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僕、絶対に嫌われてると思うんだけど  作者: かわいかつひと
見られる者達

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20/64

価値がないものはいらない

「今日、レンくん踊ってた」


「それは見たかったです、教えてくれれば録画しました」


「言える雰囲気ではなかったです」


「ちゃんと顔を赤らめましたか?」


「そんなことにはなっていないはずです」


「それは残念」


それには答えず「明日、闇市に行ってみましょう」


とミドリは笑顔でそう言った。




「夏目くん、行ってみましょう」


次の日、ミドリ先輩は決意に満ちた顔でそう言った。


闇市、という言葉の響きより実態はずっと地味だった。


大学から電車で二十分、倉庫が並ぶ通りの奥に、表向きはリサイクルショップに見える店があった。


ソラが「ここです」と言わなければ通り過ぎていた。


市場じゃなくてお店だ。



道中、ミドリ先輩はずっと少し後ろを歩いていた。


「やめてもいいんですよ」と先輩が言った。三回目だ。


「先輩が行くって言いましたよね」


「危なくないんですか」


「ソラ、危ないですか」


「そんな状況にはならないと思いますが」


「状況によるそうです」


「それは答えになっていません」


先輩が少し歩くのが遅くなった。


「なんでそんなに平然としているのですか」


「初めてで、よくわからないだけです」


「わからないから怖いと思いますが」


「いざとなれば、ソラもユイも通報してくれますよ。」


「それまでレンさんが守りますから」とソラ。


「信じていいの・・・?」とユイ。


ミドリ先輩が止まった。振り返った。


「……あなたたちは本当に」


何かを言いかけて、やめた。


また歩き始めた。


「ユイ」と先輩が言った。


「はい」


一拍あった。




——


店の中は薄暗かった。


棚に意味のわからない機械が並んでいた。


奥にいた男が「なにが欲しい」と聞いた。


愛想がなかった。


ミドリ先輩が口を開いた。


「特定の周波数を相手に当てて測定できるデバイスを探しています」


「研究者か」


「はい」


「なにで払うつもりだ」


「情報で」


男が少し目を細めた。


「何の情報だ」


「ここに出せる実験データがまとめてありますです。」


「…見せてみろ」


ミドリ先輩が書類を渡した。紙の書類は久しぶりにみる。


男が黙って目を通す。


しばらくして「これだけか」と言った。


「足りませんか」


「これを欲しがる奴がいるとは思えん」


交渉が止まった。


僕はそのまま聞いた。


「最近、僕たちと同じものを求めた人はいますか」


男の目が少しだけ動いた。


「それは言わない」


「何と交換なら」


「お前たちがここでなにを買っても言わない、安心しろ」


男が奥に引っ込んだ。


——


帰り道、二人で並んで歩いた。


行きより間隔が近かった。


気のせいかもしれない。


「収穫はありましたか」とミドリ先輩に聞いた。


「来てる人がいるってことはわかりました」


「それだけですか」


「それだけです」


先輩が少し黙った。


「十分です」と先輩が言った。


「そうですか」


「来てくれてありがとうございました」


少し驚いた。ミドリ先輩が先に言った。


「別に、ソラに行きましょうと言われたので」


「……そうですか」


「レンさん」とソラが言った。


「ミドリさん」とユイが言った。


二人が同時だった。


「こちらに近づく人がいます」


「二人のようです」

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