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そんな言葉は要らなかった。〜取り戻せないあの日々へ〜
愛してる、なんて言葉は要らなかった。
あなたと共に歩めないのであれば。
そんな言葉に意味はなかった。
……あれからどのくらいの時が流れたかしら?
もう思い出せもしない。
ただそれでもあの時の記憶だけは今も鮮明にこの頭の中に残り続けている。
そしてそれはきっとこの先も。
いつまでも、どこまでも、残り続けてゆくのだろう。
痛みも。悲しみも。すべてが鮮明に。時が流れても、それでもなお、記憶はあの時のままで。
どれだけ想っても取り戻せはしない。そんなことは分かっている。取り戻せるなら何だってしたであろうあの幸せな日々に取り戻す方法がないことなんて、ずっと前から分かっていた。
それでもまだ取り戻したいと願う夜があるのは、恐らく、決して変わることのない現実を受け入れたくないから……なのだろう。
……ただ時間だけが流れてゆく。
愛してる、なんて言葉は要らなかった。
あなたと共に歩めないのであれば。
そんな言葉に意味はなかった。
◆終わり◆




