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071 情報収集

 大通りから離れて裏通りを抜け、農地までやって来た。

 以前と変わらず畑を耕す姿を見つけて安堵した。

 どうやら貴族たちの魔の手はここまで伸びていないようだ。


「——! ご主人! 奥さん!」


 私たちに気付いたらしい。

 畑で作業をしていた男がそう叫んで私たちのところに駆けてきた。


「よかった! 奥さんは無事だったんですね。奥さんが一大事だって聞いて気が気じゃなくって」

「心配させたね。ご覧の通りちゃんと治ったからもう大丈夫だよ」


 男は私の手を取って、「よかった、本当に良かった……」と泣き崩れた。

 それには流石に私もユーリスもどうすれば良いのか分からず立ち尽くすしかなかった。


「——あの、今どういう状況なのか教えてもらえますか? 今しがた戻ってきたばかりで何も知らないんです」


 しばらく固まった後、言い出しづらそうにユーリスが訊ねた。

 それに男は少しだけ納得したような顔をして彼が知りうる限りのことを話してくれた。


 曰く、現在の王都は貴族間の闘争が激化しているそうだ。

 幸い貴族の家が集中している地区が主戦場となっているらしく、そこから遠く離れたこのあたりにはあまり影響はないとのことだった。

 貴族間のいざこざの影響で騎士団は内部分裂を起こしているらしく、王都の警備はほとんど機能していないという。

 騎士の一部はどこかの貴族について騎士の権力を使いながら私兵として戦っている者もいるのだとか。

 それに冒険者はギルマスに使われるのを恐れて一斉に遠方の依頼を受けて以来帰ってきていないという噂があるそうだ。

 商人も戦火を逃れるために王都に残っているのもごく一部。

 かろうじて残ってくれている商人が庶民の生活を支えているとのことだった。


「一応ここで作ったものは今まで通り買い取ってもらえています。王都で暮らしている人には必要なものですからね……」


 男はそう締めくくったが、表情は晴れない。

 やはり直接の影響はないものの先の見えない状況に不安があるのだろう。


「しかし、状況が悪くなれば商人が王都から今以上に出てしまう可能性もありますし、食べ物に困る人たちが増えてしまいそうですね……」

「今ここを仕切っているのは士爵だろう? 士爵からはなにか言われていないかい?」


 男の話では一切出てこなかったので気になって訊ねれば、士爵は今外から来ている人たちの対応に忙しいのだと返ってきた。

 外からということは王都以外のところから人が来ているのだろう。


「士爵の手が回っていないなら、支援所の方も気になりますね。ここは手分けしましょうか。俺は士爵のところに行きます。リーゼさんは支援所の方をお願いできますか」


 ちょうど考えていたことをユーリスが提案してくれた。

 緊急時に二人で一緒に行動するのは効率が悪いだろう。

 反対する理由もないので頷いて糧食支援を行っている地区に向かった。

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