第6話.開拓指定
冒険者協会が入る場所には小中規模の店が立ち並び、広場にはその日限りの絨毯を敷く商人が独特の街並みを作っている。
ルイスは預かり屋から荷物を引き取り協会へ向かうべく市場へ踏み入れる。
「安いよ~」「掘り出し物〜掘り出し物〜」
傭兵は不可視なのを良いことに目新しい物をまじまじと見物している。
「この市場はいつもこんなに賑やかなのか?」
傭兵の問いかけにルイスは小声で応える。
「そうだけど…なんで透明なんだよ、俺一人で喋ってるみたいだろ!」
「なんでってこんな鎧だとぶつかったら危ないだろ?あと金持ってそうって絡まれそうだし」
「じゃあ脱いでくれ!」
「嫌だアイデンティティが失われる」
ルイスは(何を言ってるんだ)といった顔で見つめる。
「おーい、ルイス少年〜今日は早いなぁ?」
声を掛けられた方向を見ると宿の知り合いだった。
「あっ、そう…だね」
「なんだぁ?その反応?何かお宝でも見つけたのか??」
これは…と思ってチラリと傭兵を見ると腰に下げた得物に手を掛けている。
「いやいやいや!?麓の村でバハラ祭って聞いて遺跡よりそっち楽しそうだなぁなんて!!」
「怪しぃ、まぁ結局宝じゃないならいっか、でもなんか新しい部屋とか通路見つけたなら協会に届けろよ?」
傭兵とルイスは突然の事に同時に声を発さずにはいられなかった
「は?」「あっ…」
「たしか開拓指定されてる廃墟だろ?、こっそり独り占めすると罰金で収まらないからな、先輩冒険者からの警告だぞ?」
「そ、そりゃあわかってますよ…」
ルイスは満面の不気味な笑みでその場を切り抜ける。
「おい…ちょっとこっちこい」
活気の落ち着いた路地裏。
「いやー、危なかったぁ……忘れてた」
「まじかよお前…てか開拓指定から謎なんだがなんだ?それは」
「あぁ確かに傭兵の頃は廃墟じゃないもんね、なんか開拓指定ってのは歴史?的に重要な場所とか価値の高い場所を漁ったりするのを管理するらしくて」
「勝手して荒らすと罰金か?」
ルイスは歯切り悪く呟く。
「いやぁ普通に国外追放もあるん…」
「はぁぁあ!?あんなボロが!?」
「それだけの場所なんだよ!」
ルイスが通っていた場所、通称「デバルトルの館」は歴史的重要地点である、現在の国神スーラが国神となる時に誓約を交わした場所であり当時の首領であるデバルトルが天使によって導かれたとの記録も残っている。
現在一切の手を加えられていないのは国神スーラと元帥ギルバート・エンガットから「国として関わることは無い」との見解が出ている為に協会や一部有志で管理を行なっている。
ある程度理由を聞いた傭兵はひと言。
「あいつら…蓋しやがったな…」
深い溜め息をしながら傭兵は調子を整える。
「まあまあまあ、大丈夫だそれは後で解決することにしよう…てか考えたくないわ」
「でも俺が落ちた穴見つかったらバレるんだけど、どうする?」
「夜にでも塞いでくるわ…」
なんだか疲れたとお互いに交わしつつようやく協会へ到着した二人だった。
冒険者協会で少しの列に並び幾度目かの受付をする。
「おかえりなさい、冒険者さま、ご要件をお聞きします……廃墟で何か見つかった?」
受付の女性がそう聞くとルイスはたじろぎながら
「いやぁ、廃墟は廃墟って感じで…」
「そうねぇ〜、国も手放す場所なんて噂ばかりで結局要らない場所なのかもね、それだと開拓許可はもういらないの?」
「あぁ、それなんですけど」
ルイスはバハラ祭へ参加することを伝える、いくつかの書類を持たされ注意事項を伝えられる。
「そちらを提出後に開拓許可は失効します。バハラ祭は冒険者協会とサハラ国で手続きが行われるので書類は不要です、書類が無い代わりに出場確認が必要ですので会場へ入場する際に窓口で受付をお願いします。キャラバンの方とご一緒であればキャラバン代表の方が受付するため代表の方に冒険証の提示をお願いします………やっぱり別室で一緒に手続きしようか?」
「お…おねがい…しま、す」
げっそりしたルイスの様子を見た傭兵は「だから顔覚えられてんのかお前!」と暫く笑いこけていた。
三十分ほどで説明"は"終えた。
「羨ましい奴だなお前、美人と一緒に個室でもう夜だぞ」
「いやいや…さすがに堪える……」
協会の受付が終わり「また来てねー!」と手を振られながらルイスは宿へ向かう。
「………お前、やっぱり呪い殺すか」
「だーかーらー!、別に俺がわざと理解してないって思ってるのか!」
「まぁ今日は宿で休めよ……永遠にな」
「んんん!だーかーらっ!」
ルイスは酷く長い1日を終えるべく、宿で疲れを癒すのであった。




