今日も、明日も、明後日も。関係はずっと変わらないものだと思っていたのですが……。
今日も、明日も、明後日も。
私たちはずっと婚約者同士なのだと信じていた。
……いや、むしろ、信じていたなんてそんな特別なことではなくて。
私たち二人は正式に婚約者同士なのだから、いつまでも変わらずにいられるのだと、当たり前のように思っていたのだ。
「ごめん、君との婚約は破棄する」
けれどもそれは間違いだった。
「え……。ど、どうして? 急に?」
「決めたから」
「そうじゃなくてっ」
「なら何?」
「今になって婚約破棄だなんて、理由があるはずでしょう? そこを聞いているの」
私たちには絶対的な未来はなかった。
「ああ、まぁ……特別何っていうのはないけど。敢えて言うとしたら、なんとなくそういう気分になったから、かな」
確かなものなんてどこにもなかった。
「そんな理由で……」
「まぁそうだね!」
「そう。……さすがに呆れたわ、残念」
こうして私たち二人の婚約は破棄となったのだった。
ただ、私が悪いことにはならなかった。
こちらから彼の両親に話をして、その人たちからは謝ってもらうことができた。そして慰謝料のようなお金も支払ってもらうことができた。
当人である彼は知らないけれど、彼の両親は私に非はないと認めてくれていたので、個人的には非常に救われた。
◆
あれから少しして、元婚約者である彼は命を落としたようだ。
ある夜、私との婚約破棄の件で両親と喧嘩になり、怒って飛び出していった彼だったが……間もなく事故に遭い、あっさりこの世から消えてしまったそうだ。
信じられないくらいの呆気ない最期。
けれども紛れもない現実。
◆
婚約破棄から数年、私は、衣服を扱う大企業を営む家の子息である青年と結婚した。
彼との生活は穏やかそのもの。
本当に幸せだ。
考えられる限りの幸福を詰め込んだような日常だな、と、自分でも思う。
そんな日常を手に入れられて……良かった。
◆終わり◆




