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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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婚約破棄されたあの夜はとても辛かったわ。けれども今は、ね……。

 かつて婚約破棄されて。


 あの夜はとても辛かったわ。

 そんなことになるなんて少しも想像していなかったから、なおさら。


 でもね、今はもうそこにとどまってはいないの。


 切り捨てられたという事実に、そこから生まれる痛みに、もう慣れてしまったから。


 理不尽な形で関係を壊されるということ。それは突然起こると信じられないくらいの痛みを伴うことよ。

 けれども時は傷を癒してくれる。

 時というものは最も偉大な薬だと誰かが言っていたけれど、今ならその意味が分かるわ。時の流れに即効性はないけれど、代わりに、ほぼ確実に傷を癒してくれるのね。


 だからね、今はもう、当時のように暗闇を歩いているわけではないわ。


 婚約破棄されたことも。

 理不尽極まりない形だったことも。


 今なら言えるわ――それが定めだったのだろう、って。


 起こることすべてが定めなら、それは仕方のないこと。抗うことなどできはしない。

 そう思えるようになったのも、今が幸せだからなのでしょう。

 幸せになれたわたしは、運命に文句を言うつもりはない――誰もがきっとそうね、幸福に満たされた現在を手にしているなら、文句なんて誰も言いはしないでしょう。


 わたしはもう孤独ではない。

 わたしはもう不幸ではない。


 いつまでも泣いている女じゃないわ。


 良き人と巡り会い、結ばれ、清らかな幸せを手にいられたらからこそ、もう振り返ることはせず真っ直ぐに未来へ進むの。



◆終わり◆

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