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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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愛してる、なんて、もう言えるわけがない……。~けれどもそれは悪いことではないのかもしれません~

 愛してる、なんて、もう言えるわけがない……。


 かつてわたしはあなたを想っていたわ。

 それはとても純粋な感情で。

 いつから抱くようになったかは定かでないけれど、それでも、澄んだ色をした確かなものであったことだけは確かよ。


 けれど、あなたは、わたしを切り捨てた。


 婚約までした仲だったのに、ある日突然関係を終わらせるという飾ることのない言葉を発して、そのまますべてを終わりにしたの。


 あの時の衝撃はとてつもないものだったわ。それからしばらくずっと泣いて過ごしてしまうほど。頭の中が真っ白になって、これまでの思い出が脳内を巡り巡って涙が溢れてきて、感情なんて分かりやすい単語では言い表せないくらいめちゃくちゃになって。まるで、この世界に在ったものすべてが消えてしまったのかと錯覚するくらい。もうとにかく混乱してしまっていて、絶望の海に溺れてしまいそうだった。


 けれどももうそれもずっと前のこと。


 今はもう何とも思わないの。

 あなたがわたしを切り捨てた、その事実は消えなくても、どうということはないわ。


 あなたが変わりわたしとの道を切り落としたのと同じようなものなのかもしれないわね。わたしもまた変わった、そして、過去の絶望に別れを告げた。記憶は消えずとも、自身が変わることはできる。己を構成するものが大きく変わってしまったなら、かつて抱いていた悲しみも薄れゆく。感情における生々しさは水に溶けて無色透明になる。


 愛してる、なんて、もう言えるわけがない……。


 けれどもきっとそれは悪いことではないのね。


 人は何度でも生まれ変わる。

 生きているままでも誕生を繰り返すかのように形を変えるもの。


 だから、痛みも越えて突き進めるのね、きっと。



◆終わり◆

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