クリステル=アディール 43
メレイカ様の手をとり、私はありがとうございます。
とお礼をいった。
手を取ったときに、気がついたが、
メレイカ様は左手に綺麗な指輪をしていた。
これって結婚指輪よね……
今まで聞いたことがなかったけど
メレイカ様にも決まった方がいるのかしら…
指輪を見ていた、私に気がついたのか
相手について知りたい?っと聞かれた。
私が頷くと、メレイカ様はある人を目で促した。
え、ダスト様!?
まったくそんな雰囲気を感じられませんでしたが…
「もともと、幼なじみなの。まだ正式に結婚はしていないけれど、この指輪を渡してくれた。こんな、厄介な助手のどこがいいのやら…」
治癒魔法が使えるメレイカ様は、
おそらく10代目のエメラルダ王の血縁者だろう。
王の血縁者は、そう簡単に結婚できないはずだ。まして、ダスト様の家柄で釣り合うかどうか私には判断できなかった。
考え込んだ私を見て、メレイカ様はそっと話し出した。
「エメラルダ10世と聖女との間に出来た子どもは、忘れられた子供なの。王様は聖女の思いと共に子供の愛情まで無くしてしまった。行き場のなくなった子供は、教会に預けられることになった。王族であることを放棄することを約束されてね。こんな訳ありの血を持つ私に、貴族だったら誰も近づかないわ。でも、ダストは違った…こんな私を好きだと言ってくれたわ」
「お返事はしないのですか?」
メレイカ様は、首を振った。
「ダストに私はもったいないわ。今は研究が楽しいのよ。研究所だったら、研究者としてダストの側にずっといられるもの」
足元に、さっと人影がさした。
気がつくと、ダスト様が近くまできていた。
「クリステル様からも、言っていただけますか。早く私と結婚したほうがよいと。そろそろ自分の研究に逃げるのはよしてほしいですね。国の研究をしていても、私との仲は発展しませんよ?」
ダスト様に話を聞かれていたようで、
メレイカ様はすうっと、顔を赤らめた。
「クリステル様も、ウェールズ殿下とライアー君に挟まれてしまい大変ですね。身分でいうと殿下が上ですが、今は平民であるライアー君も、成人したら王国騎士のトップにはいるでしょう。平民といっても、元の生まれは貴族ですからね」
ライアー先輩の本当の両親は、貴族だったのか。でも、両親は、先輩の記憶を無くしていると聞いていたが…
しかし、2人から言い寄られている風に
ダスト様は言っているが、かなりの勘違いなので私は訂正することにした。
「ライアー先輩は、私のことなんてなんとも思ってないはずです。本人も言ってましたから…」
確かに格好いいし、魔法も剣も使えて頼りになる。私がピンチの時に助けに来てくれて、少しドキドキしちゃったけど…
魔力譲渡とかされたら、普通の女子だったら勘違いするところよね!
「ライアー君について気になるなら、本人に聞くといいですよ。実家は、アディール家と並ぶぐらいの名門貴族です。騎士として彼もがんばっていますし、クリステル様の婚約者候補にも加えられるか考えてあげてください。そして…メレイカも、そろそろ僕のことを考えてくださいね」
ダスト様は、恥ずかしがるメレイカ様の手をとった。
メレイカ様もダスト様も、
美男美女でとてもお似合いだった。
2人の仲を邪魔しないように、
一礼して、そっとその場を離れた。




