クリステル=アディール 50
「話し合いましょう」
話し合いを提案するが、男にふざけるなと睨まれた。
唾を飲み込むだけで、剣に触れそうなんだけど・・・
私は、ひやりとしながら周囲を確認する。
結界箱に囲んだ妖精を見ると、水色の髪をしていた。着ているものも、パックとは違い着物のようだった。多分、違う種類の妖精だろう。
ここで、私が人質に捕らえられてるのは非常にまずい状況だった。先輩も、男に剣をむけはいるが、おそらく男の剣のほうが先に私の喉元を貫くだろう・・・
ここは、私が動かないと!
私は、男に見えないように透明な結界箱を練り上げる。それは、薄い壁となって私の喉と男の剣の間に挟んだ。私は、思い切り男の腕を掴み、剣先を私の喉へと誘った。
「クリス!」
先輩の声が広場に響く。私を貫くはずだった男の剣先は、透明な結界箱へと通り抜けた。それに気がついた男は、剣を捨てて私達と再び距離をとる。私は、透明な結界箱の中に入っている男の剣を引き抜き、自分の喉元にあてた。
「何しているんだ!」っという先輩の声が聞こえたが、古い妖精を説き伏せるにはこれしかない。
「古い妖精さん!石碑について教えてください。」
再びカエレだの、ヤメロだというざわざわした声が聞こえる。
「お前、なにがしたいんだ?」
襲撃者の男ですら、私の行動に意味を唱える。
「だまって見てなさい。手をだしたりしたら、あなたの妖精を爆発させるわよ」
妖精の周りにふわふわと、爆発する結界箱を配置させると、男は、親の仇のような目つきで私を見つめた。それを無視して、私は喉を剣でうっすらと傷をつける。すぅっと1枚表側の皮がはがれ、首に血が滲んだ。
「古い妖精さん、教えてくれないと、ここを私の血で穢れの湖にしてしまいますよ」
にっこりとそう微笑むと、古い妖精の怯えた声が聞こえた。
人も妖精もそうそう、住処を変えられるものではない。なので、古い妖精もここを血の湖にはしたくはなかったのだろう。古い妖精はぶつぶつ呪文らしいものを口ずさんでいる。
(お前達に、裁きがくだることを祈ってイル)
声が聞こえた瞬間、足元が崩れ落ちて2人と1匹の妖精と襲撃者達は奈落の底へといざなわれたのだった。




