クリステル=アディール 31
かつての仲間ってどういうこと!?
この国は、血の結界で守られているのではなくて?
「この国の血を引くものだったら、結界内にはいることはできるわよ。」
メレイカ様が、こっそりと話してくれた。
っということは…
この国の人が、攻めてきているの…?
戸惑っていると、ウェル様に体を寄せられた。
ウェル様は呪文を唱えて、蝶の大群を風魔法で切り刻んだ。
「元々はこの国に住んでいた者が、なんらかの理由で他国の味方をして、攻撃してくるときがある。クリス、離れるな。私の隣にいてくれ。」
私は頷いて、ウェル様にしがみついた。
それを見たライアー先輩が苦い顔をしたのに
気がついていたが、それどころではなかった。
私には、熊や蜂はまだいいとして
一度も、人に攻撃したことはない…
攻撃する覚悟もできていないことに
いまさら気がついてしまった。
少し手が震えているのを、しがみつくことで
誤魔化そうとしていた。
「蝶を使役している者は、近くにいるはずです。」
イリヤ様は、数匹残っている蝶を剣で薙ぎ払った。
辺りを見回しても、森の木々があって誰がいるのか見えない状態だ。
でも嫌な気配に囲まれていることは、微かに感じる。
「このまま、少しづつ後退しましょう。」
ダスト様が提案すると、辺りを警戒しながら、
出口の方向まで戻ることした。
「ウェル様。」
ウェル様の服の裾を掴んで、小さく声をかけた。
気がついたウェル様は、驚いた顔をした。
「クリスから、そう呼んでもらうのは、久しぶりだね。どうした?怖いかい?」
私は、首をふった。
「私がここにきたために、ウェル様まで危険にさらしてしまい申し訳ないです。ウェル様は、次の王様になられる人です。ライアー先輩の転送魔法で先に逃げていただくことはできますか?」
横にいるライアー先輩に目を合わせると、首をふった。
それをみたウェル様は、真っ直ぐ私の目をみつめた。。
「自分だけ逃げることはできない。逃げるということは、ここにいるみんなを見捨てることだ。大好きなクリスを見捨てることはできない。それに彼だって、そのことはわかっているはずさ。」
ウェル様は、私の手を裾から離して、
自分の手に絡めた。
握り締めた手は、懐かしくてとても暖かかった。
手をぎゅっとされて、「一緒にいるよ」っと
耳元で言われた私は、顔が火照るのを感じた。




