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14 : 謎解きの試練 2 と 3 side フローラ

階段を降りると、また同じような部屋に来た。


同じような、というか、さっきの部屋と違いがわからない。


そして、正面の壁には、また文章が彫られていた。


『初代聖女より、次代聖女へ

一問目のクリアおめでとうございます

では次の質問です

もし未来に行けるとしたら、私に会うのは過去か今か未来か』


そして、問題文の下に三つの石板が置いてある。


『過』『今』『未』


「さっきと一文目は同じ。そこからの二文は、問題文ではないよね」


つまり実際の問題は「もし未来に行けるとしたら、私に会うのは過去か今か未来か」だけ。


改めて問題のみを読んでみると一問目よりずっと量が少ない。


「『私』というのは、初代聖女だけど、未来に行っても初代聖女はいないよね。過去は行けると書かれてないから過去はないとすると」


消去法で、もう『今』しかない。


合ってるのか不安だけど、初代聖女が作ったのなら間違えても死にはしないだろうし。


私が『今』の石板を手に取って聖なる光(トーチ)を唱えると、あっけなく下への階段が現れた。


一問目は少し悩んだけど、二問目は簡単すぎる気がした。


それに『未来』に行けるとして『今』会うってのもよくわからない。


それじゃあ、別に未来に行く必要なんてない。


下に降りるとまた同じような部屋だった。


そして問題文には問題が書かれていない。


『初代聖女より、次代聖女へ

二問目クリアおめでとう

さすがに簡単すぎたかな

次が最後だから、心して挑んでね』


下に答えとなる石板があることもなく、また周囲の壁を見てみても何も変わったところはない。


「二問目クリアおめでとう、ってあるから正解だったはずなんだけど・・・問題文がないのが問題?」


意地悪、そう呟きたくなった。


ナゾナゾっていうレーコは言ってたから、これもナゾナゾの一環であるんだろうけど。


何も思いつかなかった。


試しに聖なる光(トーチ)を使ってみたけど何も起こらない。


上に戻る階段は残ってるけど、戻ってもさっきの部屋。


それに一問目のところまで戻ったら行き止まりだから、それ以上は行けない。


一応、確認してみよっかな。


私は二階分階段を上ってみたけれど、特に変化はなかった。


つまり、最後の問題文だけで答えなければいけない。


でも、本当に何もわからない。


いくら二問目が簡単だからって、これはひどいと思う。


問題文がない問題になんて答えられるわけないじゃん。


レーコはゲームで解いたらしいけど、いったいどうやって思いついたんだろう。


見方を変えるにしたって、見るものすらない。


あーでもない、こーでもないと無駄に階段の往復を続けた。


そこからは思いつくものを何でも試してみた。


聖女の他の力はと思って回復魔法を使ってみたり。


過去の問題の石板を全部集めてみたり、他の部屋でもう一度答えの石板を手にして浄化魔法を放ってみたり。


答えじゃない石板でも同じことをしてみたけど全てが空振り。


もう万策尽きた。


この遺跡で勉強してないことを反省したけど、これって勉強してもどうにもならないよね。


そんな気持ちが首をもたげる。


うぅ、どうすれば。


「ヒントー」


乾いてきた喉で声を出してみても、何も変化がない。


壁を叩く、どこか古典的な隠し扉がないかを探す、それらも全部ダメ。


心細さ以上に、腹が立ってくる。


聖女は怒りを表に出してはいけない。


そんなことを教会で言われたけど、これは怒ってもいいはず。


だって、もし仮に私を怒らせているとしたら、それは初代聖女なのだから。


そこで、ふと頭を何かがかすめた。


”初代聖女”が”私”を怒らせる?


なんでそんなこと考えたんだろう。


声に出して考えたいけど、口が乾いて上手く言葉が出ない。


いいや、もう頭でも同じこと。


それよりも、初代聖女だ。


初代聖女はもう死んでいる。


だから、直接私を怒らせるなんてことにはならない。


でも、聖女が作った問があるから、私は怒ってる。


こんなの解けるかって。


どうして、初代聖女が作ったって考えた?


レーコがそう言った記憶はない。


そーだ、問題文に毎回『初代聖女から、次代聖女へ』とあったからだ。


そういえば、問題の答えも初代聖女に関することだった。


最初の問はなんだっけと思い最初の部屋まで登ってみる。


『初代聖女より、次代の聖女へ。

あなたは一人で森の真ん中にいます。

右を向いても左を向いても何もありません。

さて、私は上と下のどちらから来るでしょうか』


別れた壁のせいで読みづらかったけど、それでも思い出せた。


そして答えは『下』。


次の問を見るために一個下へと降りる。


『初代聖女より、次代聖女へ

一問目のクリアおめでとうございます

では次の質問です

もし未来に行けるとしたら、私に会うのは過去か今か未来か』


それで、答えは『今』。


そういえば、どちらも『私』、つまり『初代聖女』に関する質問だった。


一問目が『上と下のどちらから来るか』。


そして二問目が『会うのは過去か今か未来か』。


これが、もし問題文だとしたら。


何かが閃きそうで最後の問題の前まで走った。


『初代聖女より、次代聖女へ

二問目クリアおめでとう

さすがに簡単すぎたかな

次が最後だから、心して挑んでね』


『初代聖女より、次代聖女へ』


これは『初代聖女』が作問者であるという暗示。


『二問目クリアおめでとう』と『さすがに簡単すぎたかな』はレトリックかな。


で、一番下の『次が最後だから、心して挑んでね』。


普通に考えれば『次が最後の”問題”』になるし、さっきもそう呼んだ。


でも『初代聖女』が『下』から来るとして、『今』会うのだとしたら。


浄化魔法を毎回使わせていたのも、レーコが言うところの演出以上の意味があったとしたら。


なんのために初代聖女がこんなことをしたのかはわからない。


でも、浄化魔法は邪悪なるものを滅する魔法、だ。


教会ではそう教えられた。


レーコのゲーム的な説明では幽霊系の魔物への攻撃手段だったけど。


この遺跡に間違っても邪悪なるものを入れないための装置なら納得できる。


浄化魔法をやたらめったら使っても意味がないのはさっき確かめた。


でも、床に対して使ってみたことはない。


初代聖女が『下』から来るのだとしたら、やってみる価値はある。


私は地面に両手をついて聖なる光(トーチ)を唱えた。


石畳のマス目に白金の光が走り出す。


部屋全体が輝いて、眩しさに目を瞑った。


気が付くと、とても優雅でファンシーな空間にいた。


ぬいぐるみに溢れていて、部屋全体がピンクに彩られている。


その部屋の隅、歴史の重みを感じる古い丸テーブルに誰か二人が座っていた。


私の方を見て、微笑みながら手を振るのは私と同じ白金の長髪の女性だ。


そして、その対面には黒い長髪の女性が透けている。


「レーコ」


私が呼びかけると、申し訳なさそうに眉を八の字にして私の方を見てきた。

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