手作りしたクッキーをのんびり食べていただけだったのですが……。~人生とは何が起こるやら分からないものですね~
その日、手作りしたクッキーを自宅でのんびり食べていたのだが、突然やって来た婚約者ルイールはそれを見て「うわっ、何その乙女アピール。キツっ」と失礼な発言をしてきた。
「おいおい、それって、手作りアピール?」
「いえ……ただ食べていただけですけど」
「うっわー。いるよな、そういう女の子アピールしてくるやつ。そういうのキッツいわ」
何やら勘違いされてしまったようで。
「あー、無理。じゃ、婚約は破棄な。今決めたからこの決定は絶対」
関係の終わりを宣言されてしまう。
「突然過ぎません……?」
「仕方ないだろ今決めたんだから。急なのは当たり前だろ。ごちゃごちゃ言うなよな、いちいち」
「婚約破棄という大きな決定をそんなさくっとするのですか?」
「うるせーよ! 好きにさせろよそのくらい! 俺が決めたことは絶対なんだよ!」
今の彼には話し合おうという心は欠片ほどもないようで。
「なんにしても! もうお前は要らねぇんだよ! じゃあな!」
彼はそのまま一方的に私を切り捨てたのだった。
――そんなルイールは翌日命を落とした。
行きつけの喫茶店で紅茶を飲んでいたところ、隣の席に座ってきた酔っ払いと思われる男にいちゃもんをつけられ、それに強く言い返したために掴み合いの喧嘩に発展してしまったらしくて。激しく争っていたその中でテーブルの角で頭を打ち意識を消失。その後病院に搬送されるも意識は戻らないままこの世を去ったそうだ。
その後私はお菓子屋さんを立ち上げ、大成功した。
美味しいものを作り、美味しいものを食べる。
それはとても幸せなこと。
この胸に宿るシンプルな思いを世の中に広めていく活動はとても楽しい。
あの時、彼には否定されたけれど、そんなことはもうどうでもいい。
私は私が信じる道を進む。
◆終わり◆




