第3話.ずぼら
「よいっ…しょ…」
ルイスは息を上げながら光射す水路に繋がった穴をよじ登る。
「来たか、しかし派手に空けたなぁ、怪我しなかったのか?」
(コイツ…自分は壁抜けられるからって!?(怒))
登る前で既に一悶着。
質問に答えない男は「行くぞ」のひと言で重力など存在しないかのようにスルスルと上昇していく。
「登ってこーい」
男は穴の上から声を掛ける。
ルイス「早いって!ロープも無いし無理だ〜!」
地下水路上部の崩落とは言えルイスの身長では届かない、届いたとしても登攀できる様子でもなさそうだ。
男はなるほどと言うかのようにつぶやく。
「飛べたりはしないのか?」
「なんだってー?右側にバッグあるからロープ取ってきてもらえますかーー??」
仕方無いなぁと探しに行くと壁に掛けられているバッグが見える。
(あれだな、さてさて思春期君のバッグには何が入ってるかなぁ?)
ルイス愛用のバッグには初級の軽量化と拡張式が刻まれている、それを限界まで活かすかの様にショルダーバッグにしては色々詰め込んでいるようだ。
「あいつ…魔法式壊れたら爆発するぞこれ…」
恐る恐るロープを探す。
(ほぅほぅ、意外と良いもの持ってるな?)
魔光ランタン、ツルハシ、路銀、寝袋に中級拡張式食料ポーチそれに…。
(中級ポーチ!?)
男の喉がヒュッ っと鳴る。
「本当に爆弾なのかよ…」
呆れつつ本当に色々面白い子供だと思いながら男は穴へ向かう。
「ロープ見つけられたー?」
「危険物を処理しながらな」
「危険物??」
男は穴へロープを投げ入れる、ルイスはそれを掴むがロープは結ばれておらず「あーー!」と叫ぶ。
「ルイス、なぜあのバッグが危険なのか答えられるか?」
「どういうこと?まぁいっぱい詰め込んではいるけど…」
(やっぱ知らないか…)
「答えられるなら引っ張ってやる、無理なら自分で登りな」
「えぇぇえ、わからないんだけどー?」
考えても考えてもわからない…。
そもそも何故この状況になったのかすら理解出来ず怒りすら感じ始める。
「わからなーい!」
上から見下ろす男へ答えにならない答えを叫ぶと
「答え合わせするから自力で登ってきなー?」
どうやら手を貸すつもりは無いようだ。
「しかたない…」
ルイスは腰に下げたピッケルとロープを結び付けて上へ投げる、投げて引っ掛かりぶら下がれるまで何度も繰り返す。
その様子を男は(意外と考えるな?失敗したら落下するのは注意だが)などと考えて見守る。
「よし!」
登り終えたルイスは詰め寄って
「それで?答え教えてくださいよ(怒)」
「爆発するぞ?あのバッグ」
「爆発??別に破けたって中身が出てくるくらいだろ」
「まてまてまて、それ以上不正解を重ねると穴へ落とすぞ」
男の目が笑っていないのに気付く。
「じ、じゃあ答えはなんだっていうんだよ…」
「拡張式が備わった袋ってのは内側の空間を【もつれ】させてるんだ、実際に内側が広がっていないって意味な?」
「う、うん?」
「普通に摩耗とかで破損する分には元に戻るだけだが、内側に更に大きな拡張式が入った状態で破損すると式の破損が連鎖する」
「どっちも壊れるってこと?」
「そう、そうなるとどうなると思う?」
ルイスは「どうもこうも沢山出てくるのが爆発って事じゃ?」と言うとすぐに否定される。
「いや、本当に爆発するんだ、空間が限界を越えてプラズマが起きることであのバッグなら位相崩壊に伴う熱解離プラズマで爆縮後の致死半径半径2〜3メ…」
ルイスは万物全ての情報を流し込まれた顔をしている!!
(コイツ!何も理解できていない!)
「あぁ…あれだ魔法が壊れて大爆発して死ぬかもしれないから入れるのは駄目だ、OK?」
「おぉ…けぇ?」
脳の負荷がまだまだ残っているようだが。
ルイス達は街道へ進む為に日に照らされた館を後にする。




