ちょっとした用事があって婚約者の部屋を訪ねたのですが……そこで、思わぬ光景を目撃してしまいました。
なんてことのない平凡な日の昼下がり。
ちょっとした用事があって婚約者ダイウェーンの部屋を訪ねると、女性を部屋に入れていてしかもいちゃついているという光景を目撃してしまった。
「だ、だ……ダイウェーン!? 何してるの!?」
思わず部屋に突撃してしまい。
「なっ……なぜお前が!?」
「それはこちらのセリフよ。ダイウェーン、女性を自室に招き入れるなんて……どういうこと。信じられないわ」
何とも言えない空気になってしまった。
しかもそれだけでは終わらず。
「ふざけるな!! 婚約者とはいえ、他者の部屋へいきなり入ってくるなど……あり得んッ。お前とはここまでだ! 縁切りだ! 婚約は破棄とする!!」
怒ったダイウェーンはそんな風に鋭く言葉を放ち、関係を叩き壊したのだった。
◆
ダイウェーンといちゃついていた女性からは後に謝罪があった。
私の存在について、彼女は知らなかったらしい。そう聞くと彼女もまた被害者なのだと感じられて。きちんと謝ってもらえたということもあり、それ以上彼女を責める気にはならなかった。
誠実な対応をしてくれた彼女とは敵対することはなかった。
しかし、一方で、ダイウェーンは意地でも謝らなかった。
彼は「自分は悪くない!」とばかり言っていて、私の立場や気持ちなんて欠片ほども考えてはくれなかった。
ただ、そんな彼に、やがて天罰が下る。
ある平凡な日、家の近くの山道を歩いてた彼のところへ岩が転がってきたのだ。いきなりのことに固まってしまった彼は、避けることができず、岩に激突されてしまう。そうしてあっさりと落命してしまった。
愛した人と過ごせるわけでもなく、子孫に見守られるでもなく、信念に生きられたわけでもなく……何でもない日常の中で、彼は散った。
◆
ダイウェーンに理不尽に婚約破棄宣言された日から三年となる快晴の日、私は、皆に祝福されながら結婚式を挙げる。
隣にいるのは、親の紹介で知り合った青年。
例えるなら華やかになったたぬきのような顔立ちの人物で、どんな時も穏やかに寄り添ってくれる柔らかで優しい性格が個人的にはすごく好きだ。
彼となら幸せになれる。
そう確信している。
だから未来は怖くない。
◆終わり◆




