心ない言葉ばかり発してくる婚約者に婚約破棄されましたが、その後良き人と出会うことができました。
淡い青をした髪を持って生まれた私は、その珍しい髪色ゆえに婚約者から愛されなかった。
婚約者である彼ラスティオは、会うたび「お前さぁ、ほーんと、変だよな」「そんな変な髪の女が婚約者とかきついわ」などと心ない言葉を吐いてくる。
それでも、婚約者だから、と。
雑な対応はしないよう気をつけて。
嫌なことを言われた時でも攻撃的な態度は取らないよう努力してきた。
……だがそんな努力は無駄だった。
「お前との婚約だけど、破棄するわ」
やがてそう告げられてしまう。
「前から嫌いだったんだよなー、お前のこと。髪変な色だし、顔も並だし。俺くらいの男になるとさ、もっとハイレベルな女求めてしまうんだわ。お前くらいの女じゃ満足するとかムリムリ」
終わりを告げるその時でさえ、彼は心ない言葉を吐いてきたのだった。
「じゃな、バイバ〜イ」
◆
驚いたことに、婚約破棄宣言の数日後ラスティオはこの世を去った。
その日彼は日課である朝のランニング中に倒れたそうで。病院へ搬送されるも、その時には既に心臓が動かなくなっていたらしく。処置する術はなく、彼はそのまま静かに息を引き取ったのだそう。
あまりにも呆気ない最期であった。
◆
ラスティオに婚約破棄された日からちょうど三年となる今日、私は結婚する。
「おはよう、今日はよろしく」
「こちらこそ。よろしくお願いします。ミスしないよう気をつけます」
「ドレスを着た姿、綺麗だよ」
「ありがとうございます」
初めての結婚式。緊張感はある。経験のないことだから。
ただ、それでも、大切な人が傍にいるから、怖くはない。
夫となってくれる彼は思いやりのある人だ。
だから、彼となら大丈夫、と、迷いなくそう思えるのだ。
「髪も美しいね」
「ありがとうございます……でも、そんな風に褒められてしまうと、少し照れます」
「事実しか言っていないよ」
「……温かなお言葉に感謝します」
思い返せば、彼との出会いはこの街の商店街だった。
あの時私は落とし物を探していて。
それに協力してくれた通行人が彼だった。
そこから始まった繋がりは、やがて、結婚という形で花開くこととなる。
そう、それが現在なのだ。
この先のことはまだ分からない。
けれども未来を真っ直ぐに見つめることはできる。
だからこのまま進んでみようと思う。
◆終わり◆




