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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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ありがとう。そして、さようなら。(2)

『た~ほ』


 楽しかった時間も確かにあったよね。……ううん、そんな言い方は相応しくない。あなたと過ごすことのできた時間は紛れもなく楽しくて輝いたものだったから。そんな時もあったね、みたいな言い方をするのは、少し違うよね。


 散りゆく過去に手を振って。

 続けてゆけなかった悲しみにさよならって言いたい。


 照れすぎて言いたいことが言えない、そんな頃もあったことを覚えているけれど。今はそれとはまた違った意味で言いたいことが言えそうにないんだ。思っていることを言おうとすると色々なものが絡まってしまいそうで。変なこと言ってしまいそうな気がして、だから、言いたいことを言うっていうそんな簡単なことさえ難しいんだ。


 遠く離れた場所へ行っても元気でね、とか、なんとなく害のないよさげなことを言ってしまえばいいのかな。


ーー


 何を間違えたのだろう。きっとこの先もふとした瞬間に考えるだろうけど、その答えが出る日は来ないんだろうね。簡単に出せる答えならもう既に出ているはずだから。


 滲む涙が傷を癒していく。

 濡れた頬の感覚はいつまでも消えなくても。


 ねじ曲がってしまっている心も、いつの日かは、きっとまた元に戻るんだろう。そうすればまた真っ直ぐになれる。そう信じることだけがこの心を救ってくれるような気がするんだ。


 のんびりとした時間を過ごすことも大切なのかもしれないなって思う午後だよ。


ーー


 はじまりの日のことは忘れないよ。行く道を違えて、いずれ傷も癒えて、あなたとの日々がずっと昔のことになったとしても。それでも覚えているからって誓うよ。それに縋ることはしないけど、思い出は思い出としてきっと残り続けていくから。


 ひまわりの種を植えようかな。


 普通にやって来るものと思っていた未来はもうどこにもなくて……それがとても辛くて痛くて悲しくて、でも、それなのに……どうしてかな、少しばかり心が軽くなったように感じている自分もいるから、そこも少し悲しいんだ。


 変な感じなんだ、ほんの少しだけ。


 ほっこりする、なんて、まだずっと先のことなんだろう。でも今は自分のために時間を使いたい。だから取り敢えず星空を見上げてみるよ。それがあなたとしなかったことだから。あなたとの思い出の中にないことをやって、自由なわたしを取り戻してみたい。こんな時だからこそ、真っ白な心で過ごせる一瞬一瞬を大切にしたいんだ。

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