クリステル=アディール 24
気がつくと、目の前にライアー先輩がいた。
その目は、心配そうに私のことをみている。
「忠告したろ、こいつらには気をつけろと。」
パックを指しながら、
ライアー先輩は心配そうに声をかけた。
私は倒れてしまったようで、
着ている洋服に葉っぱがついていた。
すぐに起き上がろうとすると、私の背に手をかしてくれた。
「ひどいなぁ〜僕を悪者にしようとして!きちんと取引したのに、こんな仕打ちひどいよぉ。」
パックの体の周りには、四角い結界で覆われていた。
結界魔法は、アディール家のものしか使用できないはずだ。
「これ、どうしたの??」
パックは、呆れた顔をしてため息をついた。
「君がやったんだよ〜せっかく面白そうな場面だったのに。お姉さんは本当に面白い魔力をしているね。でも、さっきみたお姉さんと今のお姉さん、どっちが本当のお姉さんなのかな?」
パックの質問に、どきっとした。
私が前世を思い出したときから、思っていたことだった。
思い出す前のクリステルは、わたしの中にいるのかしら
それとも、わたしのせいで消えてしまった…?
「おい、わけのわからないことを言うな。クリステルはクリステルだろ。こいつ、このままにしておいた方がいいぞ。その方が、害が少ないからな。」
私は頷いて、そのまま結界の先を紐状にして指に結んだ。
今考えてもしょうがない。今できることをしないと。
「ちぇーっ。でも、お姉さんと一緒にいた方が楽しそうだからいいや。」
パックは、気持ちを切り替えて結界をつついて楽しんでるようだった。
ライアー先輩に目配せし、
「みんなはどこ?私だけ、ひとりだったんだけど…」
「無事だ。少し離れたところにいる。本当はきちんと転送できるはずだったが、お前の魔力に弾かれた。結界魔法と相性が悪いみたいだ。このまま、歩いて行くしかない。」
当初の予定では、歩かなくてすむはずだったのに…
まぁ、しょうがないわね。
念のためにパンツスタイルにしてよかったわ。
私は、かばんからビスケットを2枚とりだした。
1枚は自分の口へ、もう一枚はライアー先輩の口へ運んだ。
それを見たライアー先輩はキョトンとした。
「歩くためには、エネルギーをとってからの方がいいわ。じゃないと体力がもたなくなるわよ。」
そう言ってむしゃむしゃビスケットを食べると、
「本当に貴族のお嬢さんか?なんでそんなことを知ってるんだ?やっぱりお前、面白いな…」
「こんな貴族の娘は嫌かしら?」
私はびっくりした様子のライアー先輩にむすっとして尋ねると
先輩は、私の体を支えて抱き寄せた。
突然の行動に驚き、悲鳴をあげてしまった。
「黙ってないと舌を噛むぞ。」
ライアー先輩は、お姫様だっこをして私をかかえて歩き出した。
「こんなにたくましい貴族のお嬢様はみたことないぞ。普通は、自分じゃ歩るこうとしない。貴族の娘は、こうやって支えて歩けと命令すればいい。」
私は少しでも先輩が、楽に自分をもてるように手を
ライアー先輩の肩に回した。
「命令なんてしないわよ。いまのあなたは、学園の先輩でしょ?貴族なんて関係ないわ。」
そう笑うと、ライアー先輩の口元が緩んだ気がした。
「しっかり捕まってろよ。みんなのところまで連れてってやる。」
ライアー先輩の足が、駆け足となった。
そんな先輩の耳元で「ありがとう」っと言ったら
頭をコツンとやられました…
「やれやれ、こんなやりとりを僕はずっと聞くのかなぁ…」
横でパックのあきれた声が聞こえたが、
むかい風でかき消されたのだった…




