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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
38/74

クリステル=アディール 33

ここはどこ…

遠くに光が見える。

まっくらの中で目を覚めたわたしは、

光を目指してあるき出した。


とても体が重く感じる、足を見ると

小さいりぼんのついた赤い靴を履いている。

どこかなつかしい靴だった。

小さい時にはいていた靴によく似ている。


手。

まるで赤ちゃんみたいに、ぷにぷにしている手だわ。


いっぽずつがすごく遠くかんじる。


ようやく光の場所にたどり着くと、

そこは見知っている家の庭だった。

ウェル兄様とよく遊んだ、りんごの木もある。


今の季節にすべてしゅうかくしたはずの、

りんごがたくさん実っている。

りんごに手を伸ばそうとしたとき、大きな手でさえぎられた。


大きな手は、わたしを体ごと持ち上げた。

「いや、やめて!」という口も

ふさがれて大きな袋にいれられた。


まっくらな袋の中、なにが起こったかわからない状態だった。

やがて、がたがたする所に放り投げられた。

わたしの他にも人がいるのか、子供のなき声も聞こえた。


「よく、貴族の娘を攫えたな。あそこの家は、警備がすごいだろう。」

低い男の声が聞こえた。

「私の能力は知っているでしょう。この魅了の力ですいすい警備が通れるの。効果はすぐ切れちゃうけどね。たまたま、庭で隠れていた子供がいたのよ。ラッキーだったわ。」


どうやら、わたしはさらわれたらしい。


馬のなき声がする。ちがう馬車に乗せられたみたいだ。

急いで国境へ行かないとって聞こえてきたから、

この人達は、となりの国へ向かっているみたい。


家族に早く知らせないと!

このままだと、となりの国へわたされちゃうかもしれない。

子供のわたしには、できることは少ない。

だけど、時間をかせぐことならできそう。


小さい手の平に、小さい箱をだした。

箱に、とくべつなまほうをこめる。

これは、ウェル兄様に教わったまほう。


「クリス、これは僕に会いたい時に、会える魔法だよ。」


箱に、ほんのちょびっと風まほうをいれるだけで、

あいずの完成。

ウェル兄様には、わかるんだって。すごいよね。


もうひとつ、わたしはじょうぶな箱をだした。

ふくろをやぶろうと

えーいっと勢いよく、箱をふくろをぶつけた。


箱はふくろごと、馬車のそこまで穴をあけた。

ちょうど、馬車のたいやにあたったみたいで、

馬車が止まってくれた。


「いったいどういうこと!?」


ふくろの穴からのぞくと、女の人がびっくりしていた。

周りをみると、どうやら森の中みたい。

ウェル兄様のあいずの箱をみると、

閉じこめた風がくるくると渦をまいている。


やった!

ウェル兄様が答えてくれた!

きっときてくれるはずだ。


よくやったなってウェル兄様に

頭をなでてもらえるかもしれないと思い、

わたしは、にまにました。


その瞬間、燃えるように顔が熱くなった。

「こいつの仕業だ!」

低い声の男にふくろごと、地面にほうりなげれらたみたいだ。

ほっぺたを触ると、ぬるりとした感触があった。


ちだ…


たすけてにいさま…

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