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僕、絶対に嫌われてると思うんだけど  作者: かわいかつひと
見られる者達

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21/63

先輩が困るので嫌です

店を出たら、二人が立っていた。


「連絡をもらってね」と東堂先輩が言った。


きれいな笑い方だった。


「同じものが欲しいみたいだと」


「待ってたんですか」と僕は聞いた。


「急いできたよ」 ミドリ先輩が僕の隣に来た。


東堂先輩の視線が移った。


「白瀬さんも。ここに来るとは思わなかったよ」


「調査です」とミドリ先輩が言った。


「そうか。収穫はあったかい?」


「特には」


「紹介しよう、こちらは半田次郎」と東堂先輩が言った。


次郎に笑顔はなかった。




「夏目、お前はここでなにをしているんだ」と次郎が言った。


失礼な人だ、嫌いかも。


「ミドリ先輩の腰巾着(こしぎんちゃく)ですよ、あなたと同じです」


「そうか、会長の腰巾着の俺のが上だな」


いや、バカなんだ、好きかも。


「はい、うらやましいです」




東堂先輩が何も言わなかった。


「夏目くん、ERAって知ってる?」


「知ってます。キャンパスの近くで見たことがあります」


「どう思った?」


「よくわからなかったです。認めて欲しいという感覚がいまいちピンとこなくて」


「そうだね」と東堂先輩が言った。


「わからない人間にはまったくわからない話だ」


「感情データがあれば彼らが何を求めているかわかる、とおっしゃってましたよね」


「そうだね。覚えていたんだ」


「気になったので」




東堂先輩が少し前に乗り出した。


「調査は僕たちが引き継ごう」


「どういう意味ですか」とミドリ先輩が言った。


「君たちには荷が重い。実験を続けていればいい、それだけだよ」 ミドリ先輩が黙った。


「夏目くんも感情スキャンの実験、続けるつもりだろう」と東堂先輩が僕に向いた。


「はい」


「実験に集中した方が良いと思わないかい」


「ミドリ先輩がやりたいことを手伝いたいと思ってるので」 東堂先輩が止まった。


次郎さんだけが変わらない顔をしていた。


「それだけ?」と東堂先輩が聞いた。


「それだけです」


「君には、自分で続ける理由はないのかな?」


「今のところないですね。でも先輩が面白いと思ってることに付き合うのは、僕のやりたいことです」


東堂先輩がゆっくりと笑った。


今日一番本物に近い笑い方だった。


「では白瀬くんが実験に集中するなら、君もそうすると」


「先輩が困るので嫌です。」止まった。


次郎さんが「会長、そろそろ」と言った。


「そうか」と東堂先輩が言った。


「ではさっきの件、検討しといてくれ。次回聞かせてくれ」 二人が歩いていった。


——


ミドリ先輩がしばらく黙っていた。


「夏目くん」


「はい」


「今の、どういうつもりで言いましたか」


「そのままの意味ですけど」 先輩がスマートグラスのレンズを触れた。


「……ありがとうございました」 また先に言われた。


「別に、本当のことを言っただけです」 先輩が少し早足になった。


追いついたら、また少し早足になった。


なんで?


——


帰り道、ソラが静かに光った。何も言わなかった。


空が少しだけ暗くなっていた。

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