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涼しい風が吹いている。~自由を手に入れられたなら~
涼しい風が吹いている。
時折強まるそれは髪を揺らすけれどそれすらも今は心地よい。
――つい先ほど婚約破棄された。
けれどもそれは残念な出来事ではなく。
むしろ不愉快な人からの解放で。
それゆえ負の意味を持つものではなかった。
雨を降らす雲はもうない。
晴れわたる空にかかる虹。
太陽の光が生み出す無数の煌めき。
私はもう自由だ。
そう気づいた時、何にも縛られない私というものが確かに生まれた。
もう何も、もう誰も、私から自由は奪えない。
古びた鎖など引きちぎって。
青く澄んだ空を飛ぶように、選んだ道を突き進む。
躊躇いなどなく。
真っ直ぐな瞳で。
――もう誰も止められはしない。
自由の翼を手に入れた私は、自分の道を自分で選び、どこまでも飛んでゆくだろう。
涼しい風が吹いている。
時折強まるそれは髪を揺らすけれどそれすらも今は心地よい。
◆終わり◆




