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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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わたしの家の前、いつもこの道を通るあなたのことが、どうしても気になって……?

 あなたはいつもこの道を通る。

 わたしが暮らす家の前。

 それほど目立つ道でもないのに、あなたは毎朝ここを通って、どこかへ向かって歩いていく。


 ――そのたびに、胸の内で何かが弾ける。


 嬉しいような、切ないような、甘酸っぱい色。それが胸を満たすのだ。知り合いではない、それなのに、あなたの歩く姿を見るだけで心が震える。他のものからは感じることのないような何か、を、あなたの姿からは感じる。


 このままいつまでも知り合いにもなれないまま?

 このまま他人のままで生きていく?


 ……仕方がないのだ、他人だから、知り合いになんてなれるわけもない。


 だからべつにそれでいいと考えていたのだけれど――その日は突然やって来た。


「あ、あの!」


 なぜかは分からない。

 でも今日は話しかけなければならない気がして。


 だからわたしは家を出て、思いきって声をかけた。


 当たり前だが、あなたは驚いた顔をしていた。けれども不快感を抱いているような雰囲気ではなくて。予想していたよりかは悪い雰囲気の反応でなかった。


「えっ、と……」

「すみません、急に。声をかけてしまって」

「いえ。ですが、ぼくに何がご用でしょうか? 話しかけてくださったということは、何か、用事があるということですよね」


 わたしはもう自分の心に嘘をつけない。


「ここの家の者なのですが、実は、何度かお見かけしたことがあって……」

「ああ、そうだったのですね」

「なんといいますか、非常に曖昧なのですけど、気になってしまって。それで一度声をかけてみようと……変ですよね、こんなの。すみません……」


 すると彼は柔らかな表情を作る。


「これもきっと何かの縁。よければ、お話ししましょう」


 あ、あれ……? 思ったより、かは……悪い展開じゃない……?


 そんな風に思って。

 若干動揺しながらも。


「ぜ、ぜひ!」


 一歩、前へ。


 踏み出してみよう。


 何も分からなくても。

 確かなものなんてなくても。



◆終わり◆

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