クリステル=アディール 22
しばらくすると、こそこそと話し声が聞こえる。
(ねぇ、人間がいるよ。)
(少しからかってやろうよ。)
これはライアー先輩に聞いていた
妖精だったりして…
こんなにすぐ妖精に出会えるものなの??
(ねぇ、僕らの声がきこえるかい?)
(道にまよったら助けてあげるよ!)
明らかに私に話しかけている気がする…
わたしは、手紙を思い出した。
『いいか、妖精がいても話かけるなよ。話かけたら妖精がお前のことを助けようとするだろう。妖精はタダではなにもしないからな。もし、助けたら必ず対価を求められるだろう。』
対価ってどんなものなんだろう…
妖精の好きなものとか?人間の肉とか言われたら恐怖だわ。
怯えていると、目の前にぽんっと妖精が現れた。
「じゃ、じゃじゃーん。ここの妖精で、パックと言います!なにか困っていますね!お助けいたしましょうか?」
茶色い髪の毛に、とがった緑色の帽子をかぶった小さな生き物が
ふわふわ空中に浮いている。
これが妖精・・・!
(また、パックのやつが先に正体を現した。ずるいぞー!)
周りの妖精がずるい、ずるいとパックに対して批判的だった。
パックは、なにも見えない方に向かってあっかんべ~をしている。
「こういうのは、早い者勝ちなんだよ〜だ!」
子供みたいで、思わずくすりと笑ってしまった。
こうなったら、取引をするしかないわね。
「パックさん、こんにちは。私はクリステル=アディールといいます。別に困っていることなんてないですよ。仲間をまっている途中なの。」
取引をしない、という方向で進めるとどうなんだろう。
「あれ、名前を僕に教えちゃっていいの?それじゃ、お姉さんの仲間を見つけてあげよっか?」
と言われてしまうので、いきよいよく首を横にふらせていただいた。
というか、名前って知られちゃいけなかった!?
「ふーん。手助けはいらないのかな?ここの森は、迷ったら抜け出せなくなるよ~ってあれれ、お姉さんの魔力って、なにか面白い形しているね。ちょっと覗いてもいい?」
覗くってなにをするのかしら。
もう既に覗く気まんまんなんだけど…
ライアー先輩に関わるなっていわれたばかりなのに。
向こうから関わってくるから、私にはどうにもできないわよ。
でも、これってもしかして対価になるんじゃないかしら?
「なら、取引しましょう。私の魔力を覗く代わりに、みんなのところまで案内して。ただし、絶対に覗くだけよ。私に危害を与えてはだめよ。」
提案すると、パックは頭のうえで大きく◎を作った。
「おっけ〜!じゃあ、先に覗かせてもらうね。」
そう言って、パックは透明になって私の体を通り抜けた。
そのとたんに、私の魔力は電気が通ったみたいに震えた。
目の前が真っ暗になり、やがて写しだされるのは
懐かしいあの、前世での光景だった…




