ある朝、目を覚ますと、透明な羽根の生えた妖精になっていました!? ~想定外の展開でしたが幸せにはなれました~
ある朝、目を覚ますと、透明な羽根の生えた妖精になっていた。
「え……なにこれ……」
鏡を見て衝撃を受ける。
言葉を失ってしまった。
いたって普通の人間だったはずの私の身体は、小さくなり、明らかに人ではないものになってしまっている。
――そのことを婚約者である彼エディオに伝えると。
「うわぁ。あり得な。きっも」
そんなことを言われてしまって。
「妖精とか無理すぎ」
不快そうな顔をされ。
「てことで、婚約は破棄な」
関係を終わらせるという言葉まで告げられてしまった。
何の問題もなかった関係が突然終わりを迎えてしまって辛かった。
いきなり妖精の姿になってしまったというだけでも複雑な思いでいるのに、そこに婚約破棄まで積み重なって。辛さと辛さが重なり合う、それは心を暗い海へ沈めてゆくばかり。
◆
婚約者であったエディオに切り捨てられ落ち込んでいたのだが、数日後、妖精界の王だと話す男性が目の前に現れた。
彼もまた、今の私と同じような姿をしている。人間よりは小さな身長で、透明な羽根が生えている。性別以外に違いはない。妖精について詳しくない者が見ても同じ種族だとすぐに判別できるような姿をしているのだ。
そんな彼に求婚されて、私は、彼のもとへ嫁にいくこととなったのだった。
◆
――あれから数年。
私は今、妖精界の王妃として、王の隣という頂に立っている。
この世界は私に優しかった。
誰も私を差別したりはしない。
常に温かく受け入れてくれる。
だから私はこの道を行くことを選んだ。
夫である王と共に、妖精界を護ってゆく――その決意はもう揺らぐことはない。
……ちなみに元婚約者エディオはというと。
彼はあれからの人間界で暮らしていたようだが、ある夏の日に海で女性に声をかける行為をやり過ぎたために見張りに注意されてしまい、その注意に反抗するような棘のある言葉を発したために捕らえられ、牢屋送りとなってしまったそうだ。
彼は今、牢屋に入れられ、冷えきった美味しくない食べ物だけしか与えてもらえないような環境で孤独に生きているらしい。
あの時、私が急に妖精になってしまったことで、私たち二人の関係は終わってしまったけれど……その後の生き方によって、迎えた現在は大きく異なっているようだ。
本来優位そうな婚約破棄する側になった彼だが幸せにはなれなかった。
だが婚約破棄される側になってしまった私は幸せを掴むことができた。
……そう考えると、人生とは分からないものである。
◆終わり◆




