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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
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クリステル=アディール 35

あれ、ここはどこ…


目を開けると、私は黒い箱に閉じこめられていた。

頬には涙のあとか、少し濡れていたが

手も足も、大きい。いつもの私だった。


この空間はなんだろう?

黒い箱をよくみると黒い蝶が、

すき間なく、びっちりと覆われている。

黒い箱の正体は、蝶の塊だった。


あの拾った虹色の蝶の羽は、きっと罠だったのだ。

私は、結界箱を出そうとして力を念じるが

体を巡る魔力がないのか、手応えがなく、

手の上にはなにも現れない。


さて…ここをどうやって抜け出すか。

現状、なにもできない歯がゆさが悔しい。


「魔法も使えない女の子をどうする気よ!」

がむしゃらに、黒い蝶を叩こうとしたが

蝶は、ひらひらと逃げていき、また箱の形へと戻っていく。


私は、唇を噛み締めた。

甘皮が切れたのか、口の中に血の味が広がる。

そっと、唇にふれてみる。


あれ、この暗闇に落ちる前に

誰かがここに触れたような気がした。

強引で、とても熱い口づけだった…


「ライアー先輩…」


口にした瞬間、私の体が光った。

眩い光が、何かを形どる。

「呼ぶのが遅かったな。」

名前を呼んだその人が、目の前に現れたのだった。

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