「お前なんて愛せないよ」そう言われ、婚約破棄されました……。
「お前なんて愛せないよ」
婚約者ディヴァウルは真剣な面持ちで告げてくる。
「よって、お前との婚約は破棄とする。……いいね」
その日の彼はこれまでに見たことがないくらい冷えきった空気をまとっていた。
「僕は本当に愛せる人と生きていくよ」
終わりとはいつも突然やって来るものだ。
だからこそ悲しいし辛い。
心当たりがなければ心の準備を前もって行っておくことも難しいし。
ただ、それでも……そうなってしまった以上、仕方がない。
この縁についてはもう諦めよう。
終わったものは終わったものだから。
書き換えることは不可能だから。
彼との道に未来はなかったのだ、そう理解すればいい。
◆
あれから数日、ディヴァウルはこの世を去った。
何でも、山を歩いていて毒を持った植物に触れてしまったそうで。毒を受けた彼はその場で倒れ、すぐには発見されなくて。結果、落命してしまったそうだ。倒れている彼が家族に発見された時には、彼は既にこの世にはいなかったようである。
詳しいことは知らないけれど、毒を持った植物というのは恐ろしいものなのだと学んだ。
◆
「この前は美味しいりんごジュースありがとうねぇ」
「美味しかったなら良かったです」
「お姉ちゃん、いつも本当に優しいねぇ。ありがとぉ。感謝してるからね」
あれから数年、私は今、ある町で町長の息子の妻として暮らしている。
「すみません、前に言っていた書類なのですが」
「はい。何か変でしたか? 間違っていた、とか……」
「いえ! そうじゃないんです! すごく読みやすかったので尊敬しまして」
「そうなのですか?」
「出来の良い書類で驚きました、あれは貴女が?」
「そうですね」
「それはすごい……! 隙のない完成度でした」
「ありがとうございます」
色々しなくてはならないことはあるし、忙しい日もあるけれど、それは悪いことではないと思っている。
やりたくてやっていることだから。
無理矢理押し付けられている役目ではないから。
だからこそ、どんな時も前向きに、取り組むべきことに取り組めていると感じるのだ。
私はこれからもこの道を歩むつもりだ。
それがやりたいことだから。
◆終わり◆




