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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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310/350

……あの頃、私たちは、確かに幸せだった。

 沈みゆく船に乗るようなものね。


 悲しみに身を委ねるなら。

 二度と日射しを浴びることなどできはしない。


 ……あの頃、私たちは、確かに幸せだった。


 貴方とならば何でもできた。暮らしの中の小さな幸せをたくさん見つけられた。どんなに小さなことでも、そこから嬉しさを抱き上げて、微笑むことができた。


 まだ眠くて身体が重い朝も。

 やる気が生まれづらい昼も。

 疲れ果てて倒れ込むような夜も。


 心が折れることはなかったし、むしろ逆で、小さな光の中に希望を見つけて歩むことができた。


 でも、私が間違っていたのは、そんな日々が続くと思っていたというところね。


 幸せは永遠のものではなかった。

 けれどもそれに気づけずにいた。

 手に入れたものは手に入れられたものなのだと思ってしまっていた。


 振り返れば間違っていた。


 でも、今になって気づいてももう遅い、手遅れなの。


 戻れるなら戻りたい。あの幸せだった日々に。柔らかな日射しを浴びて、優しい風に吹かれて。そうやって穏やかな幸福に包まれていた時間をもう一度やり直したい。


 あの頃のように、また、笑って……。



◆終わり◆

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