後ほど謝りに行きます。」

「あ、、その事ね。私は別に運牙君の言った言葉は間違ってるわけじゃないって思ってるから気にしてないけど。ヒメちゃんにはちょっとマズかったわね。」

「だから、きちんと謝罪します。ただ勘違いはして欲しくないんですが。」

「ん?勘違い?」


「人を助ける事自体を馬鹿にしたわけじゃないんです。人を助けても、自分の事も守れなきゃ意味無いってボクは思ってるので。」

「っっ!!」

ボクの言葉を聞いて、陽さんが少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に変わる。


「運牙君、だったら安心して欲しい。確かにこの特対組の社訓は『力持つ者、持たざる者のために全てを捧げよ。』だけど。私たち第4番隊に、自分の命を蔑ろにしようと思ってる人なんかいないから。」

「、、、、、。」

「あ、あんまり信じてない顔してるな〜?」


ほっぺたをツンツンとしてくる陽さん。


「ちょ、やめてくださいよ、、」

「んふふ〜!、、、『命を賭けて戦う姿に憧れた』とかヒメちゃん言ってたけどさ、『死んでいい』なんてこれっぽっちも思ってないから。」


ちょっと信じられないけど、、、


「ヒメちゃんが言いたいのは多分ね、『それくらいの気概が無いと誰も助けられない』って事だよ。ヒメちゃんって13歳の時から特対組にいるんだけど。」


13!?中学1年で入隊!?、、すご、、、


「15歳で現場でポルターガイストを1人で討伐して今や次期エース候補だよ、凄いよね。だけどその間にたくさんの隊員が死んでいくのを見てきた。昔はこの第4番隊には20人も隊員がいたんだ。それが今は運牙君を含めても6人。それだけ危険な職業って事だよね。」


特対組も今は人手不足。それは少し前から騒がれていた事だ。近年ポルターガイストの凶暴性が増していると発表があったのを覚えている。


「1ヶ月前には、ヒメちゃんの同期2人が死んだ。だからヒメちゃんは『死なないために、死ぬくらいの特訓をする』って決めてるの。」

「死なないために、、、」

「運牙君にはちょっと人一倍厳しく当たってるとは思うけど、それも全部その人に死んで欲しくないからだよ。」

「、、、、、。」

「ま、今日のヒメちゃんのは流石に発言がOUTだったね。ちゃんと反省させるから。」

「、、、、いえ、元々はボクの失言から始まったので。」

「発言の真意を聞いたら、流石のヒメちゃんも許すとは思うんだけどね〜、、、、、じー。」

「ん、どうしたんですか?」

何故か入り口付近を眺める陽さん。

「いや?、、、、あ、そうだ。ヒメちゃんね、結構運牙君に期待してるんだよ?一昨日と昨日ね、特訓が終わった後に2人で部屋に集まってたんだけど〜」


バンっ!

「うわっ!」

ビクッと驚いてしまった。入り口付近から凄い大きな音がしたからだ。

「ここ、たまに変な音するから心霊スポットなんだよ。」

「えぇ!?」

「と言うのは冗談なんだけど。」


、、、陽さんも何だか油断ならない人だ。


「期待されてるって、、本当ですか?」

「うん、本当だよ。運牙君がさ、学校で女の子を助けたでしょ?あれは、どうして?」

「それは、、ボクにとって大切な幼馴染の命が危なかったからです。」

「でもさ、命を賭けて戦いたくないんだよね?」

「う、、、それは、、、。命賭けるのはもうあの1回で終わりですよ。」

「じゃあさ、これから私がピンチになる時があっても、運牙君は助けてくれないの?」

「いや、、それは、、、そんなの、、」

「ごめんごめん、ちょっと意地悪しちゃった!」


陽さんが舌をペロッと出す。とても可愛らしいけど、中々小悪魔な一面があるんだ、と思った。


「私の直感なんだけどさ、運牙君はやる時は絶対やれる子だって私思うんだ。その幼馴染の子を助けた事がさ、何よりの証拠だよ。運牙君には人を助ける為の力を絶対に持ってる。」

「、、、そう、、なんですかね。」

「うん。今後、運牙君の力が絶対に必要になる。私が頑張ってサポートするからさ、ヒメちゃんに付いていって欲しい。お願い。死なないために、もう少し私たちと一緒に頑張ってくれないかな。」


陽さんが頭を下げてくる。


「あの、頭上げてください。頭を下げられるような奴じゃないんで、ボクは。、、、もう少し頑張ってみます。どこまで出来るかは分かりませんけど。」

「うん、ありがとう運牙君!頑張ろうね!」

「わぷっ!」

再び抱き締められる。スキンシップ多いな、陽さん!


