「雨がやんだら想い告げに行くよ」婚約者からそんな風に言われていたのですが……?~奇跡が幸せを与えてくれました~
先日、婚約者である彼ラヴィンズから「雨がやんだら想い告げに行くよ」と言われ、今日ようやく長い雨がやんだのだが――そんな状況で彼から告げられたのは想定外の言葉であった。
「君との婚約は破棄とすることにしたよ」
雨がやんですぐ私のもとへやって来たラヴィンズは、さらりと言ってきた。
「僕は僕の人生を選ぶ。だから君とはここまでだよ。今までありがとう、じゃあ……さよなら」
彼は婚約破棄という重大なことを勝手に決めていた。そしてそれを押し付けてきた。私も当事者だというのに、その私には少しも相談なし。彼は身勝手にすべてを決めた。彼だけの思考で、彼だけの決意で、婚約を破棄するという大きな決定を行ったのである。
……かくして、私たちは終わりを迎えたのだった。
だがその直後奇跡が起きた。
父の事業が成功したのだ。
それによって私たち一家の行く道は大きく変化した。
ラヴィンズとの関係が終わったことは残念ではあったけれど、その後こんな良い奇跡が起こると、自然と彼にまで感謝したいような気持ちになれて――また、同時に、手に入れられた幸せを大切にしていこうと強く思えるようになった。
すべてが糧となる。
その言葉の意味がようやく理解できた。
◆
あれから数年、私は今、父の仕事を手伝いつつ穏やかに暮らしている。
仕事に打ち込む日々は充実している。
だから私はこれからもこの道を進んでゆきたいと思っている。
行くべき道はもう決めた。
……ちなみにラヴィンズはというと、昨年の夏ごろ山を散歩していて毒虫に刺されてしまい命を落としてしまったそうだ。
◆終わり◆




