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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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いつかこの日が来ると思っていました。ですから婚約破棄を告げられても驚きはそれほどなかったのです。

 いつかこの日が来ると思っていたわ。

 婚約破棄を告げられる日。

 思い返せばあなたはいつもわたしに対して冷たい態度を取っていたものね――結婚前からそんな状態で上手くいくわけがないわよね。


 だから驚きはそれほどなかったの。あなたがとてつもなく冷たい目をして「君とは終わりだ、婚約は破棄する」と簡潔に伝えてきた瞬間も、ああそうかこの時が来たんだ、としか思わなくて。思ったよりは冷静だった。ショックだとか、泣き出したいとか、そういう感じはあまりなかったわ。そこにあったのは、諦めと虚しさだけ。胸の内には、夜の静けさ、みたいなものが広がっていたわ。


 人間誰しも、想定外のことが起こると混乱するわよね。何が起こったのか分からない、となれば、慌ててしまうことでしょう。でもわたしにはそれはなかったから。そういう意味では、婚約破棄される可能性について想定していて良かったと思うわ。そんなこと、本当は想定できないほうが良いのでしょうけど。でも、どのみちこうなるのなら、ある程度想定できていて良かったと思うの。いきなり言われて、頭を殴られるような衝撃を受け、取り乱す、なんてことだけは避けたいから。


 ではね、さようなら……あなた。


 もうきっと顔を合わせることもないでしょう。

 わたしたち、終わりを迎えたから。

 これほどまでにはっきりと、分かりやすく、関係が終わってしまったわたしたちには――再び巡り会う日なんて訪れないでしょう。


 関係の終わり。それは永遠の別れね。



◆終わり◆

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