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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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351/354

今日も、明日も、明後日も。関係はずっと変わらないものだと思っていたのですが……。

 今日も、明日も、明後日も。

 私たちはずっと婚約者同士なのだと信じていた。


 ……いや、むしろ、信じていたなんてそんな特別なことではなくて。


 私たち二人は正式に婚約者同士なのだから、いつまでも変わらずにいられるのだと、当たり前のように思っていたのだ。


「ごめん、君との婚約は破棄する」


 けれどもそれは間違いだった。


「え……。ど、どうして? 急に?」

「決めたから」

「そうじゃなくてっ」

「なら何?」

「今になって婚約破棄だなんて、理由があるはずでしょう? そこを聞いているの」


 私たちには絶対的な未来はなかった。


「ああ、まぁ……特別何っていうのはないけど。敢えて言うとしたら、なんとなくそういう気分になったから、かな」


 確かなものなんてどこにもなかった。


「そんな理由で……」

「まぁそうだね!」

「そう。……さすがに呆れたわ、残念」


 こうして私たち二人の婚約は破棄となったのだった。


 ただ、私が悪いことにはならなかった。

 こちらから彼の両親に話をして、その人たちからは謝ってもらうことができた。そして慰謝料のようなお金も支払ってもらうことができた。

 当人である彼は知らないけれど、彼の両親は私に非はないと認めてくれていたので、個人的には非常に救われた。



 ◆



 あれから少しして、元婚約者である彼は命を落としたようだ。

 ある夜、私との婚約破棄の件で両親と喧嘩になり、怒って飛び出していった彼だったが……間もなく事故に遭い、あっさりこの世から消えてしまったそうだ。


 信じられないくらいの呆気ない最期。

 けれども紛れもない現実。



 ◆



 婚約破棄から数年、私は、衣服を扱う大企業を営む家の子息である青年と結婚した。


 彼との生活は穏やかそのもの。

 本当に幸せだ。

 考えられる限りの幸福を詰め込んだような日常だな、と、自分でも思う。


 そんな日常を手に入れられて……良かった。



◆終わり◆

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