「運牙君が強くなったら、私の専属ボディーガードになってもーらお!」

「ボディーガードって、、、」

「、、、いや?」

「別に嫌とかでは、、、」

花火以外の女の子とはあまり関わって来なかったから、タジタジになってしまう。


「んー?嫌ではー?」

「、、、あ、ありませんよ、、、分かりました!強くなれたら、、、ですよ。死にたくないんで。」

「ふふふっ!うん、それで良いよ!じゃあ、お願いね!」


水蓮さんとは真逆の人だな。多分ボクだけじゃなくて、皆んなに優しいんだろう。もし同じクラスにいたら話しかける事も躊躇していたようなクラスの超人気者、それが陽さんだ。


「陽さん、色々とありがとうございました。おかげでまた明日から頑張れそうです。」

「なんのなんの!隊員のモチベーションを保つのも仕事のもんだよ。、、、だ、け、ど。」

「え?」

「運牙の事は人一倍応援してるから!あ、君付けはもう止めるから、運牙もさん付けは止めるように!じゃ、また明日ね!」

「えぇ!?ちょっと、、ひ、か、、、る、、、」


あの、、、色々と距離が近過ぎて、心臓が持ちそうにないですよ、、、花火以外の女の子に免疫無いんですよ、、、。


 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

バタン。

医務室を出ると、すぐそこに床で三角座りをしているヒメちゃんを発見した。


やっぱり、聞いてたんだ。

私にわざわざ具合を見るよう頼んでおいて、自分もずっと待ってたんだろうなぁ。

ヒメちゃんに頼まれずとも運牙のケアはするつもりでいたけど、、、全くこの子は。


「良かったね。明日からはもっと頑張ってくれるってさ。」

「、、、、、聞いてたわ。ありがとう、陽。」

「運牙は悪い子じゃない。聞いてたなら分かるでしょ。明日はちゃんと自分から話をしに行ってね。」

「うん、分かってる。」

「入れ込みたい気持ちは分かるけど、運牙は運牙なんだから。そこはちゃんと対応しなきゃダメだよ。」

「それも、大丈夫。、、、て言うか私と陽だけの話を持ち込むのは流石にどうかと思うわ!」


ぷくー、と頬を膨らませるヒメちゃん。

「はいはい、ごめんね〜。ヒメちゃんは怒ってても可愛いね〜。」

「ちょっと!」

「だぁってぇ、、連日寝る前に3時間も同じ話をされる身にもなってよ!ほんっとに眠いんだからね!無杉隊員たちの話は自分の中で留めておいて!耳にガチでタコが出来ちゃう。」

「ごめんなさい、、、」

「その調子で運牙にもちゃんと謝ること。」

「はい、、、て言うか何で君付け止めたの?私なんて、まだ名前どころか苗字ですら呼ばれてないのに。」


またもや頬を膨らませるヒメちゃん。

リスみたいで可愛い。


「それはヒメちゃんが悪いよ〜。特訓の時のヒメちゃんって鬼だからね。表情が死んでる分、鬼よりも怖いかも。」

「だって、、、心を鬼にしないと、、、キツイ特訓なんか出来ないもん、私、、、。」

「不器用だね〜、ヒメちゃん。そこが良いところでもあるんだけど。」

「ズルい、、、なんか陽だけ仲良しになったみたい。」

「だって、仲良くなりたいし。」

「、、、、、まさか、、狙ってるの?」

「へ?い、いやぁ、何の事かなぁ、私にはさっぱり。」

「仲の良い男子隊員いないのに、あの子にだけやたらグイグイ近付いてる気がする。」

「き、気のせいじゃないかな〜。さ、もう遅いし早く休も。」

「うわっ、はぐらかした!」


学校で変異型から女の子を助けた男の子。

話を聞いた時から強く惹かれていた。どんな子なんだろうって。

そして実際に目にして、私の頭の中にビビビッ!と電撃が走った。言ってはなんだけど、凄くイケメンだとかマッチョだとか大した特徴もない普通の男の子だった。だけど私は運牙から目を離せなくなっていた。

結局あの感覚が何だったのかは分からないけれど。


今は頼りないかもしれない。

けれどきっといつか、皆んなから頼られる存在になると私の勘が言っている。


そんなまだ見ぬ未来を想像しながら、私は明日に備えて眠るのだった。

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