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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
36/74

クリステル=アディール 31

かつての仲間ってどういうこと!?

この国は、血の結界で守られているのではなくて?


「この国の血を引くものだったら、結界内にはいることはできるわよ。」

メレイカ様が、こっそりと話してくれた。


っということは…

この国の人が、攻めてきているの…?


戸惑っていると、ウェル様に体を寄せられた。

ウェル様は呪文を唱えて、蝶の大群を風魔法で切り刻んだ。

「元々はこの国に住んでいた者が、なんらかの理由で他国の味方をして、攻撃してくるときがある。クリス、離れるな。私の隣にいてくれ。」

私は頷いて、ウェル様にしがみついた。


それを見たライアー先輩が苦い顔をしたのに

気がついていたが、それどころではなかった。


私には、熊や蜂はまだいいとして

一度も、人に攻撃したことはない…

攻撃する覚悟もできていないことに

いまさら気がついてしまった。

少し手が震えているのを、しがみつくことで

誤魔化そうとしていた。


「蝶を使役している者は、近くにいるはずです。」

イリヤ様は、数匹残っている蝶を剣で薙ぎ払った。


辺りを見回しても、森の木々があって誰がいるのか見えない状態だ。

でも嫌な気配に囲まれていることは、微かに感じる。


「このまま、少しづつ後退しましょう。」

ダスト様が提案すると、辺りを警戒しながら、

出口の方向まで戻ることした。


「ウェル様。」

ウェル様の服の裾を掴んで、小さく声をかけた。

気がついたウェル様は、驚いた顔をした。

「クリスから、そう呼んでもらうのは、久しぶりだね。どうした?怖いかい?」

私は、首をふった。

「私がここにきたために、ウェル様まで危険にさらしてしまい申し訳ないです。ウェル様は、次の王様になられる人です。ライアー先輩の転送魔法で先に逃げていただくことはできますか?」

横にいるライアー先輩に目を合わせると、首をふった。

それをみたウェル様は、真っ直ぐ私の目をみつめた。。

「自分だけ逃げることはできない。逃げるということは、ここにいるみんなを見捨てることだ。大好きなクリスを見捨てることはできない。それに彼だって、そのことはわかっているはずさ。」


ウェル様は、私の手を裾から離して、

自分の手に絡めた。

握り締めた手は、懐かしくてとても暖かかった。

手をぎゅっとされて、「一緒にいるよ」っと

耳元で言われた私は、顔が火照るのを感じた。


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