クリステル=アディール 33
ここはどこ…
遠くに光が見える。
まっくらの中で目を覚めたわたしは、
光を目指してあるき出した。
とても体が重く感じる、足を見ると
小さいりぼんのついた赤い靴を履いている。
どこかなつかしい靴だった。
小さい時にはいていた靴によく似ている。
手。
まるで赤ちゃんみたいに、ぷにぷにしている手だわ。
いっぽずつがすごく遠くかんじる。
ようやく光の場所にたどり着くと、
そこは見知っている家の庭だった。
ウェル兄様とよく遊んだ、りんごの木もある。
今の季節にすべてしゅうかくしたはずの、
りんごがたくさん実っている。
りんごに手を伸ばそうとしたとき、大きな手でさえぎられた。
大きな手は、わたしを体ごと持ち上げた。
「いや、やめて!」という口も
ふさがれて大きな袋にいれられた。
まっくらな袋の中、なにが起こったかわからない状態だった。
やがて、がたがたする所に放り投げられた。
わたしの他にも人がいるのか、子供のなき声も聞こえた。
「よく、貴族の娘を攫えたな。あそこの家は、警備がすごいだろう。」
低い男の声が聞こえた。
「私の能力は知っているでしょう。この魅了の力ですいすい警備が通れるの。効果はすぐ切れちゃうけどね。たまたま、庭で隠れていた子供がいたのよ。ラッキーだったわ。」
どうやら、わたしはさらわれたらしい。
馬のなき声がする。ちがう馬車に乗せられたみたいだ。
急いで国境へ行かないとって聞こえてきたから、
この人達は、となりの国へ向かっているみたい。
家族に早く知らせないと!
このままだと、となりの国へわたされちゃうかもしれない。
子供のわたしには、できることは少ない。
だけど、時間をかせぐことならできそう。
小さい手の平に、小さい箱をだした。
箱に、とくべつなまほうをこめる。
これは、ウェル兄様に教わったまほう。
「クリス、これは僕に会いたい時に、会える魔法だよ。」
箱に、ほんのちょびっと風まほうをいれるだけで、
あいずの完成。
ウェル兄様には、わかるんだって。すごいよね。
もうひとつ、わたしはじょうぶな箱をだした。
ふくろをやぶろうと
えーいっと勢いよく、箱をふくろをぶつけた。
箱はふくろごと、馬車のそこまで穴をあけた。
ちょうど、馬車のたいやにあたったみたいで、
馬車が止まってくれた。
「いったいどういうこと!?」
ふくろの穴からのぞくと、女の人がびっくりしていた。
周りをみると、どうやら森の中みたい。
ウェル兄様のあいずの箱をみると、
閉じこめた風がくるくると渦をまいている。
やった!
ウェル兄様が答えてくれた!
きっときてくれるはずだ。
よくやったなってウェル兄様に
頭をなでてもらえるかもしれないと思い、
わたしは、にまにました。
その瞬間、燃えるように顔が熱くなった。
「こいつの仕業だ!」
低い声の男にふくろごと、地面にほうりなげれらたみたいだ。
ほっぺたを触ると、ぬるりとした感触があった。
ちだ…
たすけてにいさま…




