誰かを愛することで
詩のような作品です。
誰かを愛することで
得られる幸せもあるけれど
誰かを愛することで
失う平穏もあるでしょう
それでも人は
傷ついてもなお愛を抱く
空白を見つめ
幻想を信じ
どんなに痛い思いをしても
どんなに息が苦しくても
それでも迷うことなく一歩ずつ歩いていく
何かを失うなら
大切になんてしなければいい
ただ傷つくだけなら
大切なものなんて作らなければいい
それだけのことで
すべての悲劇から逃れられるのなら
そうやって
思ってはみても上手くいかない
どんな思いをしても
どんなに苦しんでも
結局のところはまた愛しい存在を求め
懲りることなく愛の海へと飛び込んでゆくのだから
もう二度と信じない
そんな言葉をこぼした夜もあった
愛しい人に裏切られ
深く傷ついた日には
終わりのない闇に沈み込むようにして
消え去りたいと思った日もあった
けれどそれでも
いつしか日はのぼり
風に乗せられるようにまた歩き出す
目には見えないものに導かれるかのように
自然な成り行きのまま
明日への道に生きた証を刻む
誰かを愛することで
得られる幸せがないわけではないけれど
誰かを愛することで
失う平穏も小さくはないのでしょう
ならば他人を想うことなどしなければいいのにと
そう思うのだけれど単純な話でもなく
茨の道を行くことになると知っていてもなお
また誰かを想い
また何かを抱き締めて
生きてしまうのが人の性なのね
誰も愛さずに生きることが
正義だとは誰も言わない
誰かを愛し生きることだけが
正義だとも言うつもりはない
優しさを信じること
温かさに身を委ねること
そのすべてが幻のようなものであるとしても
ただ意味のない幻想でしかないと切り伏せたくはない




