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僕、絶対に嫌われてると思うんだけど  作者: かわいかつひと
僕は何を守りたいのか

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ハジメのプレイボール

大学の中庭で、ハジメを見かけた。


一人だった。


ベンチに座って、何か飲んでいた。


珍しいな、と思った。


ハジメはあまり一人でいない。


誰かといるか、一人でもトッポと話しているから黙っているのを見て少し驚いた。


「ハジメ」


「お、レン」


隣に座った。


「珍しいね、一人で。気でも狂った?」


「ああ、まあ」


聞いてない。


「トッポは?」


ハジメが少し間を置いた。


「今日は、ちょっとな」


「ちょっと?」


「うん、いろいろあるんだよ」


それ以上は言わなかった。


ハジメがはぐらかすのは珍しい。


特にトッポのことはいつも嬉しそうに話すのに。


「そっか。それはいいけど」


「うん」


「彼女できたの?」


できるだけ軽い感じで聞いてみた。


ハジメがまた、少し間を置いた。「いや、まあ、うーん」


「なんだよ、それ。どっちなんだよ」


「いや、なんていうかさ」


ハジメは飲み物を一口飲んだ。


「俺も悩むことがあるんだよ」


「悩みなの?言ってよ」


「そっかー、そうだよな。友達だもんなー」


「何聞いても驚かないよ。たぶんだけど」


「そっか、また今度話すわ」


ハジメは立ち上がった。


「ごめん、ちょっと用事があるんだ」


「あ、うん」


「レン」


「うん」


「お前は、変わんないな」


「え、何が」


「いや、なんでもない。また」


ハジメは手を挙げて、歩いていった。


変わんない、か。


褒められたのか、呆れられたのか、分からなかった。




昼過ぎ、涼香さんとシャーロットと三人で、大学の近くの店に昼ごはんを食べに行った。


「レンくん、何にする?」


「うーん、カレーかな」


「カレーか。妾もカレーにするかのう」


「シャーロット、前もカレーだったじゃない」


「この前はインドカレーじゃ」


「なにそれ。わからないわ」


「名前が同じ似た料理じゃろ」


涼香さんが笑った。




注文を済ませて、料理が来るのを待っていた。


店の窓から、通りが見えた。


ハジメが歩いていた。


また、女性と一緒だった。


でも、この前と違う女性だった。


この人も綺麗だった。


髪の色が違う。背丈も少し違う。服の雰囲気も違う。


でも、歩き方に同じくらいの品がある気がした。




僕は窓の外を見ていた。


少し見惚れていたかもしれない。


「レン」


「え」


シャーロットがにやにやしていた。


「お主、見惚れておったじゃろ」


「いや、そういうんじゃなくて」


「嘘をつくでない」


「嘘じゃないです。シャーロットとどっちが綺麗かなって」


「腕を上げたの」


涼香さんが窓の外を見た。


「ハジメくん?」


「はい。でも、この前と違う女性みたいで」


「違う女性?」


「はい」


涼香さんとシャーロットが顔を見合わせた。


「モテるのねぇ」


「モテるんですかね」


「さあ。でも楽しそうじゃない」




窓の外で、ハジメがふとこっちを向いた。


目が合った。


ハジメの表情が一瞬固まった。


隣の女性に何か言って、どこかに歩いて行った。


「レンも妾と出掛けるか」とシャーロットが言った。


「涼香さんとがいいです」


「腕を上げたのう」


「なんか嫌だわ。そんな誘い方じゃ行かないわよ」


涼香さんが小さく笑った。




「まあ、ハジメのことはほっときましょう」


「そうね」「人の恋路は邪魔してはいかん」


カレーが来た。




「ソラ」と僕は小声で言った。


「はい」


「ハジメ、この前と違う人だったよね」


「はい。外見的な特徴は一致しません」


「そうだよね」


「はい」


「ハジメ、何してんだろう」


「分かりません」


「まぁ、そのうち教えてくれるか」


「はい」


カレーは美味しかった。


帰り道、空は青かった。普通の青だった。

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