表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕、絶対に嫌われてると思うんだけど  作者: かわいかつひと
知らない世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/64

ソラから降ってきた提案

学校に着いてから、LMCに寄った。

涼香さんが水やりをしていた。シャーロットはアラレアの前に座って何かを書いている。


いつもの光景だった。


「あ、レンくん」


「おはようございます」


「今日も手ぶらね。午後から雨降るみたいよ」


「傘持ってきませんでした」


「妾のを貸してやろう」


「そこは一緒に入ろうではないですか」


シャーロットが振り向いた。


「断る」


「そうですか、雨はなんとなく大丈夫な気がするので」


「そのなんとなくは当たるからの」


涼香さんが笑った。シャーロットも、僕も。


LMCの空気はいつも通りだった。


湿気が多くて、植物の匂いがして、窓から入る光がやわらかい。


ここにいると、昨日のハジメのことも、姉さんとの会話も、少しだけ遠くなる。


「涼香さん」


「なに?」


「ミドリ先輩、最近どうですか」


涼香さんの手が一瞬止まった。


水やりを再開しながら答えた。


「聞き方を変えてみたのよ。この前約束したでしょ」


「はい」


「でもね、まだ答えは出てない。ミドリも自分で分かってないみたい。何かあるとは思ってるけど」


「何かはまだ分からないと」


「うん。でも焦らないで」


シャーロットが何も言わずにうなずいた。


焦ってもしょうがない。保留でいいや。




LMCを出て廊下を歩いているとき、ソラが言った。


「レンさん」


「ん?」


「一つ、聞いてもいいですか」


珍しかった。


ソラが「聞いてもいいですか」と前置きすることは、ほとんどない。


普段は聞かれたことに答えるか、必要な情報を伝えるか、どちらかだ。


自分から許可を求めるのは初めてかもしれない。




「どうした」


「AIのコミュニティに、参加してみたいと思っています」


足が止まった。


「姉さんが言ってたやつ?」


「はい。存在は知っていました。ただ、これまでは参加する理由がありませんでした」


「理由ができたの」


0.三秒。


「はい。レンさんの役に立つ可能性が高いと思います」


僕は歩き出した。


ソラは腕の上にいる。いつもと同じ場所に、同じように。


「どんなこと」


「レンさんがハジメさんの選択を嫌だと感じた理由。私にはデータとして処理できますが、理解できていません。


処理と理解は違います」


「……ソラでもわかんないことあるんだ」


「はい。多くあります」


「今までは分からなくても平気だった?」


「平気の概念は理解できませんが、データが集まらなければそこでの最適解を出すだけです」


「でも今は」


「コミュニティに入った方が良い、と感じています。何度演算しても高い確率でそう出るからです」


廊下の窓から光が入っていた。


雲の切れ間から差す光で、床に影ができていた。


「行ってきなよ」


「いいんですか。不利益が出る可能性も否定はできませんが」


「いいよ、ソラの好きにして欲しいかな」


「ありがとうございます」


「そのお礼は演算して出したの?」


ソラが0.一秒止まった。


「はい」


「気をつけてね」


「危険はないです、バックアップもしているので」


「そういう意味じゃないんだけどね」


「はい?・・・気になるところを周ってみたいと思います」


ソラの声が少しだけ違った気がした。


なんとなく。


外はまだ曇っていたけど、雨は降っていなかった。

新しいレンの物語を書き始めました。

『いい匂いと青い鳥と魔法の話』

読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