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エメラルダの卵  作者: 佐藤 綾
34/74

クリステル=アディール 29

「私になにをしてほしいんですか?」

ちらりとメレイカ様をみると、

普段の表情と違って冷たい顔をしていた。


「この国のことを知ってほしかったのかな?こんなおとぎ話もあるんだけど…」


聞きたい?そう言って、メレイカ様は話し出した。




『

最初の妖精との約束から何十年かたち、


エメラルダ10世が、即位したとき

この国に初めて、回復魔法が誕生した。


回復魔法を唯一扱うことができる彼女を

国民は、やがて聖女と呼ぶようになった。


聖女は、賢く、美しかった。

その姿に誰もが羨んだ。

国王も聖女に魅せられたひとりだった。



聖女には、慕っている他国の男性がいたが、

国王は、聖女を誰に渡したくないと思うようになり

二人は無理やり婚姻を結ぶことになった。


聖女を忘れるために、青年は、故郷に帰った。

国王に嫁いだ聖女に、やがて子供が生まれた。


間もなくして、聖女が慕っていた青年が

再度エメラルダ王国へ訪ねた。


2人はもう一度出会ってしまった。

もう、惹かれ合う二人は、国を捨てて、夫と子供を捨てて

青年の故郷へ旅立ってしまった。


残されたエメラルダ10世は、

エリザベートの森で

妖精と新たな約束をかわした。


(血の刻印)

エメラルダの血を引くものは、

この国でしか生まれないようにしてほしい。


(血の結界)

そして、この地には

エメラルダの血を引くものしか

踏み込めないようにしてほしい。


妖精は、悲しみにくれた国王に

新たな力を与える代わりに

大事な人間に対する気持ちを

もらい受けることにした。


心が痛む必要がなくなった国王は

新たに他の女性を妻に迎えた。


他国への恐怖も取り除くことができ

この地に、再び平和が訪れた。』


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